上半期に読んだ51冊からおすすめ本

森に眠る魚 - 角田光代

オードリーの若林がラジオの中で面白いと言っていて。昔勤めていた会社に読書家の男がいて「いいんだよ、角田光代。」と言っていたので「空中庭園」を読んでみたが、良く分からずにそれ以来読んでいなかったのだが、この小説が良くて続けてタイの出てくる旅エッセイ「降り積もる光の粒」と「紙の月」と「坂の途中の家」を読んでみました。

小説はどれも登場人物の生々しい心の中を読んでいく感じがたまらなく「森に眠る魚」は子供を育てるお母さんと子供たち４組くらいが出てきて、それぞれの見ている世界と他人の世界との共生を生々しく描いてる。この「生々しい」ってのが僕は好きで、映画だと「レボリューショナリー・ロード」でディカプリオとケイト・ウィンスレットがやりあう喧嘩も生々しくて大好きです。

これを読み始めると同時に読み進めていた村上春樹の「街と、その不確かな壁」はすぐに読むのをやめてしまいました。ものすごくリアルな話を読んでいると、春樹節の身体の影と分断された自分が図書館に保存されている夢の記録を読むことで成仏させる仕事をしている男の話みたいのを読んでいるのが面倒になってしまいました。

罪と罰 – 漫F画太郎

この人の作品は無茶苦茶。少し前に読んだ星の王子様も無茶苦茶。日本に帰った時に「珍遊記」はどんなもんだったのかを読みたくてアマゾンで買ったのだけど、それとは別に軽い気持ちで買った「北斗の拳」が愛蔵版みたいなバカでかいやつが１４冊も届いて、小さいスーツケースには入らないので諦めて日本に置いてきてしまった。エロとグロで下品で無茶苦茶。

バンコクドリーム 「Gダイアリー」編集部青春記 – 室橋裕和

久しぶりにぐっと入って読み込んで、言葉の選び方や文章が面白く折り目が山程ついてしまった。なにより僕自身がタイで自分の生活を作り上げてきているのが大きいだろうが、Xで著者の名前を調べてみると、前に読んだ「ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く」と同じ人でこりゃあ面白いわけだ。

著者の方がバンコクでどうしようもない生活をしていたところからGダイで記事を書けるようになり、本格的に参加・奮闘してGダイも好調、その後タイの赤黄の政変や311の東北地震と津波、アユタヤの洪水やネットの台頭によりGダイや自身が傾いていく様子などが書かれていく。そして最後になって西尾さんの名前が出てくるところでやけに感動してしまった。GダイアリーはGentleman’s ダイアリーな。

人生なんてどうなるか分からんし、そんな人生が面白いだろう？　『69』で村上龍が書いていた「退屈な連中に自分の笑い声を聞かせてやるための戦いは死ぬまで終わることがないだろう」ってやつです。誰かが「自分でさんざん嫌っていた年寄りになった村上龍は」みたいな感じで書いているのを最近みたけど、みんなやっぱり年には勝てないんだよな。ホリエモンは「俺は死なないと思ってる」って言ってたっけ。

タイの田舎で嫁になる 野性的農村生活 – 森本薫子

イサーンの田舎で嫁になった人の書いた本。たまにいるイサーンの田舎やほとんど日本人がいないような場所に馴染んでやっている人。今やタイは結構多くの人がいろんな場所でやってるんじゃないかなと思う。

少し前にシーラチャーに越してきたけど、この街にあるうどん屋の店主のおじさんに話しかけてみると、タイに居る時間は僕とちょうど同じくらいで80歳くらいって言ってたっけな。淡路島生まれ。島でやっていたうどん屋を息子に譲るんで、何かやろうと視察で来て、やっぱり釣りが好きだから一発でシーラチャーが気に入って、淡路島でやっていたのと同じうどん屋をこっちに持って来たって人。

その人生、あの人生、この人生。

ルポ路上生活– 國友公司

ホームレスってどんな感じなんだろう？　と思い読んでみたホームレス関連の1冊。筆者が新宿やら墨田の方やらでホームレスをやってみるルポ。空き缶集めとかの縄張り争いや付き合いは面倒くさそうだけど、炊き出しの数がやたらにあるみたいで、寝る場所を上手く見つけられれば飯には全く困らさそうな様子。年取ってからの冬の雨の日なんてたまらんだろうな。無理か。

この人はこの後西成ルポ、歌舞伎町ルポと書籍にしています。この人が路上生活の時に持っていた「失踪日記-吾妻ひでお 」も面白いです。

読んだ本リスト

1. タイからのたより　スナック「ママ」殺害事件のその後

2. 森に眠る魚

3. 福田村事件

4. エロ本

5. 笑って人類

6. 降り積もる光の粒

7. タイ娼婦　イサーンの女たち

8. 罪と罰

9. バンコクドリーム 「Gダイアリー」編集部青春記

10. 私が見た未来

11. ルポ歌舞伎町

12. ルポ西成　七十八日間ドヤ街生活

13. ルポ 路上生活

14. 私が先生を殺した

15. 人生後半の戦略書

16. 紙の月

17. バンコク喪服視点

18. バンコクの妻と娘

19. 街と、その不確かな壁

20. タイの田舎で嫁になる 野性的農村生活

21. ゴーガン　私記

22. 北斗の拳

23. 失踪日記

24. 幸福人フー: 僕の妻は「しあわせ」のお手本

25. 数学する人生　岡潔

26. タイで死刑を求刑されました

27. 今日、ホームレスになった

28. 女性と子どもの貧困　社会から孤立した人たちを追った

29. 東京貧困女子。彼女たちはなぜ躓いたのか

30. 殺し屋

31. ルポ　コロナ禍の移民たち

32. 躁鬱大学

33. デジタルスケッチ入門　　ー光と色で生活を描くー

34. 老い方、死に方

35. モモ

36. Paul Klee

37. Paul Gauguin

38. 坊っちゃん

39. コールセンターの殺人

40. TENGA論

41. 生と死を分ける翻訳　聖書から機械翻訳まで

42. デザインの思考法図鑑

43. 坂の途中の家

44. みどりいせき

45. 普通という異常

46. 眠っている間に体の中で何が起こっているのか

47. さがしもの

48. ルポ　中年童貞

49. 失敗の科学

50. あと千回の晩飯

51. カラダを大きくする