朔風払葉の夜。


強烈で無邪気な青春期との別れが近い。少しずつその輪郭を作り始めた秋は、まさしく僕に、あと四半世紀続く季節について冷笑的に問う。呼吸が遠のき騒がしい孤独に見舞われるであろう冬には僕は一体何物になっているのであろうか、いや、何物になっていたいのであろうか。



〜ある人は、金輪際認めないぞ、と言う。
また、別のある人は言う、都市には花よりも綺麗な街並みがあるのさ、と。
僕は前が見られない。前が何処か解らない。
都合の良い解釈と低い自己肯定感と欺瞞に満ちた世界で、幽霊のように居なくなってしまったあなたの瞳に写る世界は、どれくらい澱んで捻れていたのだろう。〜



天高い所で太陽光にいち早く届いた雲が、反射して光る。疑問ばかりが募る夜はその雲の出現とともにその出口を見せる。例えばそんなものが、無理矢理に何かに終わりをもたらすことで世の中が循環しているのであれば、僕はそんなものに縋りたいとも思う。

どうやらそんなものを、夜光雲というらしい。




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