liner note___ep.4「うつつの在り処」
うつつの在り処
へたりこんで
泣いてしまいそうだ
いつも怖くて
たまらないよ
失うまで気づけないのはなぜ?
どこにも行けないまま
君: …
N:指冷め 熟れる歩道 擦れる風 秋
(憎めぬまま進む。畔道、車窓、濡れ、)
君:なぜ??
N:声まで
指先まで触れたら
これ以上 今以上
譲れないところまで混ざってしまう
放つ声は暗闇に溶く
君の前じゃただ僕は弱いだけさ
もう誘わないで
空しい水 這わす頬
言葉はどこかへゆく
N:日々、海 眺め咽せる阿呆
(揺れ。)
君:やれ。
(陽射し。君は見つめ笑う。)
N:撫で行け 斜陽 触れ合い どこかへ
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いつも結局何も変わらないトンネルを目指して、または通って、虚しさに目を背ける為の居場所を作ろうとしていました。
そんなこれまでを覆し、誰かとのつながりや、温かい触れ合いや、くたびれた孤独や、あなたの隣にある具体的な時空間が少しでも形を変えますように。
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朝まで酒を飲んだ後の電車で、窓に映る自分と明るくなりながら流れる景色との変化を見ていました。
このEPを考える中で出てきた言葉の繋がり。音像と空気、聴いている最中に感じる事。景色と自分がペッパーズゴーストみたいに、見えたり見えなかったりする感じ。(ホーンテッドマンションで使われている、ガラスの手前と奥の明度の違いによってお化けが出てきたり消えたりするあれです)
このEPに起きてる事実を観測し、そんな曲で締めれたらという気持ちで作っていました。
この曲は、今の僕の周りに起きている様々な事を明確に、時に俯瞰で、言葉にしている曲で、一人の人間としての小ささ、弱さを自分なりに認めています。「結局独りなんだな。」という気持ち、誰かと繋がっている縁もきっといつか消えてしまう、その尊さ、記憶にも保存しきれないその儚さ、みたいな曲です。
「誰か」というのは非常に不可解で、
自分にはわからない良さをわかったり、
意味不明な行動を取ったり、
得手不得手があまりにも違ったり、
それなのに比べてしまったり、、、。
少し黄色みのある白んだ空が、僕にだけ続く夜を暖かく包む頃、そんなことはきっと消えてなくなるでしょう?
「あなたはあなたのまま、
価値を感じて良いのよ。」
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少しだけ自分の話もしようと思います。ある種の決意の話で、今後の話でもあります。今回でEPは三作目になり、アルバムも一枚作り、それはまあ多くの音楽を作らせていただきました。僕がやりたそうな事は、ある程度見える形になってきているかもしれないです。
ですが、やりたい事が尽きません。そして、なんとなく、このEPは成長途中の曲達の集まりである気がしています。愛しているが、特殊な歪さを孕んでいる。それが、とても楽しい。
もうきっと戻って来ることのない場所に、花びらを散らしながら歩いていくみたいな。その花は果たしてどんなものでしょうか。僕にもわかりません。
が!
いつかまた逢いましょう、そんな心持ちで、軽々しく。よろしくどうぞ。なんかふわっとしましたねえ。
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読んで頂きありがとうございました。4回のエピソードに分けさせていただきました。
僕は恐らく異常なまでにものづくりが好きで、何かが作られている裏側を見たり、分析・深化を行うことがとても好きなのですが、そんな人が少しでも増えてくれたら良いなあと思い、今回一曲ずつ、詳細に、ライナーノートを書くに至りました。
真剣に読むでもなく、時に馬鹿みたく笑って、気楽に読んでくれたら幸いです。隠す事は隠してますので。(僕は性格が悪いんです!笑)
ライナーノートによって、EPをより面白がって聴いてくれたら、とても嬉しいです。今後もEP「うつつの在り処」をよろしくお願い致します。
Numb / Men I Trust
Truly / Cigarettes After Sex
Trees Remember(feat.Jaemeraquan) / Openness & Sprig
上記三曲の参考楽曲と、その制作に携わった方々に、そして、すべての音楽を愛する方に、多大なる感謝を。
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