コロナウイルスに学ぶ生物⑤~免疫とは~

皆さんこんにちは、大友雅斗です。

前回の記事を読んで頂いた方、ありがとうございます。

今回は免疫についての記事になります。

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読んで字のごとく、疫(病気)を免れると書いて免疫ですが、その仕組みについての解説です。

ウイルスなど、体にとっての異物が侵入した際、人体にはさまざまな排除する仕組みが備わっているのですが、以下の二つに大別できます。

非特異的防御・・・病原体の種類を問わず、その侵入を防ぐ仕組み。体表では皮膚・粘液・繊毛。体内では侵入した細菌などを捕食するマクロファージ(白血球の一種)などがこの役割を担っています。簡単に言えば、異物は体内に入れない、入れてしまったら食べて殺す、といった働きです。体内における自然免疫

特異的防御・・・上記の非特異的な防御をかいくぐり侵入した病原体に対する排除システム。液性免疫細胞性免疫に分類できます。血液中の白血球と抗体が活躍してくれます。これを獲得免疫とも言います。


以下では、主に特異的防御について解説しますが、まず知っておきたいのは、抗原抗体という言葉についてです。

抗原抗体反応


抗原とは、生体にとっての非自己な異物を指します。人体がよく悩まされるのが、花粉やウイルスなどですね。

抗体とは、免疫グロブリンというたんぱく質です。抗原の侵入に対して、その抗原のみに結合する抗体(これが特異性)が体内で作られ、防御機能を担う。抗体と結合すると、抗原を不活性化する(抗原抗体反応という)

このような病原体特異的な働きは、リンパ球(白血球の一種・B細胞T細胞)によって担われています。B細胞は抗体の産生に関わり、T細胞はウイルス感染細胞を攻撃します。


液性免疫・・・骨髄由来のB細胞が担う。B細胞が細胞内の抗原を認識すると、抗体産生細胞へと分化・増殖し、それらが血中に抗体を放出することによって、抗原抗体反応となる。

細胞性免疫・・・胸腺由来のT細胞が担う。T細胞が、細胞内の抗原を認識すると、T細胞が感染した自己の細胞や、非自己の抗原を破壊する。


以上のように、体内に侵入した異物も、抗体の産生と、リンパ球による攻撃によって排除され、元の健康体に戻ることができるのです。

風邪を引いたときは熱が出ることが多いですが、この理由は、免疫細胞が活性化するのが平熱よりも高い温度であるためで、感染がおきると、脳の視床下部からの指令により人体の温度があげられ、免疫の活性化が試みられます。


免疫記憶とワクチン


体内に初めての種類の病原体が侵入した際の反応は、一次免疫応答と呼ばれ、その際にB細胞は抗体を産生し、病原体を攻撃しますが、B細胞の一部がメモリー細胞と呼ばれる、長期間生存する細胞となり、病原体の情報を記憶します。この記憶を免疫記憶と呼びます。この仕組みができるまでは数日かかってしまうので、初回の感染ではしばらくしないと抗体が血中に現れません。

その記憶が残っている状態で、後日また同じ病原体が体内に侵入した際の反応が、二次免疫応答と呼ばれます。メモリー細胞の働きによって、短時間でB細胞とT細胞が増殖し、一次よりも迅速で強力な免疫反応となります。

これが一度罹った病気には、しばらくはもう一回なることはない、と言われている仕組みですね。

ワクチンはこの免疫記憶の仕組みを利用したものです。弱毒化したウイルスを投与することによって、一次免疫応答を引き起こし、再度同じウイルスが侵入した際に、二次免疫応答で素早く病原体を排除しよう、という仕組みなんですね。


第五回目の記事は以上となります。

長くなってしまいそうなので、免疫の記事を2回に分けることにしましたが、大まかな免疫については、今回の記事でお分かりいただけるかと思います。

次回は、免疫が過剰に起きてしまった場合や自己を攻撃してしまう場合について(サイトカインストームなど)説明します。

また、他に扱ってほしいテーマや、質問事項がございましたらできる範囲でお答えいたしますので、こちらのコメントか、Twitterのリプライなどで頂ければ嬉しいです。

また第六回の記事もよろしくお願い致します。最後まで読んでいただきありがとうございました!



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