8/29(木)校閲トークイベントへの登壇を終えて。

こんばんは。
一昨日の校閲トークイベント、リアルタイムで聴いていただいた皆様ありがとうございました!
(なお、チケットをお持ちの方は9/30まで見逃し視聴が可能です。まだご購入されていない方は、
https://archive20240829shinchokoetsu.peatix.com/ から、10/1まで視聴可能なアーカイブをご購入ください。1,650円です)
また、peatixのお問い合わせ機能、もしくはイベントの最後にお知らせした講座事務局のメールアドレスから、講師への質問も受け付けています。とりまとめにお時間を頂きますが、必ずお答えいたしますので、質問もお寄せください。

事前に200人以上の申し込みがあったとのことで、新潮社の校閲講座としては史上最多を更新したそうです。誠に御礼申し上げます。

Xアカウント( https://x.com/masato_koya_m )のほうに、ツイキャス(音声)で当日の晩、アフタートークを録っておきましたので、
そちらも聴いていただけるとより楽しめる(?)かもしれません。

そのアフタートークでも触れましたが、今回のように「3人で話す」というのが配信トークイベントの最適解かな、と強く感じました。
二人だと意見が偏った時に修正が利かない、4人以上だと誰が話しているかわからなくなりがち。また、音声だけの場合も、4人以上だと声質が似ていたとき本当に聴きにくくなります(実際のラジオ番組でも結構あることですが)。
音声メディアの場合は4人でなく3人でも聴き分けにくくなることがありますが、今回のような配信の場合、動画もあるので「誰が話しているか分からない」というところまではいかないのではと思います。
そして何より、3人だと本当に話しやすいです。3分の2の時間は「聴き手」に回れるから。そして純粋に、色々な意見を聴くことができて新鮮な驚きがあるから。
私自身、校閲講座で一人語りの収録を何度も経験済みですが(最新のもののの前編は https://shincho.hon-gakko.com/catalog/vNF2QMWSQUb8hTXiTbjND8lsPK02/playlist/27502613-a8b4-4ad3-a0b6-00afb3e4a7bf/61e39429-9be1-4905-b8b2-4e889c3d8bd2 にて。後編は編集中です)、
一人で90分話すのは本当に大変です。台本があっても大変。自分が休んだらただの沈黙になってしまう。
聴いている側としても、3人の色々な意見が聴ける方がとっつきやすいのではないかと思います。
(ただし、一つのトピックを深掘りするなら一人か二人のほうが良いですね。)
今回の講座で興味を持たれた方は是非、上にも記した「新潮社の校閲オンライン講座(前編) 校閲という仕事の全体を眺めてみる」を受講してみてください。
練習問題付きですし、経験者の方も参考になる部分が必ずあると思います。

…と、宣伝じみた感じなのもアレなので、つづいてはイベントの中身についての反省を。

もともとの予想通り、90分というのは本当にあっという間です。3人で割れば一人30分ですし。
色々詰め込んだ、かなり盛りだくさんの内容でしたが、まだまだ足りません。話し切れなかったことはまた別の機会に…。
今回、前段階のブレストで出て「なるほどー!」と思ったものの本編に載せられなかった話がありますので、ここで一つだけ紹介します。
調べ物の「チェックマークのつけ方」についてです。
新潮社では、たとえば「岸田文雄」という人名をチェックしたら、縦書きの場合その文字の右上にレ点をつけて、チェック済みという印にしています。
(ちなみに、他社ではレ点のみだと逆に「未確認」という意味になることもあるそうです。この辺の違いって著者の方にどのくらい伝わっているのかなと疑問に思うこともありますが…)
しかし、今回の私以外の登壇者お二人のように進行係をこなしながらゲラをやったり、付物(カバー、帯など)のチェックで本文校閲をいったん止めたりする場合、右上にチェックマークをつけると「どこまでチェックしたのかがわからなくなる」という弊害がなくもないのです。
具体的に言いますと、「岸田文雄首相が〇月〇日、インドを訪問して××氏と面会した。」という一文があった時に、「岸」の右上、「〇」「インド」の右上…とチェックを付けていくやり方だと、
インターセプトが入った時に「〇月〇日」までチェックしたのか、「〇月」までしかチェックしていないのかがわからなくなってしまうことがあるのです。一つのゲラに集中できればそういうことは起こりにくいですが、とくに週刊誌のようなわちゃわちゃした現場だと日々起こる事象です。

これを防ぐために、「文章の最後までチェックが完了してから、末尾にチェックマークをつける」という一つの方法がブレストで他の登壇者から紹介されて、なるほどと思ったのです。
先ほどのアメリカの例文なら、最後の「した。」の右側にチェックマークをつける、という要領です。
これが汎用性のある最適解かどうかはわかりませんし、あくまで一つの方法ですが、調べ漏れを防ぐ一つの手段、コツのようなものになるとは思います。

あとは、全般的な話ですが、事前のブレストのときのほうが、初めて聴く話なので聴き手側(登壇者のなかの聴き手)のリアクションが自然、というのもありました。
そのため、今回のような鼎談の場合、事前にあんまり詰めすぎると本番のトークが面白くなくなってしまう、というか勢いがなくなる。でもある程度は段取りを決めておかないと、アドリブばかりで「言いたいことは何なのか」が分かりにくい、ふわふわした中身のないトークが続いてしまう。
この辺の匙加減もとても難しいところです。
私自身はアドリブを大切にしている、というか、アドリブじゃないと出てこないフレーズというものがある、と信じているので、今回もかなりアドリブ多めでした。というか正直、テーマ通りに進めた以外はほとんどアドリブに近い状態です。
全編見返した時に「この言い方はちょっとな…」と自分で思うところもなかったわけではないですし、今後のためにも改善点があれば是非どしどしお寄せいただきたいです。
いずれにしろ、聴いている方に少しでも臨場感が伝わったのであれば、それはこの上ない喜びです。

…というわけで、まだの方は必ずアーカイブをご覧ください。
https://archive20240829shinchokoetsu.peatix.com/

よろしくお願いいたします。

今後も、noteに校閲の話をすこしずつできたらな、と思います。更新頻度が低くなってしまうかもしれませんので、過去の記事も是非ご覧ください。既に十数本、アメブロから移植してあります。

では皆様、ご体調にお気をつけてお過ごしください。

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