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患者さんをミトンで縛ることなく病棟で生活するのにどのような工夫がされていたか?

H30.10.14
大学(母校)のサークルOB会で、終末期リハについて話す機会がありました。その時に、頂いたが答えられなかった質問に、ここで回答します。
(*僕の経験だけの話しです)

じゃ、行きましょう。

患者さんをミトンで縛ることなく病棟で生活するのに
どのような工夫がされていたか?

まず、療養型病院ということを理解してもらった方がいいと思います。
急性期病院(働いたことないけど)のように抜去されたらすぐ死んじゃうみたいな管はないと言ってもいいと思います。
(ん?急性期でも死んじゃう管とかあるのかな?わからん…)

中心静脈栄養…抜去したら痛いけど、すぐ死にません。再挿入で失敗して肺に刺さったりすると大変ですが…。

マーゲンチューブ…抜去したら、患者さんすごくスッキリした顔をされます。経鼻経管栄養中に抜いちゃうと、気管・肺の方に液体が流れたりして誤嚥性肺炎になる可能性は高くなるでしょう…。

くらいかなぁ…療養型の病院でよく使う管っていうのは…。
僕の経験上ね。

で、療養型病院での、身体拘束ってどれくらいなんでしょうか?

引用:身体拘束ゼロの実践に伴う課題に関する調査研究事業 H28.3 公益法人 全日本病院協会

医療療養病床では、93.1%
介護療養病床では、85.0%

ほぼ全員何かしらの拘束を受けてますね…。
(僕はそんな高齢者にはなりたくないなぁ…)

ちなみに、僕が働いていた病院は0.3%とかでした。
すごくない!?


じゃ、工夫について紹介しましょう。

中心静脈栄養の管について
挿入部は鎖骨下静脈から入れられるか大腿静脈から入れられるか、であることが多いように思います。

認知症があったりすると、管を入れられている理由を記憶できなかったり、管そのものの認識が難しくなったりすることがある。

まず頸部から入っている場合は、管が目につかないように、タオルなどで隠したり、中心静脈栄養の入っているパックを視野の外になるように位置を調整したりしました(自分で寝返りできない人も多かったので…)。

あとは、中心静脈栄養挿入部がテープで保護されているので痒くなったりします…。それは半分拘束にちかいかもしれないけど、そこをむき出しにしないようにしていました。


マーゲンチューブについて
まず、喉の感覚が残っている人は、このチューブ、めちゃめちゃ辛いです。

これは、正直めちゃ辛くて吐きそうになっている瞬間の写真w

ちなみに、自分で抜去する患者さんたくさんいます。
僕は、それでもいいと思うんですよね。
栄養中は、抜去すると誤嚥性肺炎になる可能性が上がってしまったり、窒息の危険性もあるので見守りが必要かもしれませんが…。

栄養のタイミングで挿入して、終わったら抜いてあげるっていうのが優しい対応のように思います。

あと、工夫ですが、ぶらぶらしないようにするってことでしょうか…。
触れられただけでも、喉の奥を触れられたように感じて「オエッ」ってなりますから…。

もう一つ、気を紛らわせる方法もとっていました。

賛否は別れるかもしれませんが、患者さんの好きだったものなどで、手作りして、それを釣って気を紛らわせる作戦をとることもありました。

最後に、これは拘束かもしれませんが、手指の動きは大きくは制限しないが、巧緻性は低下させるような手袋(ミトンとは異なる)をはめていただいている患者さんもいました。

最後に、僕の意見を。
治癒して、回復して…という見込みがない場合、僕は鼻からの栄養も望まないし、中心静脈栄養も望まない。
潔く、天国へ登りたいと思います。

みなさんなら、自分で管を抜いてしまう人にどのように対応しますか?
みなさんなら、管で栄養をとりながら、生きたいですか?
考えてみてください。

以上です。

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