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Greatest Rock Albumと手渡された「REVOLVER」

 先日、宇都宮にあるThe Beatlesをモチーフにしたベーカリーショップに行った。レジの後ろに、ポールのベースなどとともに、REVOLVERのゴールドディスク(レコード)が展示してあった。

ビートルズのカタログでハード(CD)で持っているのは、このREVOLVER。今日はその出会いを書いてみたいと思います。


60年代ロック好きであれば、一度は見たことのある妙に印象に残るアートワークのREVOLVER。


私とこのCDとの出会いは、さかのぼること17年前。

アメリカ・カンザス州。

 2005年6月16~19日の4日間、カンザス州の湖のほとりで、米国の人気JAMバンドが終結したWakarusa Music Festivalが開催された。当時、JAMバンドにのめりこんでいた大学生の私は、まだそれほど便利ではなかったインターネットを通じて、友人2名分のチケットやレンタカーを手配し、キャンプ道具を3人で手分けして機内に持ち込み、フェスに参加。お目当ては、SCI、STS9, Lotus, Tea Leaf Green, 等々。JAMバンドとは、即興性のあるライブパフォーマンスを特徴とするバンドです(説明を載せておきます)。


連日昼の12時ころからライブが複数の会場で始まり、翌朝6時まで音がやむことのない夢のような空間。

日中熱くなったりビールを飲みすぎたりすれば湖にダイブ&クールダウン。

そして、またビールを飲みながらJAMバンド特有のオーディエンスの状態に合わせた即興性のある音に身を委ねる。人生で最も多幸感を感じた経験の一つだ。

2005年のWakarusaは、延べ5万人ほど参加(コロナ前のFuji Rockで延べ13万人)。

それなりの規模のフェスですが、JAMバンドのフェスということもあり、日本人(アジア系含めて)は最終日のテント撤収後に1組見かけた記憶がかすかにある程度で、ほぼ皆無。

東洋からの珍奇なマニアだと思われたのか、よく他の観客のアメリカ人に、「これは何というバンドか?」とか、「このバンドの出番はいつ?」と、「どうやってこのバンドを知ったのか?」など、よく声を掛けてもらえた。

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珍しい日本人に興味を示した近くでキャンプをしていたアメリカの方が、私たちと同じSTS9好きということで、仲良くなりました。

夢のようなフェスが終わり、お別れの時。そのうちの一人のアメリカ人が、「This is the greatest rock album ever.」と言って、何かを手渡した。
それが、The Beatlesの「REVOLVER」でした。


帰国後、ワクワクしながらCDコンポに入れて再生すると、「あれ?知っているビートルズの曲がない!?」(「赤盤」や「青盤」や「1」に入っているような曲がほとんどない。)。

The Beatles 「REVOLVER」 1966年8月5日発売 (英国)

<収録曲>
1. Taxman
2. Eleanor Rigby
3. I′m Only Sleeping
4. Love You To
5. Here, There And Everywhere
6. Yellow Submarine
7. She Said She Said
8. Good Day Sunshine
9. And Your Bird Can Sing
10. For No One
11. Doctor Robert
12. I Want To Tell You
13. Got To Get You Into My Life
14. Tomorrow Never Knows


曲調もTaxmanのエッジの聞いたギターサウンドから始まり、Eleanor Rigbyの緊張感のある弦楽器の演奏、I'm Only Sleepingの奇妙なギターソロ、Love You Toのシタールやタブラの音色・・・、ビートルズのポップで甘めの味付けとは真逆の印象。

これは本当にビートルズのアルバムなのか。なぜこれがThe Greatest Albumなのか。クエッションマークだらけ。

たまに聴こうとするも、初めの4曲の奇妙な感じがどうしてもなじめない。The Greatest Rock Album?
それだけが頭の片隅に引っ掛かりつつ、そのうちに、聴き返すこともなくなっていきました。

それから十数年経過し、みのミュージックさんや書籍を通じ、60s&70sロックを聞き返すようになり、自然とビートルズもアルバム単位で通して聞くようになりました。

初期のPlease Please MeからHELP!までの世界中にビートルズ旋風を巻き起こした前期。Rubber Soul、REVOLVERの過渡期。Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Bandでコンセプトアルバムというロックの一種のピークを作り、後世のあらゆる音楽の種を含む懐の深いWhite Albumを発表し、その後各自の個性を強調したAbbey Road、Let it beの大団円に向かう後期(私なりのざっくり解釈です)。

アルバム単位でビートルズをしっかり聴き返す体験をした後に、REVOLVERを聞き返すと、確かにThe Greatest Rock Albumだわっ!!

と、17年越しにやっと理解できた。17年前にアメリカの湖のほとりで出会った彼とようやく同じ景色を見られた気分だ。

わからないものをわからないまま小脇に抱え、世界をノックし続ける。

するとある日その意味がわかることがある。そんな経験をさせてくれた1枚のアルバムがREVOLVERだ。


みのミュージックさんのREVOLVERの曲の詳細の解説や果敢にアルバムのランク付けに挑んでいる動画が大変面白く、興味深いので、アルバムの詳細はそちらを参考にしていただけるとありがたいです。


明日のことはわからない。小脇にたっぷりわからないものを抱え生きていこと思った、GWの朝でした。

今日のお昼はエビクリームコロッケを食べよう。では、よい一日を!




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