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『世界のサラダ図鑑』に登場してくる日本では手に入りにくい食材 第23回 果物 その2 ココナッツ

ココナッツ

使用されているサラダ
ココナッツフレーク(生)
Tropical Curried Chicken Salad, アンティグア・バーブーダ/ Jamaican Fruit Salad, ジャマイカ/Ambrosia, アメリカ/Plecing Kangkung, インドネシア/ Miang Kham, タイ/Kosambari, インド/ Baledindina Kosambari, インド/Mas Huni, モルジブ/Verkadalai Sundal, スリランカ/Kelaguen Mannok, グアム

ココナッツミルク
Goedangan, スリナム/Khanom Chin Sao Nam, タイ

ココナッツクリーム
Cameroonian Fruit Salad, カメルーン/Ika Mata, ニュージーランド

知っているようで知らないココナッツの実

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 ココナッツ(ヤシの実)は実際に見たことのない人はいるかもしれませんが、多くの人はどのような果物か知っていると思います。ですから、ココナッツがどのようなものであるかを説明することは省くことにします。
 ただ、一つだけ言及したいことがあります。一口にココナッツといってもいろいろな品種がありますが、サイズなど違いがあるもののすべて使い道は同じだと思っていいでしょう。品種とは別にアメリカでは2タイプのココナッツが売られています。ひとつはおそらく日本でも売られているぼさぼさと毛が絡まっているような硬いもの、もうひとつは白い柔らかくて厚い皮で覆われたものです。茶色いものは熟したココナッツで、白いほうはヤングココナッツと呼ばれる熟していない若いココナッツです。ヤングココナッツを割ってみると分かるのですが、白い部分の内側は茶色ではがすと茶色いココナッツのようになります。両者とも熟している/いないの違いがあるだけ実の構造は同じわけです。

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熟したココナッツ。ちょっと熟し過ぎなのか白い実の周りが黒くなっています。このココナッツにはココナッツウォーターが大さじ2くらいしか入っていませんでした。


 どんな風になっているのでしょう。梅をちょっと思い浮かべてください。梅とココナッツが同じ構造をしているかどうかは調べていませんが、説明するのにはとても分かりやすいと思います。梅のいちばん外側が皮、皮をむくと実、実の中央には種、種を割ると小さくて柔らかい粒が出てきます。ココナッツはこれによく似ています。いちばん外側が皮(未熟なものは緑か黄色、熟したものは茶色)、その内側に実のようなもの(熟していないものは白、熟したものは茶色)があり、その中央に硬くて茶色い殻のようなものがあってその内側に我々が食べる白い実があります。

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ヤングココナッツ。緑の皮をむいた状態で売られています。外側の白い部分は食べられません。その白い部分の内側が茶色なのが分かります。この部分が熟したココナッツの殻に相当します。その内側にある白い部分が食べられる部分。上の熟したココナッツと比べると遥かに薄いのが分かります。


 ヤングココナッツが白いのは緑色の皮をむいた状態で売られているためです。熟したココナッツが茶色くて硬いのは、ヤングココナッツの白い部分(熟したものでは茶色)を除いて硬くて茶色い殻の状態で売られているからです。

ココナッツってどうやって使うの?

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 ココナッツで食用にされる部分には2つあります。白い実とその内側にある液体です。液体とはココナッツウォーターのことで、日本でもおそらくパックや缶に入ったものが買えると思います。ココナッツに穴を開けてストローを差して飲むのがココナッツウォーターです。
 白い実は細かくおろして複数の形で利用します。最もよく知られるのが日本でココナッツフレークを呼ばれているもので、これはおろした実を乾燥させたものです。この本の中に出てくるサラダではほぼすべて生のものが使われています。

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 ココナッツの実はココナッツミルク、ココナッツクリームを作るのにも使われます。こまかくすりおろしたココナッツをボウルに入れ、水を加えてよく揉むと水が白くなります。これを濾した液体がココナッツミルクです。でもアメリカでは缶入りのココナッツミルクがどこのスーパーでも手に入るので、自分で作る人はまずいないでしょう。
 ココナッツミルクとクリームの違いは含有脂肪分で、缶入りのココナッツミルクは9~15%、クリームには19~22%の脂肪分が含まれています。ただしパック(カートン)入りのココナッツミルクは缶入りよりも脂肪分が少ないのが一般的です。
 さて、売られているココナッツには熟したものと熟していないものがあると前述しましたが、このふたつが存在することには理由があります。熟していないヤングココナッツには甘味のあるココナッツウォーターがたっぷり入っています。実はまだ未成熟で厚みがありませんが、熟した物よりも柔らかいのでそのままスライスして食べられます。熟したココナッツは逆にココナッツウォーターが少なく、なかには入っていないものをあるほどです。味も違い、熟したココナッツのココナツウォーターにはしょっぱさが少し加わります。その代わりに実はヤングココナッツの何倍にも厚くなっています。実はヤングココナッツのように柔らかくはありませんが、もちろん生食が可能です。つまりヤングココナッツはココナッツウォーター用、熟したココナッツは白い実用ということもできます。

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ヤングココナッツの上部をカットしたもの。ココナッツウォーターがたっぷり入っているのが分かります。

代替品は?

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 ココナッツに関しては代替品はありません。ココナッツミルクは日本でも手に入りやすくなってきたようなのでぜひ試してみてください。生のココナッツの実はまだ手に入りにくいかもしれませんね。生のココナッツがないと作れないサラダが結構出てきてしまいます。おそらく簡単に手に入る乾燥したものを使うことになるわけですが、そのまま使うのではなく、蒸して生に近い状態にしてから使うといいと思います。煮ると脂分が多く溶け出すので勧められません。
 ココナッツクリームはもしかすると手に入りにくいかもしれませんね。手に入らない場合はココナッツミルクで代用します。缶ごと冷蔵庫に一晩置くと脂肪分が分離して上に層を作ります。この上層部がクリームなのでそれをスプーンで取って使ってください。


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