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プリファブ・スプラウトを聴きたい季節

誰がなんと言おうと、僕はプリファブ・スプラウトが好きだ。
もうかれこれ30年以上聴いている。まったく飽きのこない音楽。
元気をもらえるとか、勇気がわくとか、哀しみを癒してくれるとか、そういうところとは別のところで、しかし確実に心に響いてくる。

5月から6月にかけてよく聴くのは『From Langley Park to Memphis 』。
とびきりポップなアルバムだ。トーマス・ドルビーのプロデュースによる、シンセサイザーを巧みに使った煌びやかでクリアーな、そして随所に捻りの効いた音で統一されている。パディ・マクアルーンが紡ぎ出す良質な楽曲がこれでもかとアルバムに並ぶ。オープニングの「The Kind of Rock'N Roll」、「Cars And Girls」のアップテンポな曲にはじまり、このアルバム最大のハイライトといえる「I Remebmer That」につながる。ため息をつくばかりの美しい旋律には何度聴いてもはっとさせられる。

この季節はなんとなくダウナーに陥りやすい時期。4月から新しい年度の始まる会社勤めの身には何歳になっても慣れないし、平常心でやり過ごせない。自分に無理をしているなあと感じる、新緑の眩しいこの季節にはついこのアルバムを聴いてしまう。別に80〜90年代の音楽を懐かしみたくて聴くわけではない。先に書いたとおり、救いを求めて聴くわけでもない。しかし、このアルバムにはなにか気持ちのブレや昂りを正してくれるような、そんな魔力がある。
僕にとっては、もう何十年と聴き続けたことによる秘伝のタレ?のようなものなのかもしれないけれど。


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