インボイスが記帳代行に与える影響(税理士)

かつて自動改札などなかった時代、駅員が切符や定期を改札で回収や検札をしていた。いまではICカードが主体となり改札業務が様変わりした。

インボイス制度も経理のICカードとなり業務が様変わりするだろう。かつて決算書を手書きしていたころ、貸借を合わせて帳簿を締めることが技術とされた時代、もうそこに戻ることはまずない。というより技術の発現場所が変化したのだ。具体的には数字合わせより数字そのものの意義と解釈が重要となったのだ。

インボイスによる影響は仕入税額控除を受けられないことが大きいが、経理実務も電子化が加速する。仕入れ伝票と登録番号をもとに消費税の課税事業者かを判断するために会計ソフトに入力する作業、それをOCRで自動化するためのスキャン作業、人件費がかさむ。
一方会計事務所に頼らない事業者の経理がいい加減であればあるほどに税務調査は難航する。その割に小規模ゆえ増差税額は僅か、行政コストもかさむ。
結果として我流でも自力による経理のほうがコスト的に有利と思われ、記帳代行しか出来ない会計事務所の原価割れが加速する。記帳代行といえども値上げする事務所も増えるだろう。

インボイス制度は、消費税という一見簡単そうに見えて難解な税法に位置する。
この税法の落とし穴である課税事業者選択届出、簡易課税制度選択届出、課税期間短縮届出の三大届出を初めとしたトラップの怖さをほとんどの人は知らない。

専門家の居場所は確実に変化しつつある。

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