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悩まない、悩んでいるヒマがあるなら考える。

人生は何かを成し遂げるにはあまりにも短い。

「本当に優れた知的生産には共通の手法がある」

では何が本当のカギなのか?

それがこの本のタイトルにある「イシュー」だ。

「イシューとは何か」それについてはこの本をじっくり説明していくが、実際のところ「何について答えを出すべきなのか」についてブレることなく活動に取り組むことがカギなのだ。

著者[安宅和人]
東京大学大学院生物化学専攻にて修士号取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。マーケティング研究グループのアジア太平洋地域における中心メンバーの一人として、飲料、小売り、ハイテクなど幅広い分野におけるブランド立て直し、商品・事業開発に携わる。2008年よりヤフー株式会社に移り、2012年よりチーフストラテジーオフィサー。著書に「シン・二ホン」



■バリューのある仕事とは何か

バリューの本質は二つの軸から成り立っている。一つ目が「イシュー度」であり、二つ目が「解の質」だ。「イシュー」という言葉はあまり聞いたことがない人もいるだろう。

僕のいうところのイシューはAとB両方の条件を満たすものがイシューとなる。

A、二つ以上の集団の間で決着のついていない問題

B、根本に関わる、もしくは白黒はっきりしていない問題

「イシュー度」とは「自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ」そして「解の質」とは「そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い」となる。


■仮説を立てる 「スタンスをとる」ことが肝要

イシューの見極めについては「こんな感じのことを決めないとね」といった「テーマの整理」程度で止めてしまう人が多いが、これではまったく不足している。

実際の検討を始めてから再度「イシューは何だろう」と考えているようではいくら時間があっても足りない。こうしたことを避けるためには、強引にでも前倒しで具体的な仮説を立てることが肝心だ。

「やってみないとわからないよね」といったことは決して言わない。ここで踏ん張り切れるかどうかが、あとから大きく影響してくる。

①イシューに答えを出す
そもそも、具体的にスタンスをとって仮説に落とし込まないと、答えを出し得るレベルのイシューにすることができない。たとえば「〇〇の市場規模はどうなっているか?」というのは単なる「設問」に過ぎない。

ここで「〇〇の市場規模は縮小に入りつつあるのではないか?」と仮説を立てることで、答えを出し得るイシューとなる。仮説が単なる設問をイシューにするわけだ。

②必要な情報・分析するべきことがわかる
仮説を立てない限り、自分がどのレベルのことを議論し、答えを出そうとしているのかが明確にならず、それが明確になっていないことにすら気づかない。仮説を立てて、はじめて本当に必要な情報や必要な分析がわかる。

③分析結果の解釈が明確になる
仮説がないまま分析を始めると、出てきた結果が十分なのかそうでないのかの解釈ができない。その結果、労力ばかりかかることになる。


■イシュー特定のための情報収集

ふつうの会社では「仮説のような不確かなものをベースに話をするなんてけしからん」とお叱りを受けることが多いかもしれない。だが、論理だけで問題の着眼点や話の切込みのポイント、つまりイシューや仮説につながるものを見つけるのは難しい。

これはどんな人にとってもそうだ。問題解決のプロであるベテランコンサルタントでも辣腕社長でも気鋭の研究者でも、知見や見立てのないテーマにぶち当たれば、仮説を立てるための手がかりを集めるしかない。

では、手がかりを得るためにはどうしたらよいか。それは、取り組んでいるテーマ・対象について「考えるための材料をざっくりと得る」ことだ。つまり、時間をかけ過ぎずに大枠の情報を集め、対象の実態について肌感覚をもつ。

ここでは細かい数字よりも全体としての流れ、構造に着目する。


■イシュー分析とは何か

生産性を劇的に高めるためにもっとも重要なのは、「本当に意味のある問題=イシューを見極めること」だ。だが、これだけでは「バリューのある仕事」は生まれない。イシューを見極めたあとは「解の質」を十分に高めなければならない。

解の質を高め、生産性を大きく向上させる作業が、「ストーリーライン」づくりとそれに基づく「絵コンテ」づくりだ。この二つを合わせて「イシュー分析(またはイシューアナリシス)」という。

これはイシューの構造を明らかにし、そのなかに潜むサブイシューを洗い出すと共に、それに沿った分析のイメージ作りを行う過程だ。これによって最終的には何を生み出すのか、何を伝えることがカギにとなるのか。そのためにはどの分析がカギとなるのか、つまりは活動の全体像が明確になる。


■イシューを分解する 意味のある分解とは

多くの場合、イシューは大きな問いなので、いきなり答えを出すことは難しい。そのため、おおもとのイシューを「答えを出せるサイズ」にまで分解していく。分解したイシューを「サブイシュー」という。

サブイシューを出すことで、部分ごとの仮説が明確になり、最終的に伝えたいメッセージが明確になっていく。

イシューを分解するときは「ダブりもモレもなく」砕くこと、そして「本質的に意味のある固まりで」砕くことが大切だ。

例えば、「卵の成分ごとの健康への影響」をイシューとした場合、サブイシューでは白身、黄身などの成分に分けた検討が必要になるだろう。だが、ここでよくあるのが、ゆで卵をスライスするように同じようなサブイシューばかりを設定してしまうことだ。

確かにダブりもモレもないが、これでは何と何を比較し、何に答えを出そうとしているのかわからない。

つまり、入り口にあたる「切り分け方」を誤ると、その分析自体が生き止まりになってしまう可能性が高いのだ。したがって「本質的な固まりで」切り分けることはとても重要なポイントになる。


■ストーリーラインを組み立てる

イシューを分解し、そのサブイシューに個々の仮説が見えれば、自分が最終的に何を言わんとするのかが明確になる。ここまでくればあと一歩だ。

イシュー分解の次のステップは、分解したイシューに基づいてストーリーラインを組み立てることだ。分解したイシューの構造と、それぞれに対する仮説的な立場を踏まえ、最終的に言いたいことをしっかり伝えるために、どのような順番でサブイシューを並べるのかを考える。

典型的なストーリーの流れは次のようなものだ。

①必要な問題意識、前提となる知識の共有
②カギとなるイシュー、サブイシューの明確化
③それぞれのサブイシューについて検討結果
④それらを統合した意味合いの整理

人に何かを理解してもらおうとすれば、必ずストーリーが必要になる。それが研究であれば論文の流れであり、ビジネスであればプレゼンの流れだ。

まだ分析も検証もしていない時点で「仮説がすべて正しいとすれば」という前提でストーリーをつくる。

どういう順番、どういう流れで人に話をすれば納得してもらえるのか。さらには感動、共感してもらえるのか。それを、分解したイシューに基づいてきっちりと組み立てていく。


■アウトプットを生み出すとは

このステップで何を目指すのかを再度確認しよう。僕たちがやっているのは「限られた時間で、いかに本当にバリューのあるアウトプットを効率的に生み出すのか」というゲームだ。

どれだけ価値のあるイシュー度の高い活動に絞り込み、そのアウトプットの質をどこまで高めることができるか、それを競うゲームだ。この段階は他のどのステップよりもスポーツ的だ。正しい心構えと正しいゲームの理解が重要になる。


■回転数とスピードを重視する

正しくアウトプットを理解し、注力し、トラブルを回避すれば、最後は「軽快に答えを出す」だけだ。どんなイシューもサブイシューも、答えを出して初めてそれに関する仕事が終わったと言える。

ここで大切なことは「停滞しない」ことだ。要は早くまとめていくのだが、そのためには次のコツを知っておきたい。

停滞を引き起こす要因として、最初にあげられるのが「丁寧にやりすぎる」ことだ。「丁寧にやってなぜわるいのか」と言われるかもしれないが、生産性の視点から見ると、丁寧さも過ぎると害となる。

「60%の完成度の分析を70%にする」ためにはそれまでの倍の時間がかかる。80%にするためにはさらに倍の時間がかかる。一方で、60%の完成度の状態で再度初めから見直し、もう一度検証のサイクルを回すことで「80%の完成度にする半分の時間」で「80%を超える完成度」に到達する。

単に丁寧にやっていると、スピードだけでなく完成度まで落ちてしまうのだ。

よって数字をこねくり回さず、手早くまとめることが大切だ。一回ごとの完成度よりも取り組む回数を大切にする。また、90%以上の完成度を目指せば、通常は途方もなく時間がかかる。そのレベルはビジネスはもちろん、研究論文でも要求されることはまずない。

そういう視点で「受け手にとっての十分なレベル」を自分のなかで理解し「やりすぎない」ように意識することが大切だ。


■一気に仕上げる

検証報告の最終的なアウトプットは、ビジネスではプレゼンテーション、研究では論文という形をとることが多いだろう。これらは第一に聞き手、読み手と自分の知識ギャップを埋めるためにある。

聞き終わったとき、あるいは読み終わったときに、受け手が語り手と同じように問題意識を持ち、同じように納得し、同じように興奮してくれるのが理想だ。

このためには、受け手に次のようになってもらう必要があるだろう。

①意味のある課題を扱っていることを理解してもらう
②最終的なメッセージを理解してもらう
③メッセージに納得して、行動に移してもらう

講演、発表するにあたっての心構えとして「デルブリュックの教え」というものがある。これは科学に限らず、知的に意味のあることを伝えようとしている人にとって、等しく意味のある教えではないかと思う。それが次のようなものだ。

「ひとつ、聞き手は完全に無知だと思え」

「ひとつ、聞き手は高度の知性を持つと思え」

どんな話をする際も、受け手は専門的な知識は持っていないが、基本的な考えや前提、あるいはイシューの共有からはじめ、最終的な結論とその意味するところを伝える。つまりは「的確な伝え方」をすれば必ず理解してくれる存在として信頼する。

「賢いが無知」というのが基本とする受け手の想定だ。


■「コンプリートワーク」をしよう

プロフェッショナルの世界では「努力」は一切評価されない。確かに手の込んだ仕事をすれば多少の感銘はしてもらえるかもしれないが、それはあくまでもきっちりとした結果が生み出されてのことだ。

常に最初に来るのは結果であり、努力はその評価の補助手段であり「芸の細やかさ」をアピールするものに過ぎない。たった一つの分析でも、そのとき取り扱っている一つのイシュー、サブイシューに答えがでなければ、どれほどそこに時間とお金をかけても何の意味もない。

いや、むしろクライアントや自社に貴重な時間とお金を無駄にさせたという意味では、大変な大罪だ。

すべての仕事は結果がすべてであり、この結果があるレベルの価値に到達しないと、その仕事はいかなる価値ももたず、多くの場合マイナスになる。

「コンプリートワーク」をするためには命を削るような思いをするだろうが、命を削ること自体には何の意味もない。その酷薄なまでの真実が、僕らを時間から解放し、本当の意味で自由にしてくれる。

「人から褒められること」ではなく、「生み出した結果」そのものが自分を支え、励ましてくれる。生み出した結果によって確かに変化が起き、喜んでくれる人がいることが一番の報酬になる。

この価値を生み出す根っこにあるのが「イシューからはじめる」という思想である。これをしっかりと持つだけで僕らの生活は格段に楽になる。そして毎日が格段に充実したものになり、一日一日で生み出す価値は遥かに大きなものになっていく。



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「イシュー」とはバリューのある仕事するために、目の前にある解決しなければならない問題の中で、本当に答えを出さなければならないものである。

私たちが日常の中で悩んだり、迷ったりしている問題というのは大抵の場合、自分で深く考え、答えを出さなくてもよいと思っている。

答えを出さなくてもよい問題に自分の思考する時間やエネルギー、リソースを割くがために、私たちは物事を深く考えることができない。

自分が今、考えなければならない問題は「何なのか」をまず考えることが大切である。

まずは、そこにリソースを使う。

そして本当に解決しなければならない問題に取り掛かるのだ。

こう書くと答えを出さなくてもよい問題は放置するのかと思われるかもしれないが、それは違う。

深い思考で考えずに、「直感」で判断すればよい。疑問を抱くかもしれないが、人は「直感」で出す答えと、少しばかり考えた答えとでは、実はあまり大差がない。

「直感」は思考を捨てることではない。

そうして余ったリソースをまずは、「考えなければならないこと」を考えることに使い、バリューのある仕事や人生を生きるために、思考する。

つまり、人生を豊かにしたいのなら「イシューからはじめよ」ということなのだ。


私の情報が少なからず皆さんのお役に立てればと思います。
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