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すべての人が他人に「何か」を求めている。


誰もが相手に好意を求め、自分を受け入れて認めて欲しいと思っている。

著者[レスギブリン]

アメリカの心理カウンセラーのエキスパートとして知られ、人間の本質に関する深い洞察が好評を博す。本書の原書は1956年の刊行以来、半世紀にわたり不朽の名作として世界中のロングセラーになっている。



■相手が求めているものを与える。

良い人間関係とは自分が求めているものを手に入るのと引き換えに、相手が求めているものを与えることだ。

それ以外の関係はうまくいかない。相手に何の見返りも与えずに、自分が与えているものを手に入れることに後ろめたさを感じない人は、人間関係に関する本を読んでも仕方がない 。

本書は自分が求めているものを手に入れて、しかも相手を満足させる技術を習得したい人のために書かれている。

自分が成功と幸福を得ようとすると、他人の成功と幸福を台無しにすると思っている人もいるかもしれないが、だが、真実はその逆である。

一般に、幸福な人は不幸な人より多くの幸福を振りまくし、成功者は失敗者より多くの恩恵を周囲の人にもたらす。

自分の願望が適度の満たされている人は、不満をため込んで絶えずいらだっている人より他人の願望にたいしてはるかに寛大で思いやりがあるからだ。

心理学者、犯罪学者、聖職者、精神科医は、この世の問題の大半が不幸な人々によって引き起こされていることを指摘し、欲求不満で惨めな思いをして暮らしていると、周囲の人に多大な迷惑をかける恐れがあることを警告している。


■人間関係の4つのルール

相手が夫、妻、子供、親、上司、部下、同僚、友人、知人のどれに該当しようと、人と関わるときは、次の4つのことを肝に銘じる必要がある。

①すべての人は程度の差こそあれ自分本位である。

②すべての人は自分に最も強い関心を抱いている。

③すべての人は自分が重要だと感じたがっている。

④すべての人は他人に認められたいと思っている。

すべての人は自分の自尊心を満たしてほしいと思っている。その願望がある程度満たされて初めて、人々は自分のことを「忘れ」、他人に意識を向けることができる。また、自分が好きになって初めて、人々は他人に対して友好的になることができる。



■自尊心が満たされないと他人に対して批判的になる

問題を抱えた大勢の人を対象にした臨床心理学の研究によると、自尊心を満たしたいという思いは、空腹を満たしたいという思いと同じくらい自然で普遍的だという。

どちらも自己保存を目的にしているからだ。体が食料を必要としているように、自尊心は意欲と承認と満足感を必要としている。

自己中心的な人にも同じ理屈が当てはまる。健全で正常な性格であるかぎり、自分を受け入れて認める必要がある。「自分のことは忘れなさい」とたしなめられてもどうしようもない。

自尊心を満たされない限り、自分のことを忘れることができないからだ。しかし、いったん自尊心が満たされると、自分のことを忘れて他人のニーズに意識を向けることができる。



■気難しい人には誉め言葉をかける

気難しい人に対処する効果的な方法は、たった一つしかない。その人が自分自身をより好きなるのを手伝うことだ。

傷ついた自尊心を癒すのを手伝えば、相手はおとなしくなって突っかかってこなくなる。自尊心が深く傷ついている人は、腹を空かせた猛犬のようなものだ。

どんな猛犬も餌を与えれば、吠えたり噛みついたりしなくなる。人間関係も同様で、心のこもった誉め言葉をかけて相手の自尊心を満たせば、気難しい人に対して大きな効果を発揮する。(普通の人に対して効果があるのは言うまでもない)

他人について賞賛できる些細なことを探してみよう。毎日少なくとも5つの誉め言葉を周囲の人にかける習慣を身に着けよう。人間関係がどれだけ好転するかを観察すれば、さぞかし感動するに違いない。



■熱意は人から人へ伝染する

熱意は伝染しやすい。それと同様に、熱意がないのも伝染しやすい。

小売店に入ったとき、店員が退屈そうな表情を浮かべているのを見たことがあるだろう。そして、商品について尋ねると、その無気力な店員に「さぁ、わかりません」と言われたかもしれない。

あなたはその態度に嫌気がさしてなにも買わずに立ち去ったに違いない。しかし、その原因を分析すると、店員の熱意のなさが自分にも伝染して、買う気がなくなったというのが実情である。

あなたは無意識に「この商品を売っている店員が熱意を持っていないのだから、客がこの商品に熱意を持ってもしかたない」と考えたのだ。

自分が熱意を持つまで相手に商品を売ることはできない。

自分が商品に対して熱意を持つと、相手はそれを買いたくなる。

他人の熱意をコントロールできることを証明する最高の例は、「全米屈指のセールスマン」と呼ばれたフランク・ベトガーである。彼は29歳まで失敗続きで、うだつの上がらない人生を送っていた。彼は当初、顧客が商品に対して熱意を持つように働きかけていたが、ある時やり方を変えた。

自分が商品に対して熱意を持つことを心掛けたのだ。

その結果、顧客も同じように熱意を持ち、商品を買ってくれた。彼はそれをきっかけにセールスマンとして大成功を収めた。



■自身溢れた態度が人をひきつける

最近、全米販売役員会のボブ・ホイットニー会長がこんなことを言った。
「セールスマンにとって自信にあふれた態度とは、銀行に預金がふんだんにあるようなものなのだ。自信にあふれた態度をとり、自信にあふれた表情をすると、自信がみなぎるように感じる。

さらに重要なのはそれによって見込み客が信頼を寄せていくれることだ。私は平凡なセールスマンが驚異的な売り上げを達成するのを見てきた。彼らは自信にあふれた態度をとるすべを心得ていた。

一方、セールスの理論を熟知していても、伸び悩んでいるケースも見てきた、彼らは自信にあふれた態度をとるすべを心得てなかった」

「精神的に不安定で優柔不断な人を好きになる人はいない。私たちが本能的に好むのは、自分が求めているものを知り、それを手に入れると確信している人だ。

人々は自信のない人や弱気な人を嫌う。堂々と振舞い、目標へと邁進しよう。私は多くの人が意図的に自信にあふれた態度をとることで自分の性格を完全に変えるのを見てきた」

自分を信じているように振舞えば、相手はあなたを信頼する。このことをよく覚えておこう。



■あなたは自己評価のとおりに受け入れられる

自分がどのように受け入れられるかは、あなた自身が最も責任を負っている。多くの人は他人はどう思われるかを絶えず心配しているが、自分が他人にどう思われるかは、自分の自己評価によるところが大きい。

これも重力の法則と同じくらい確実な心理学の法則にもとづいている。

したがって、もしあなたが望み通りに受け入れてもらえないなら、たぶんそれはあなた自身の責任である。自分がつまらない人物のように振舞えば、世間の人はあなたの自己評価にもとづき、あなたをつまらない人物として扱う。

逆に、自分が素晴らしい人物のように振舞えば、世間の人はあなたの自己評価にもとづき、あなたを素晴らしい人物として扱う。

しかし、多くの人は尊大で高圧的な態度をとると自己評価が高いと思ってもらえると考えているようだが、実際にはその逆である。

本当に自分を高く評価している人は、自分が素晴らしい人物だと相手を納得させるために尊大で高圧的な態度をとらない。


■他人をけなす人は悪い印象を与える

人々はあなた自身の自己評価をもとに判断するだけではなく、あなたが自分の仕事や同業者に対してどういう評価をしているかをもとに判断する。

聖書に「裁かれたくなければ、裁いてはいけない」という教えがある。これは人間関係に関する名言である。私たちは何かを裁くたびに、自分を裁くきっかけを他人に与えてしまうのだ。

多くの離婚訴訟を扱う弁護士が、こんなことを言った。「夫や妻が配偶者の嫌な部分について話すたびに、その配偶者よりその人自身の本性があらわになっているように感じる」

つまり、他人についてネガティブな発言をすると、自分について悪い印象を相手に与える結果になるのである。

「上司はだめな人だ」とか「自分のしている仕事はつまらない」などと言うと、聞いている人は「あなたがダメな人だから、ダメな上司の下でつまらない仕事をしているのだ」と思うに違いない。

セールスにたずさわっている人に注意しておこう。ライバルをおとしめると顧客に嫌われることを知らないセールスマンが多すぎる。

相手に好印象を与えたいなら、ライバル社やライバル社の商品をけなしてはいけない。そんなことをするのではなく、自社の商品を称賛しよう。



■相手の以外な長所をほめる

全ての人が自分を褒めてほしいと強く思っている。しかし、相手のその欲求を満たすために大きなことを褒める必要はないし、当たり前のことを褒めてもあまり効果はない。

例えば、株の仲介人に株の売買の能力を褒めても、本人はなんとも思わないだろう。単なるお世辞として受け止めるだけである。しかし、もし料理の腕前を褒めたら、その人は感激してあなたに好意を抱くに違いない。

人を褒めるときの一つのルールは、目立たない長所を褒めることだ。例えば、たくましい肉体を持っている男性は、日ごろその事実を自覚しているから、他人にそれを認めてほしいとはあまり思っていない。

しかし、その人は目立たない長所を持っているかもしれないから、それを見つけて褒めれば、その人は大変嬉しそうな顔をするはずである。



■人は自分の知恵を活用してほしいと思っている

荷造りをしていて、顔なじみの人に「作業を手伝ってく下さい」と頼むと、恐らく相手は「私には関係ない」と言わんばかりのそっけない態度をとるだろう。

しかし、「今、荷造りをしているのですが、うまくいかずに困っています。知恵を貸してもらえませんか」と言うと、きっと相手は近寄ってきて「こんなふうにすればいい」といってくれるはずだ。

その理由は単純明快である。後者のやり方は人間の習性に関する基本的な法則にかなっているからだ。

産業心理学によると、相手は手伝いたくないわけではなく、知力と体力の両方を働かせるよう依頼されていないので、全面的に協力することができないのである。

「人々は知恵を求められなければ、体力を100%発揮することが心理的にできない」

それはまるで知力と体力がチームを組んで働くと決意いしているようなもので、どちらかを単独で働かせることは非常に難しい。

これは工場労働者に関する記録照明されていて、もはや疑問の余地はない。経営に対する発言権が与えられず、提案すら許されていない労働者は、提案を奨励されている労働者ほど熱心に働かない。



■命令するのでなく、アドバイスを求める

全ての人が他人の問題より自分の問題に興味を持っている。だから、いくら顔見知りに荷造りを頼んでも、相手は心の中で「それはあなたの問題だから私と関係がない」と思っている。

しかし、相手にアドバイスを求めたら、あなたは解決すべき問題を相手に与えて興味を引くことができる。この原理は会社の経営にもあてはまる。

例えば、経営者が直面する最も困難な問題の一つはコスト削減である。これはどの事業でも大問題だ。そこで従業員に説教をしたり義務感に訴えたりする。

しかしながら、コスト削減は問題の一つとみなされているにもかかわらず、従業員が最も協力しようとしない問題である。

一流の経営者は堂々と従業員にアイデアを求める。そうしたからといって自分の経営能力を疑われるという不安を抱いていないからだ。100人の従業員が思いつく素晴らしいアイデアを自分ひとりで思いつかないことを正しく認識している証である。

だから、絶えず労働者にアイデアを求め、優れたアイデアに対して特別手当を支給している。

一流の経営者は自分ひとりですべてのアイデアを生み出す天才ではなく、従業員からアイデアを引き出し、それをもとに最終決定を行い、実行に移す能力を持つ人物である。




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他人が求めているものはなにか?

例えば、商品やサービスを売るということは、基本的にクライアントのニーズを把握して欲しいと思っている人に欲しいものを売ることである。

もし、あなたが相手のニーズを知っていて、自分に提供できるならそれには需要があるし、受け取った人は単純に嬉しい。

そして、多くの人が潜在的に欲しいと思っているものがある。

それは承認であり、マズローの5段階欲求の4番目にあるのが承認欲求である。

マズローの5段階欲求とは、人間には5段階の欲求があり1つの欲求が満たされれば次の欲求を満たそうとする心理行動である。
①段階目 生理的欲求
食欲、睡眠欲、性欲などの生物としての生理的な欲求
②段階目 安全欲求
「安全なところで暮らしたい」などの安全への欲求
③段階目 社会的欲求
会社や家庭、集団に属したいという欲求
④段階目 承認欲求
誰かに認められたい、尊敬されたい、愛されたい、自分を承認したいという欲求
⑤段階目 自己実現欲求
なりたい姿、あるべき自分になろうとする欲求

今の日本だと3段階目までは、ほとんどの人がその欲求をほぼ満たしている。

そして、次に欲しいものが承認欲求であり、これは逆にほとんどの人が満たせていない。

ということは、他人を承認すれば大概の場合それは「相手の欲しいもの」だということなのだ。

しかも、相手を承認するのに高いお金や、労力はあまり必要ではない。相手を褒めたり、認めたりするだけでいい。

これが多くの他人が「求めているもの」である。

私達の周りにいる「人望の集まる人」とは他人や自分を承認する人のことかもしれない。

まずは、商品やサービスを売るのではなく、承認を誰かに伝えてみるのはどうだろう。

部下や上司に報告や連絡でなく、承認を伝えてみるのはどうだろう。

家族や恋人に、親や子供に、友達や知り合いまで。

あなたは他人が本当に求めているのはなにか知っていますか?


最後にこの本を勧めてくださった方に感謝して終わりたい。


私の情報が少なからず皆さんのお役に立てればと思います。
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