【妻が乳がんになりました】髪の毛がとうとう抜けてきたのを知っての衝撃
「ねえ 見て!」
朝シャンから出てきた妻が俺に話かける
「髪がこんなに抜けてきた!」
と言って手に持ったタオルを俺に見せる。
タオルの上には大量の毛髪。
抗がん剤を使うと髪が抜けるというのはわかっていたが、にわかに信じがたい光景を目の当たりにして、絶句する俺。
「ドラマみたいじゃない?」
へ?
楽しみにしていたドラマが今日から始まったかのようなウキウキかげんの妻。
髪って女性のシンボルなんだろう?
その髪が抜けると女性はみんな自分の境遇に絶望するって聞くけど? 今の妻はその真逆だ。
そうだ! 妻は俺に心配させまいと、気丈な態度をとっているのだ。 かわいそうに。
「本当だね。辛いね」
と俺は妻の心中を察し、神妙な面持ちでいった。
「いや〜 どっちかというと自分の髪質嫌いだったし、どうせまた生えるんだから」
まーーたく、気にしてない様子に逆に衝撃を受ける俺。
「自分でなんとか思い通りできるのに、それができないのは悔しいけど」
そうそう、お前は確かにそういうところあるよな。
いいかげんなことはできない性格だもんな。
「ただガンはさ、自分じゃどうにもできないしさ、ジタバタしても始まんないじゃない?」
すげーー!!
俺がもしガンになったら世の中の全てを憎み、呪うだろうに。
なんて俺の妻はすごいんだ。
俺の目に狂いはなかった。
妻は最高の女だった。
改めて俺は妻と結婚したことに感謝した。
「俺と一緒にいてくれてありがとう」
俺は心の中で妻を抱きしめた。
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