ジョニーデップの口から出てきた「Okinawa」とは【映画 『MINAMATA』】
今年の2月の頭に、熊本県水俣市へ行く機会があったので、向かう飛行機の中で見た作品。2021年に公開された新しい映画ですが、ジョニーデップがこのような作品を撮っていることを知りませんでした。
予告編の始まり10秒間は、Okinawaの景色が流れます。まさか見覚えのある映像が流れるとは思っていなかったので、驚きました。
本作は、水俣病と水俣に生きる人々を撮り、世界に伝えた米国の写真家ユージン・スミスの実話をもとに作られている。
彼は1970年代初頭、水俣病の患者を撮ったことでも知られているが、戦場写真家として米軍と共にサイパン、硫黄島、沖縄を巡ってきた経験もあり、太平洋戦争真っ只中の沖縄で、彼は日本軍の砲弾を受け重傷を負った。
体に破片が残り、後遺症に生涯苦しんだ彼は、本作でもウイスキーを飲まないと眠りにつけず、過去の経験に苦しむ姿が映されていた。
水俣病という公害は、今もなお続く。現在では、有害な水銀が工場から垂れ流しにされることはないが、今もなお水俣病の症状で苦しむ人たちが多くいる。
また、語り部の方々から話を聞くと、自身が水俣出身であることや、家族について話すことで、差別や偏見にあった経験をしていた。自身の生まれ育った場所を話せないというのはとても悲しいことだ。
ジョニーデップが制作・主演しているということで、世界中に”MINAMATA”で起きたことが発信されることは良いことだが、それと同時に、誤った広がりをしてしまうことで、さらなる苦しみを負わせてしまう可能性があることを私たちは忘れてはいけない。
「そっとしておいてほしい」という意見が出てくる一方で、私たちは地元の人がそう言っているからという理由で、見て見ぬふりをしていいわけではない。
高度経済成長期の水俣で、このような悲劇が起きてしまったのは、経済を優先させるあまり、苦しむ人たちの声を蔑ろにしてきたからではないか。
ユージンスミスのように、少しでも違和感を感じ、共鳴し、間違っていることにきちんと声を上げられる人がもっと多ければ、今はもう少し変わっていたかもしれない。
そして、それは被害者だけではなく、加害側にいた人(いざるを得なかった人)も同じく過去の過ちときちんと向き合う必要がある。そして、遠くに住む私たちも、水俣から学ぶことは大いにある。
来年で戦後80年となる、沖縄でも同じことが言える。
人と人とが殺し合いをしていまう戦争によって失われた命はもちろんのこと、ユージンスミスのように米軍に同行してカメラマンをしていた彼も、日本軍の砲弾を受けてから、カメラを再び手に取るまでには時間がかかった。そして、水俣の人々を撮影する中でも、当時の景色がフラッシュバックしてうなされている経験をしている。
沖縄戦も水俣で起きた出来事も、全ては人が引き起こした人災である。
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