見出し画像

その2 『不完全な二足制』と『完全な二足制』(2134文字)

1  はじめに

校内における『不完全な二足制』と『完全な二足制』というきまりについて、考えをまとめました。

2  『不完全な二足制』について

まず、『不完全な二足制』についてです。
教室が何階にあったとしても、教室の前に設置されている靴箱の場所まで下靴で上がってから上靴に履き替えるシステムのことです。
もちろん教室の中では、上靴で生活します。

教室から一歩外に出る際には、つまりトイレや移動教室の際には、下靴に履き替えます。

教室以外は下靴を履くきまりがありながら、給食当番による給食室への移動や全校児童による全校朝会での講堂への移動の際には、上靴のまま移動するきまりもあります。

これは、雑菌の多い下靴で立ち入る訳にはいかない事情や、全校児童が上靴に履き替える時間やスペースがない事情によるものです。

このことを踏まえて、どこが「不完全」かと言いますと、日常でも、例えば、すぐ隣にある多目的室に行く際には「ちょっとぐらい」という気持ちで、上靴のまま移動してしまうことが、子どもでも、大人でもあることです。

つまり、経験上、子どもも、大人も、100%守ることができないという意味で、『不完全な二足制』と言えます。

さらに、大人に限っては、それを忙しさや大人であること、仕事であることを理由に、きまりに則っていない自分を正当化することがあります。

このきまりが『不完全』にしか成り立たない事実を、子どもも大人も日常的に感じて過ごしているのです。

この状態を私は、生活指導上、問題視しています。

どうしてかと言いますと、毎日のように子どもは上靴のまま、当たり前の顔で、悪びれずに校内を歩き回ります。本来教室の外は、下靴に履き替えるきまりになっているにも関わらずです…。

そのたびに教職員は指導をしますが、この『不完全な二足制』というきまりには、前提として矛盾がある故、正しく浸透して定着する理由が存在しません。

ですから、教職員の指導に熱が入ろうものなら、子どもの反抗的な態度を導き出すことになります。教職員との関係が悪化するだけでなく、その指導で気持ちが乱れた子どもは、授業という学びまでも、疎かにしはじめてしまうのです。

本当は子どものために存在するきまりが、子どもを苦しめ、子どもを学びから遠ざけてしまうという本末転倒な状況を生み出してしまうのです。

以上から、学びに困難を抱える子どもや家庭での生活が複雑な状況等にある子どもにとっては、特に、このきまりは『生活指導上の問題』に発展すると感じています。

落ち着いた子どもばかり、大人に忖度できる子どもばかりで構成する学校であれば、何も問題は、起こりません。
(そもそも忖度すること自体が問題ですので、その点は、改めて考えていきます。)

3  『完全な二足制』について

一方、『完全な二足制』についてです。
朝登校すれば、校内の一階部分に設置された靴箱で、下靴から上靴に履き替えるシステムのことです。

運動場に出る時以外は、下靴を履くことはありません。特別教室や講堂への移動も、校内中すべて上靴になります。

唯一、上靴を脱ぐ場面としては、トイレに入る場合です。トイレ前に設置されたトイレ用のスリッパを使います。これは、トイレに存在する菌をできる限り、持ち出さないためです。

新型コロナウィルスによる学校での休校期間が始まった頃、検尿は自宅で採取したものを検査当日に持ち込む形に変わった病院もあったように思います。

また、異なる視点では『完全な二足制』は、不審者対策になります。
『完全な二足制』を導入する学校では、校内を下靴でうろつく人は不審者になります。

なぜなら、きまりと違うことをしているからです。
不審者が、来校時に上履き用として、設置したスリッパに履き替えさせられることで、活発で自由な動きを防ぐことができます。

スリッパを脱いで裸足で走り回ろうものなら、それこそ誰が見ても不審者でしかありません。
スリッパに履き替えることに応じない場合も同様です。

普段から『完全な二足制』を行うことで、不審者を不審者たらしめ、あぶり出す素地が学校そのものや、教職員、ひいては子どもにも意識づくと考えています。

これと相まって、保護者が子どもの忘れ物を届けにきた時なども、保護者単独で教室まで行かせない素地を作ります。

届け物は、確実に職員室等で教職員が預かって、教職員が教室まで届けるように徹底していきます。
子どもがいる教室まで直接届けに行きたい保護者の要望には、保護者の考えを受け入れつつ、必ず教職員が付き添うことを徹底する必要があります。

基本的に保護者であっても授業参観や懇談会等定められた行事以外は、子どもの生活するスペースには、単独で自由に入らせない、入れない意識・事実が、学校安全の大前提になると考えています。

と言うのも、保護者が不審者になることもあるからです。99.9%の保護者は、そうではありません。
しかし、子ども同士のトラブルや喧嘩に端を発して感情的になった保護者は、授業中の教室に…なんてことも0%ではありません。

以上から、大人も子どもも常に上靴で生活するきまりのもとでは、ほぼ指導を必要としません。
大きな視野で、安全・安心な学校の土台を築くことができると感じています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?