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社会的均衡崩し 禍福は糾える縄の如し

社会的均衡関係で僕の興味にマッチした文章があったので共有します。


マルチエージェント説得における社会的均衡関係の影響
門脇 克典 小林 一樹 北村 泰彦

擬人化エージェントによる説得において,エージェントとユーザの社会的関係が重要であると指摘されている.本研究では,バランス理論の観点からマルチエージェント説得における社会的均衡関係の影響を調べるために,二体のエージェントとユーザの三者関係についてエージェントの説得効果を評価した.その結果,エージェントの説得効果は不均衡関係より均衡関係のほうが高くなることが明らかになり,マルチエージェント説得において均衡した社会的関係を築くことが重要であることが示された.

簡単に言えば、一人で説得するよりも二人で説得した方が良いのは以前からわかってたことなんだけれども、その関係性も均衡関係にあった方が良いというシュミレーションの結果が出たという内容です。

ちなみに、マルチエージェントシステムは、複数人の人などを模したエージェント(代理人)を用意して、ある環境下での、その動きを模倣する取り組み(仕組み)です。

エージェント毎にニューラルネット(簡単に言えばAI)を入れて、それぞれが強調しながら行動するようになっています。人などを模したとはそういう意味です。


個人的には、こういったシュミレーションをすると、ある地点に収束する可能性が高いと考えています。殆どの場合、均衡する状態になるということです。例えばグーグルのページランクアルゴリズムの最初のやつ的な感じです。マルコフ連鎖みたいな。

もちろん、全てではないのですが、結局はエージェント毎に考えた合理性は、ある地点へ収束する。収束する理由は、報酬を考える機能があると、あまりリスクを取らないケースの行動が積み重なり、全体の均衡が構築されるからです。

*これ、調べたわけじゃありませんが、ニュースとか、色々なビジネスの業界のこととかみてるとそうですよね。人は安定したい生き物です。


ここからは、これに関連した別な話題から「有効な均衡と無駄な均衡」辺りについて考えていることを書きます。 何かオチがあるわけではないです。

「ご臨終ビジネス最前線」

近年、葬送のやり方の多様化が急激に進む米国。土葬だけだった数十年前からの変化と、今日の驚きの葬送スタイルまで。現代米国の葬儀産業の全てに迫る。(米CNBC 2013年制作)

米国で火葬が増えているそうです。

火葬にする人は、15年ほど前は4%だったのに、今では半数です。米国で一年で亡くなる人数は250万人。(あくまで2013年制作)

伸び率が半端ない。

要因は移民による変化, 宗教, お金, 色々考えられますが、火葬が増えたのは、かなりのインパクトです。 例えば日本で火葬をやめて土葬が半数になったと考えれば、凄い変化だと実感できるはずです。


こういった「常識」の変化が起きている業界は強いし面白いです。 自ら変化しようとしている柔軟性があり、新興企業も入りやすい。新陳代謝がある。

これは業界だけではなく、社会やそれを構成する構成員(エージェント)の感情も変化させていることでもあります。

つまり、収束したエージェント同士の均衡を崩しているとも言える(大雑把に言えば)


均衡が崩れている、崩そうとしている行為。

スタートアップもそうですが、最近日本では大事とされますよね。 過去の慣習を破り、新しい社会へ!みたいなのはニュース、記事でもみます。


ただ、それが本当に正しいのでしょうか?

ここでいう正しいとは、最大の効果をあげられるのでしょうか?


トランプ大統領

例えば、均衡状態をやめた例として、最近目立っているのはトランプです。

僕は、トランプは「長期的にみた世界での均衡」を目的として動いていて、それは中国の市場を変えること、つまり政治体制を変えることを目的としていると考えています。(僕の仮説)

もし、これがうまくいけば自由な経済が広がり、米国以外にも得です。ブレトン・ウッズの新規版というか、そういう系です。あくまで米国ファーストですが、その未来は自由があります。

そして、現状の「短期的にみた市場の不均衡」はその「長期的な均衡」のために犠牲になっている状態です。

*トランプの歳になっても、あそこまで果敢に挑戦するモチベーションはやっぱり凄いですね。トランプ自体の政策というか、その人としてです。健康も含め、なんというか人間力がすごい。


右側通行か左側通行か

違う例では、左側通行か右側通行か。

右でも左でも、どちらでも効果に違いはありませんが、地域毎に「ある一定の状態、常識」を元に均衡状態を作ります。慣習から均衡が作られているとも言える。

この意味のない均衡状態を崩そうとすると、事故のリスクだけが存在します。

例えば、左側通行の環境下で、右側通行をすればブツかります。 ただそれだけです。左を歩こうが右を歩こうが、最大の効果は変わらないのに、わざわざ変えません。


なぜスタートアップをするのか?

僕は、トランプの例では「長期的な最大化」を狙っていると思うので、いいのですが、火葬や通行方法の均衡崩しは意味がないとも思っています。

10が10になっても意味がありません。

火葬のケースは、土葬よりも費用は安いです。10が5になる可能性もある。

右側通行を左側通行にしたって意味がありません。10が0もしくは、マイナスになる可能性もある。

違う言い方では、ゼロサムな市場で競い合っても最大化は起きないということです。よくある話です。


直言すると、スタートアップを持て囃すのはいいのですが、それに本当に価値があるのか?という問いです。

もちろん日本は均衡状態です。それがいいとは言えない。ただ、それをただ闇雲に崩すだけでは悪影響でしかない。


念のため書きますが、スタートアップするのも自由です。僕もしてますからね。個人の財産や行動は自由であるべきです。

ただ、その活動によって社会で何が起きるのかを考えて行動しないと、悪影響もあるし、何より不幸な状態になるのは嫌なはずです。


禍福は糾える縄の如し

〔史記 南越伝賛〕
災いと福とは、縄をより合わせたように入れかわり変転する。吉凶は糾える縄の如し。禍福糾纆きゆうぼく。

この「禍福は糾える縄の如し」は僕が好きな諺なんですが、縄は「時系列」だと考えています。

社会的均衡、一定の時間を切り取って観察するのではなく、時間という変数も考慮する必要がある。

「今変えるのは得策ではない。一年後ならいいかも。」という単純な話なんですが。。 この場合、なぜ一年後ならいいのか?も変数があるはずです。

例えば、スマホが普及してから始めた方が良い事業は存在します。

キャッシュレス化が進んでから始めた方が良い事業も存在します。

などです。

まぁ色々ですね。(適当w)


以上です。