大統領選で勝者決定が遅れるリスク

ドル円現在105.43〜105.44
レンジ予想105.00〜106.00
ゲストみずほ証券 山本雅文さん

(ゲスト紹介より)
キャ)アメリカの指標だが、良いものと伸びが鈍化してるものとマダラ模様になっている気がするが?

景況感に関するもの、まだ強いものが多いが、昨日例えば出た鉱工業生産だが市場よりも弱かった。我々エコノミストと話すと、そろそろやはり9月くらい、指標が特に生産に関する指標が弱含んでくるんじゃないかという見方をしており、少しずつそういう兆しが出たのかと考えている。

キャ)気になる所は、そういう所で財政が出た方が良いという中で出て来ないという所がある。

これは政治的な問題にも絡んできて難しいかと思うが、やはり財政支出の拡大による個人の可処分所得の底上げ、この部分が落ちてる為、今後年末に掛けての消費、これが持つのかどうか、非常に我々は一時的にこの経済指標が少しスローダウンするのではないかというのを心配して見ている。

キャ)だからこそ、もしFRBが出て来なければいけないが、そういった中で日本とアメリカとの温度差、そういった所も気になる所?

非常にFRBは、積極的に緩和を推し進めており、それを長期化するという行動に出ている。コロナ前とコロナ後の政策対応の変化率が物凄い高い。一方日本、従来積極的な緩和をして経済を支るという努力を最大限にされて来たと思うが、コロナ前とコロナ後の変化で言うと、中々やはりFRBに比べると弱いのかなという印象を持っている。

キャ)そうなってくると、マーケットへの影響も出て来ると?

そうだ。特に為替について心配している。

キャ)為替については何方方向?やはり話からすると円高を警戒した方が良いか?

我々全般的にドル安になるだろうという見通しを持っており、その中でドル円について長期的な均衡点は100円前後に置いている為、1年ぐらいのタームで見ると100円というのは視野に入っていると考えている。

キャ)そういった中で菅政権の誕生というのは下支えなんだろうか。。

おっしゃる通りだ。

(今日のマーケットより)

キャ)ここまでの動きから今日の見通しはどうか?

FOMCアメリカの金融政策決定が予定されている訳だが、ドル円相場はFOMCの前に、やはりハト派的な警戒感からドルが軟化する傾向があり、昨日もアメリカの金利、株価は上昇したにも関わらず、ドルが下がるという結果になっている。ただし、アメリカの中長期金利これは8月の初めに底入れした形になって少しずつ上昇している。8月27日に既に平均2%インフレ目標政策出た為、これ以上追加的なハト派的な内容はないだろう、そうであればFOMC後にドルが反発する可能性があるのではないか?という風に見ている。

キャ)今日の注目ポイントはどういう事か?

大統領選では、世論調査でこれまでバイデン候補がリードしているという状況だったが、最近トランプ大統領が追い上げている、そういう意味で大統領選に向けて接戦になる可能性が意識されている。更に、そういった意味で接戦になると再集計になる可能性があったり、今回は郵便投票が3〜4割に達する可能性があると言われており、開票が遅延するリスクがある。その場合、アメリカの株価やドルは一旦下落圧力が掛かるかも知れないと見ている。

キャ)そういった懸念があると。。過去もこういった例はあったのか?

2000年にあり、ブッシュJr対アル・ゴア大統領というのがあった。当時、再集計が有効性を巡って最高裁が出てくるという所までいったが、結果的に勝者の確定が選挙から36日経った12月13日になった。結果未確定だった場合、当時どうだったのかと言う事だが、ドルは対ユーロでは下落したが、これはECBがユーロ安を懸念してドル売りユーロ買い介入をした。この影響の方が大きかったという事だ。対円ではむしろ5%程度上昇した形だった、これは逆に本邦当局が100円阻止の介入を1999年に行い、その後上昇基調になった影響が大きいとなっている。そういう意味で選挙の混乱は無かったと言う風に見られる。
株と金利だが、アメリカの株価は当時5%下落、10年金利も0.6%程度低下したという意味では自然な反応に見えるが、これは当時ITバブル崩壊で景気後退に向かっていたという事で、その影響の方が大きいという事だと思う。
今回、アメリカは一応景気回復局面にあるという事だ、そういう意味では結果混乱を受けた金利低下や株価それからドルの下落は限定的になるという風に見ている。
今回、既にそういう接戦や遅延リスクというのが意識されている事で特にサプライズにはならないと言う事であるから、市場の混乱は限定されるのではないかと言う事だ。
大統領選後のドルに関しては、重要なのは新政権の景気対策の規模と思っており、民主党が大統領、上下両院を取る様な場合が一番景気対策規模が大きくなりそうだ、その場合にはドルは110円方向へ上がる可能性が高いという風に見ている。

キャ)山本氏は(本日同ゲストクレディ・スイス証券の松本氏の発言と反対に)今よりも円安方向という見解。