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老眼はつらいよ

去年の秋、花が終わって売れ残っていたホトトギスの苗を2つ買った。
茶花に風流を感じるお年頃になったせいか、華やかな花より
楚々とした花に惹かれる。

ホトトギスなんて、どこにでも生えてるから簡単。と甘く見ていたら、
実際は、アクシデントに幾度となく見舞われた。ホトトギスを甘く見すぎていた。彼らは、繊細な山野草なのだ。

春先、かわいい角のような芽が出てすくすくと育ち始めた。
しかし、梅雨に入ると、葉に黒い点々が大量発生した。
バラ用のスプレーをかけてやったら、いつの間にかなくなって安堵す。
このまま順調に成長すると思っていた。

ところが、真夏、北側の庭にも、強烈な西日が差しこむようになると、
勢いが衰えた。
黒いシートで日陰を作る必要があったが、日曜大工でそんなものを作れる技能は、ないので、放置した。ごめんよ。

猛暑が過ぎ去り、元気を取り戻したのもつかの間、
雑草も息を吹き返し、ホトトギスの領地を侵略してきた。
カタバミや、イネ科の植物の勢いが半端ない。
軍手をはめて、雑草を抜いていると、抜くつもりのないホトトギスが
軍手が当たっただけで、根元から、ぽきっと折れる。
ここまで来て、あとは花をつけるところまできて、
折れるなんて・・・。絶句。

ビニールポットに折れた枝を植えたら、
なんと1週間後、新しい目が根元から生えてきた。
ホトトギスの生命力に、驚く。

そんなこんなで、折れずに残った枝が、やっと花を咲かせた。
品種は「富士の雪」。

ホトトギス 富士の雪

写真を撮ってやろうとするも、微妙に風がふいて揺れる。
三脚を出して、もう一回。ピントを丹念に合わせようとするが、
カメラの画面が老眼でよく見えない。
眼鏡をはずし、裸眼で、カメラに顔をこすりつけるようにして、
拡大した雄しべにピントを合わせる。
シャッターを押す。風が吹く。ぶれる。またピントを合わせる、その繰り返し。
ほとほと面倒になる。
野外撮影は若いうちに楽しむ趣味なのだと、急に寂しくなった。

みんなのフォトギャラリーに使ってもらえたらいいなという下心があり、あらかじめどんな写真が投稿されているのか、事前調査した。芸術的で幻想的なホトトギスの写真がずらりと並ぶ。玉ボケした作品もあり、こりゃ誰からも使ってもらえそうにない。しかし、せっかく撮ったので、一応アップしてみよう。

実家から引っこ抜いてきた秋明菊も、そろそろ花が咲く。
楽しみだ。でも写真は撮らないと思う。



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