急性心筋梗塞で死にかけた話②ミラクルな血管

ミラクルが起きた！

検査の結果、私は急性心筋梗塞と診断されました。

簡単に言うと心臓の血管に血栓が詰まっている、という状態です。そのままにしておくと心臓に血が流れなくなるので､細胞が壊死してしまい､場合によっては死に至る病気ですね。怖い､怖い…。

なので、この血管に詰まった血栓を取り除かないといけません。カテーテル検査の後、緊急手術になるかも、というのはこういうことでした。

ところがレントゲン写真を見ながら先生が険しい顔で言うのです。

「今回、血栓が詰まったのが太い血管じゃなかったので、急変して最悪の事態になることは免れたのはラッキーでした！　レントゲンを見ると詰まっているのはとても細い血管の部分なんですよ。ただ、そこが逆にそこが問題で…最初に説明した通り、このままカテーテルを使ってこの血栓を除去する手術をした場合ですね、血管が細いので誤って血管を突き破ってしまう恐れがあるんです」

え？　じゃあ…どうするんですか？？？

「手術をするのは非常にリスクが高いと思います。ただですね、まさりさんの場合、不思議なことが起こっていまして…血栓が詰まっているところは血が流れないのでまわりの細胞が壊死し始めているんですが、そこに向かってなぜか反対側から通常はない血管が伸びてきているんです」

へ？　どゆこと？

「その血管が伸びてきているおかげで、詰まった血管の代わりに血液の供給ができている、というような形ですね。なので、今、リスクをおかして血栓を除去する手術するのはやめて、このまま様子を見る形がいいのではないかと思います」

難しい話はよくわかりませんが、要するに私の体が自力でミラクル起こしてがんばって生きようとしてくれてたってことです。

えーー、そんなことってあるんだ！！

私の身体ありがとうーー。細胞のみなさーーーん、がんばってくれてありがとーーー。

自分の身体にこんなに感謝の気持ちを持ったのは初めてでした。

人生２度目の入院

そんなわけで、相談の結果、詰まった血栓はそのままで、ヘルプの血管にがんばってもらう、という方針となりました。

ヘルプの血管ってなんだよって感じですけど(･ω･)

そんなわけで、手術室から出て数日ICUに入った後→個室→その後相部屋の一般病棟に移りまして10日ぐらいだったかな？　おかげさまで無事に退院することができました。

入院したのは、アキラ出産以来２回目です。

前回は出産なので､同室の方は同年代のママ（と赤ちゃん）しかも病気で入院しているわけではありません。でも、今回は病気入院で、一般的には心臓病で入院されるのは高齢の方が多いため、…なんか、部屋の雰囲気が違うし、なんとなく私、場違いな感じなのです。

隣のベッドのおばあちゃんにも、

「あなた、若いのに心臓の病気なの？　かわいそうにねぇ…」

と、哀れみの目を向けられる始末(^_^;)　

そんな若干居心地の悪い相部屋生活でしたが、ご飯だけが楽しみでした。病院のご飯は美味しくないと言われますが、私的にはご飯しか楽しみがないので、毎日３食のご飯タイムを楽しみに入院期間を乗り切りました！って感じ。

ただ、夕ご飯が早すぎるので夜、お腹空くのがつらかったです。一日中寝てるから全然眠くないし…(･ω･)

入院中に思ったこと

ICUにいた時は、毎日採血されるのが痛いし（足の甲からも採血された時は泣きそうでした）とにかく、こんなことになってしまった驚きと不安で、ほとんど放心状態。あんまり当時の記憶がないんですけど、一般病棟に移ってからは、少しずつ心の余裕が出てきました。

病室の窓からは線路が見えて、通勤電車にたくさんの人が乗って毎日仕事に向かっています。毎日同じです。それをボーーっと見てるのがとても不思議な感覚。

あの人たちと私は何が違ってたんだろう？　なんでこんな病気になっちゃったんだろう？　ああ、いつも通りの普通の生活って当たり前じゃなかったんだな、何もない普通の生活ってありがたかったんだな、って。

それまでは「私が生きている」っていう感覚だったのですが､色んな偶然がうまく重ならなければ死んでいたのかも、でも死なずに今ここに生きている、と思うと「私は生かされているんだな」っていう感覚が強くなりました。

そして、そんな殊勝な気持ちになると同時に、

ああ〜〜誰にも邪魔されないで１人でゆっくり眠れるって、なんて、なんて幸せなんだーーーー💕（←死にかけたくせにおめでたい）

と、出産以来、朝までゆっくり寝られた日なんて一度もなかったので、久しぶりに“思う存分誰にも邪魔されず眠れる幸せ”も感じておりました。

心筋梗塞になったのはなぜ？

心筋梗塞って日本人の三大死因の１つでもありますよね。

今回の私の場合は、色んなラッキがー重なってなんとか大丈夫だったけど、今後、また血栓ができて詰まる、という可能性も十分考えられるわけです。当然、それは避けたいので、

「どうして私は心筋梗塞になったんでしょうか？　原因はなんでしょう？」

と、先生に聞いてみましたら、

心筋梗塞というのは、一般的には「高齢、血液ドロドロ、肥満傾向、高血圧、どっちかというと男性」の人がなりやすい病気なので、私みたいに30代の女性（しかも検査したら血液はサラサラで肥満でもないし高血圧でもない）が急性心筋梗塞になるというのは珍しいんです、と。

そして、先生も困ったあげく、

「あえて原因としてあげるなら…そうですね、ストレスと睡眠不足ですかねぇ」

って。

えーーー。ストレスと睡眠不足って、今どき、世間の人はみんなそうじゃないんですか！？　それだけですか？

「んー、でも、他に考えられる要因がないんですよねぇ。まさりさん、血液サラサラだし、なんで血栓ができたんでしょうね？」

いや、それ、私が聞きたいんですけど。

だって、ストレスと睡眠不足だけで心筋梗塞になるとか、そんな程度でって怖いじゃないですかー。

でも結局、原因はストレスと睡眠不足ということで、今後の対応としては「血液サラサラではあるけど、血液サラサラの薬を飲んで、定期的に病院で検査しながら様子みる」ということになりました。

つづく。

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