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どうしてイラストレーターになったのか③絵が下手な理由

絵が下手なら、たくさん練習して上手くなればいいじゃないか! まずはデッサンしなさい! デッサン!

…普通、そう思いますよねー。私もそう思うんです。

でも思ってるだけで、なかなか行動に移せなかった理由があるのです。

それは、最初に「イラストの仕事をしませんか?」と声をかけてくれたアートディレクターさんとお話していた時のこと。

「あのー、どうしたら絵が上手くなりますか?」

と、聞いてみましたら、ディレクターさんは答えました。

「んー、あなたはねー。絵、上手くならない方がいいよ」

え? 絵? え?

その時は「な、な、な、なんで???」「私、上手くなりたいよ」「意味がわからない」と納得いかなかったのですが、その言葉が妙にひっかかっていて、その後も、

「あー、絵が上手くなりたいなー」

と、思っても、

「いやマテ。そーいえば、私、絵上手くならなくていいんだった!」

と、開き直ってしまう状態に。ダメじゃん。

そうなると、やっぱり、下手だなーと思いながらも、絵の練習なんてするわけないですよねー(^_^;) なんとも罪作りなディレクターさんです。

そもそも、好みの問題ですが、私、上手な絵というものがそんなに好きではなかったりもします。上手な絵=スゴイ!とは思うけど、好きではない。絵が上手いとかっこいいよなーと思ってはいたけど、今思うと、心の底から上手くなりたかったのかというと、実はそうでもなかったかもしれないのです…。

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好きか嫌いかで判断すればいいんだよ

中学の時につきあっていた男の子(絵がムチャクチャ上手い)に、ある日、

「今度、一緒に芸術会館に絵を見に行こうよ」

と、誘われました。

絵を見に行くとか、アートな世界とか、そういう文化的なものは当時の私の中には全くなかったので、

「いや…私、絵の見方とか分からんし…いい絵とかも知らんし…」

と、言うと彼はこう言うのです。

「有名な絵とか評価が高い絵を、無理に素晴らしいって思わなくてもいいんだよ。価値がわからないことを恥じる必要もない。自分が好きやなーって思う絵を楽しんで見ればいいんだよ」

今思うと、ませた中学生ですよねー。まったく。

でも、その言葉で、

「へえー、自分が好きか嫌いかで判断していいんだ」

と、すごく気が楽になったんです。

有名な絵だから「素晴らしい」と思えて当たり前。そう思えない人は価値の分からない人。そうじゃないんだー。

目からうろことはこのことです。

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こういう絵が描きたかった!

今描いてる絵は自分でも「下手だなー」と思っていてちょっと不満。かといって、デッサンの練習に励んで上手な絵を描きたいわけでもない。ゆるい絵だけどデッサンがしっかりしてる人の絵って安定感がありますが、そこら辺を目指したいわけでもない気がする…。

イラストを描く人は誰しも「自分の作風」だったり「オリジナルなタッチ」を確立すべく日々精進されているのかなーと思うのですが、私は自分でもどういう方向に行きたいのか全然わからなかったのです。

さてそんな時、男の子を一人産みました。長男アキラです。

この子が、まー、色々と面白くて可愛い絵を描くわけです。それを見ていて、

私、こういう絵が描きたいっっ!

それで、アキラの絵をお手本に真似して描いてみたのですが、ついつい上手に(!)描いてしまうのです。いやー、違うー、こうじゃなーい。

難しい、難しい、と何度も描いてるうちにひらめきました。

そうだ、左手で描こう!

これはなかなか上手くいきました。頭で描きたいと思ってる絵柄を左手に伝えようとしても、左手が上手に動かないので、つたない、子どもが描いたような絵になるんです。

いいじゃん、いいじゃん♪

でも、またしても問題が。

やばい…左手でも上手に描けるようになってきてしまった!

練習しすぎて左手の技能がアップしてしまったのです。アホか。

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上手じゃない絵を一生懸命練習して描こうとしている

結局、色々試してみた結果、生まれて初めてペンを持った気持ちで、固定観念をなるべく外して(←これが難しい)、

「心を無にする」

というのが一番いい、ということを発見しました。

今でも、ついつい上手に(下手なのに!)描いてしまいがちになっちゃうので、まだまだ精進中です。もっと自由な気持ちでノビノビ描けるようになりたいなーと思います。でも、あんまり自由に無になりすぎると、今度は意味不明な感じになるので、そこに可愛い要素も足されてる絵がいい。その塩梅が難しい…。

…にしても、まさかこんな幼稚な絵を描いてる時に修行僧のような心境で描いているなんて、一体誰が想像するでしょう。

「あなた、絵、上手くならない方がいいよ」っていうのはこういうことだったのかな? 多分、私にそんな風に言ったことなんて全く覚えてないと思いますが、あらためてアートディレクターさんに感謝。

そして「一般的な素晴らしい絵と自分の好きな絵が違っててもいい」と教えてくれた中学時代の彼氏に感謝。

この二人の言葉がなかったら、私ひょっとしたら一生懸命「上手な絵を描けるけるようにならなくちゃ!」とがんばって、今とは違う方向に行ってたかもしれないです。

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おまけ・アキラの絵が普通になっちゃった

私が「こんな絵が描きたい!」と思ったのは、長男アキラが幼稚園に入るまでの絵でした。

上の絵は大好きなので、真似して描いてしばらく名刺に使っていたもの。文字の説明は、「何を書いたの?」と、当時、本人に聞き取りして私がメモしたものです。

この頃の絵は、頭が大きすぎたり、足が長すぎたり、胴体がなかったり、頭から手が生えてたり、羽が生えてたり、顔のパーツが変なところについていたり、そもそも一体なんの生物かわからないものも、それはそれは自由だったのですが、幼稚園に入ってから、絵がすっかり変わってしまいました。

体の比率なども実際の人間に近い形になって、羽はなくなり、手はちゃんと胴体についてます。

多分、先生の指導が入ったのか、他の子の絵を見たりして、

「あ、手は頭につけないんだ」

「顔はもっと小さく描くものなんだ」

って気がついちゃったんでしょうねー。…ちょっと残念です。

つづく。

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