THE GEARのこと
THE GEARとは1980年代後期に関西のモッズ・シーンに登場したバンドである。
ぼくはこのバンドのライブを写真に撮っていた。1989年のモッズメーデーである。これはDollの取材として撮った写真であった。
これが31年の時を経て関係者の目に留まることになった。
切っ掛けとしては、今年のモッズメーデーが40周年というものすごく大きな節目であったのにも関わらず、コロナ・ウィルスの関係で延期とされたことにあった。僕は時々、気が向いたときに過去に撮った写真をフィルムからスキャンしてアップしたりしてるんだけど、モッズメーデーが延期で残念ですね、という意味で89年のモッズメーデーに出たバンドのライブ写真をアップしたわけです。
何枚かアップしたのですが、その中でこのThe Gearの写真に反応があり、もっとアップしてください!と言われまして、その方がThe Gearのマネージャーだったわけです。
で、何枚かアップしたら、こんどCDが出るので宣伝に使ってもいいですか?と訊かれまして、もちろんぜんぜんOK、断る理由ないからさらにスキャンしてまとめて送って、レーベルの方ともやりとりさせてもらって、わずか2、3日でこんなページに仕上げてくれたわけです。
幻のR&Bバンド THE GEARのOfficial Bootleg Album
なんか、このスピード感がうれしくて。ついでにLui Bluesface (A.K.A杉村ルイ)のバンド、The Tokyo Localsの7インチも出るので、そちらの宣伝にThe HaiRの写真を使ってもいいですか、と言われたので、どうぞどうぞ、ですよ。
こういうときにカネの話をする人もいるだろうが、僕は基本的には自分の写真が人の目に触れるのがうれしい。カネはくれるのならもらうが、それは一番ではない。特にこの辺の人たちには間接的にお世話になっているという感覚があって、まあ勝手に思ってるだけだけど、関われたらそれでうれしいわけです。もちろん、搾取する人に対してはそういうこと思わないし、そういう人はすぐにわかる。
ということがあったので、少し思い出してみようかな。
直接、僕のことを知っているひとはご存じのとおり、僕はモッズではありませんが、興味はある。すごく。あり続けていると言ってもいいかもしれない。
僕がDollのカメラマンをやりはじめたとき、僕のことをかわいがってくれた編集者で柴田さんという方がいて、この方もモッズではないけど、モッズに興味を持っていたかただと思う。この前の年のライブ・インでやったモッズメーデーも取材で行った。
インクスティック芝浦で行われたモッズメーデーは今のモッズメーデーと少し雰囲気違うかもな。それは時代の流れではあるけど、いま思えば大人がいなくて若者だけで構成されていたんじゃないですかね。みんなおしゃれしてて僕みたいなダサ男が紛れ込むような雰囲気じゃないけど、でもよく言われるような排他感は無かったな。若者たちがみんなで楽しもうぜ!ってかんじ。I-SPYのHere Todayって曲聴くとそういう雰囲気思い出すんだよな。
ここではのちに親しくしてもらうマンジさんも出てるんだけど、まだ面識はなかったように思う。全体の印象としては何といってもThe HaiRの破壊力とまだレコードを出す前のスカパラの圧倒的なパフォーマンスが強烈な印象を残した。
こまかい話はどこか飲み屋でしたいと思いますが
で、THE GEARはどうだったか?
THE GEARはトップに出てきた。関西のバンドということもあり、このとき初見だったお客さんも多かったのではないかな、と思っている。僕は最前列で写真を撮っていたわけで、とくに友人がいるわけでもないのでお客さん同士の会話を聞いていると、どうやらみんな様子見というか、関西から来たっつうけど、どんなもんか見てやろう、みたいな冷めた感じだったように思う。
でも、演奏始まると、なんの曲だったか忘れたけどヤードバーズ系だったかな、、、?なんかヤバいぞという空気が広まり出して、周りがうおーっていう雰囲気になってきた。これお世辞とかじゃなくてホントにそうだった。「こんなカヴァー、ズルいよ!」などと嬉しそうに言いながらみんながグッと前に来た感じ。写真撮ってるとわかるんですよ、自分の立ち位置に急に圧迫感が出るから。
完全に外野からの視点で失礼しますが、80年代のモッズ・シーンは良くも悪くもポール・ウェラー(JAM)の影響が絶大だったけど、このTHE GEARやThe HaiRの登場によってR&B的なものにグッと寄っていったのではないかな、なんて思います。
THE GEARのCDとThe Tokyo Localsの7インチは次給料出たら買います、