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calling

「生きてる?」

「生きてるよ。長らく体調くずしてたけど、来月から仕事復帰。」

その言葉は
懊悩した日々を越え
水面まであと一歩
浮上するところのそれだった

グループラインで反応がなかった
そんなフラグを見逃した
自分にひどく後悔した
普段は会えない距離にいたとしても
距離の問題ではない
何のために
同じ釜の飯を食い
寝床を横に並べたのか
苦しみのサインを見逃し
孤独の時間を多く作らせてしまった

エマージェンシーサイン
遠いところから見ていただけ?
自分のことじゃないから?
静止画のように
動けないわけじゃなかったはず
夜の街
舗装された道路は
ネオンサインで綺麗に見える
非常灯
数ある光の中に
隠れていたはず
流れるヘッドライトに照らされて
「僕は一生懸命生きてる」
再生ボタンを押したように呟いた
思い描いていた世界が大きすぎて
いつしか理想は壊れていた
自分のことばかり
自分の目の届くことばかり

大切なあの友を
支えきれもしないで
包みきれもしないで

心を無にして
友のhelpにアンテナを張る
耳鳴りのように
鼓動が鳴りはしないか?

漆黒の夜
その崖っぷちに立てば
金縛りに遭う
踞り
歩き出す怖さを知る
大丈夫
ありのままの悲しみを押し出せば
朝日に溶け出して消える

翌日会った彼の顔と心はそれなりで
気持ち60%程度の戻り
それでも
大盛のオムライスを食べる姿を見て
左胸を上から下へ
撫で下ろした
大した言葉をかけるわけでもない
ただハイタッチで
明日へのtakeをスタートする
倒れない心を祈って

破壊は一瞬
壊れる時は共に被弾しよう

建設は死闘
また一から共に構築するのだ

惰性は暗
暗闇を歩く時
僕は君の
君は僕の
肩を抱くのだ

希望は明
眩しい光を身に浴びる日が来る
必ず

後退は死
崖っぷちでも大丈夫
僕が後ろから背中を押す

前進は生
にじり寄るように未来へ進め
それが1ミリだったとしても
僕はその足音を聞き逃さない

月光がよく放射する
天空突き抜ける夜
季節はこれから冬へ向かい
澄んだ空気が遠くまで伸びる
目を閉じ
耳をすっと傾ける
悲しみの声はか細い
苦しみの嗚咽は地面に向けられる
それでも
キンとした空気が必ず伝える
あの友
この友の
コールサイン

ring ring
耳をすませ
ring ring
声なき声を聴け

今のところサポートは考えていませんが、もしあった場合は、次の出版等、創作資金といったところでしょうか、、、