#5 心映えの美しい人
1.「心映え」という言葉
昨日は、キャリアコンサルタント養成講座でご指導いただいたY先生を講師に迎えての勉強会でした。キャリアコンサルタント仲間で隔月開催する勉強会は、今年で19年目になりますが、Y先生には「逆境の彼方にある光」というテーマでお話いただきました。今月80歳になるY先生は、昨年から「選択理論」の新たな学びを深めておられ、先生の衰えることのない旺盛な研究意欲に改めて尊敬の念を抱くと共に、キャリアの転機でY先生に出逢えたことに、心から感謝しました。
「心映え」という言葉は、Y先生のご指導の中で、10年以上前に知りました。「見映え」と違い、「心映え」は、目には見えませんが、味わい深く、良い言葉だと思います。文学作品の中でも、使われており(※)、「心映えの記」という太田治子さんの著書もあります。(※)http://yourei.jp/%E5%BF%83%E6%98%A0%E3%81%88
2.【時代の証言者】森下洋子さん(バレリーナ)の心映えの美しさ
読売新聞の【時代の証言者】にバレリーナの森下洋子さんの記事(「踊り続けて70年」)が連載されています。バレリーナとしての高みを目指しながらの歩みを、様々なエピソードに触れながら語る展開ですが、文章に森下さんの「心映え」を感じ、読了後にいつも清々しい気持ちになります。
6月30日(水)、第27回「人生の師 稲盛和夫さん」を読んで、「心映え」の背景が分かったような気がしました。<読売新聞公式Twitter>
https://twitter.com/y_seniorwriters/status/1409964893084782599?s=20
稲盛さんの著書「生き方」との出逢いを、「言葉を抱きしめたくなるほどの感動を覚えたのです。」森下さんはこう表現しています。
(以下引用)・この本で先生は「人間は何のために生きるのか」を問い直し、生まれてから死ぬまで魂を磨いていくことの大切さを説かれています。・書かれていることは、当たり前のことをただ守って実践して行くということなのですが、奥行きの深さと、たくさんの人を幸せにしていこうという熱情の強さに、読むたびに深い感動を覚え、毎日のようにベッドの中で読んでいます。だから本はボロボロです。・稲盛先生と身近に接して、その純真さに胸打たれました。人間にとって重要なのは生き方です。大切な魂を磨いていくために生まれてきたのです。たくさんの先人や先輩が生き方を見せてくださることで、私に純真さを呼吸するように静かに植え付けてくださったのだと思います。(以上コラムより)
「生き方」の発刊は2004年8月ですが、当時の森下さんは、舞踊歴50周年を超え、踊り続けることに明確な意味を見出そうとしていたのではないかと思われます。そんなタイミングで、この本に巡り合い、毎日ボロボロになるまで読んで、一つ一つの言葉を心から味わい、自分のものとして受け入れ、バレリーナとしての自分の中に昇華させていったのではないでしょうか。そんな過程を経て、森下さんの心映えが、より輝きを増したのだと思います。
「このように、一つひとつのことに打ち込んできた人、一生懸命に働きつづけてきた人というのは、その日々の精進を通じて、おのずと魂が磨かれていき、厚みある人格を形成していくものです」(「生き方」プロローグ)といった言葉にも、森下さんは、我が意を得たり、と感じたのだと思います。
3.稲盛和夫「生き方」を17年ぶりに再読
私の本棚にある「生き方」は、2004年8月の初版を購入したものでした。17年ぶりに、改めて再読しました。Y先生の「すべては導かれている」という言葉の中にも、今、稲盛和夫氏の「生き方」を読みなおすことの意味を感じ、改めて読んでみました。
・六波羅密(①布施②持戒③精進④忍辱⑤禅定⑥智慧)の中で、私たちがもっとも実践しやすく、また心を高める方途として一番基本的かつ重要な要件は、「精進」ー努力を惜しまず一生懸命働くこと
・日々の労働の中にこそ、心を磨き、高め、少しでも悟りに近づく道が存在している
稲盛氏の経営は、「動機善なりや、私心なかりしか」を常に自らに問う行動の連続であり、「生き方」執筆の6年後には、JAL再生のために乗り出しています。これこそが、稲盛氏の心映えだと思います。
・Y先生の姿勢にも、実践を通じた学びを止めないことの大切さを感じ、日々の精進を肝に銘じたのでした。
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