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フレームワークを活用してみましょう。


 こんにちは。正岡法律事務所のアシスタント,水谷です。
 この記事では,自社の状況を捉える方法として,フレームワークの活用をご提案し,具体例として自社の現状等を分析するためのフレームワークであるSWOT分析ご紹介したいと思います。

⒈ フレームワークを活用してみましょう。

 「フレームワーク」とは,物事を考えるための枠組みのことです。何かを考えるとき,フレームワークを使うことで,問題点を整理しやすく,考えを深掘りしやすくなります。
 枠組みに沿うことで,考え出されるアイデアも,ある程度客観性や合理性を保ったものになります。
 社内のメンバーで一緒にフレームワークを使って考える機会を設けることで,様々なアイデアが連鎖反応し,より深くより多様に考えることができますし,メンバー内で共通認識を築くことにも繋がります。
 フレームワークには,様々な種類がありますので,目的に応じて色々と活用してみましょう。
 以下では,「自社の現状や自社を取り巻く環境」という観点から,「SWOT分析」というフレームワークをご紹介したいと思います。

⒉ SWOT分析をしてみましょう。

⑴ 自社の現状や自社を取り巻く環境を把握することの重要性
 強み(得意分野や売り)を伸ばすべきか,弱み(苦手分野や未着手の分野)を克服すべきか,どちらもよく言われることだと思います。
 どちらの選択をするにしても,自社の強み・弱み等自社の現状や自社を取り巻く環境をきちんと把握できていることが前提となります。
 しかし,自社の現状を客観的に把握するということは,なかなか難しく,経営者の方の「こうしたい」という考えと顧客のニーズとの微妙なズレは,よく起きてしまうことです。
 そこで,今回は,自社の現状や自社を取り巻く環境をできるだけ客観的に把握するための方法として,SWOT分析というフレームワークをご紹介します。

⑵ SWOT分析とは
 SWOT分析とは,以下の図のように,自社自体や自社を取り巻く環境を,企業内部の「強み(Strength)」と「弱み(Weaknesses)」,企業外部の「機会(Opportunities)」と「脅威(Threats)」という4つの要素に分けて分析していく手法です。

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 項目出しをしていく際は,外部から内部へ,機会(O)→脅威(T)→強み(S)→弱み(W)の順で考えていくことをおすすめします。事業においては,機会を掴み,脅威を避けることが重要であり,そのために自社の強みや弱みを把握しておく必要があるためです。

⑶ 外部環境(機会と脅威)の考え方
 外部環境とは,自社ではコントロールの及ばない,及びにくい部分のことです。
 機会とは,自社にとってプラスに働く外部要因(チャンスを招きそうな状況)であり,脅威とは,自社にとってマイナスに働く外部要因(ピンチやピンチを招きそうな状況)のことです。
 機会は特に重要なので,思いついたことをどんどん書き込んでいきましょう。脅威については,世の中脅威だらけですので,重要と思われるものに絞ると良いと思います。

 機会や脅威を考えるにあたっては,以下の視点が参考になりますが,これらに捉われず,自由に書き出してみてください。
 ‣政策面(法律の改正,インフラの整備等)
 ‣経済面(円安・円高や貿易摩擦等)
 ‣社会面(人口の推移(少子高齢化),女性の社会進出,晩婚化や未婚率の上昇等)
 ‣技術面(IT・自動運転技術の進歩等)
 ‣競合他社や新規参入業者(競合相手や今後競合となりそうな業者の動向等)
 ‣自社の商品・サービスにとって代わりそうな商品・サービス
 ‣取引先(仕入先,外注先の交渉力や動向等)
 ‣顧客(需要の動向,潜在顧客の存在,トレンド,既存顧客の交渉力,嗜好,動向等)

⑷ 内部環境(強みと弱み)の考え方
 内部環境は,自社でコントロール可能であるという点で,機会や脅威という外部環境とは異なります。
 強みとは,競争優位を作り出せる自社のプラス要因です。「競争優位を作り出せる」という点で,直接的にせよ間接的にせよ顧客の評価に繋がるものである必要があります。弱みとは自社の維持・発展を妨げるマイナス要因のことです。
 強みは特に重要ですので,思いついたことをどんどん書き込んでみてください。弱みについては,今後ネックになりそうなものに絞って書き込むと良いでしょう。

 強みを考えるにあたり,以下の視点が参考になりますが,これらに捉われず,自由に書き出してみてください。自社の魅力,これは他社に負けないという点,顧客から褒められたこと,取引先から評価された点,他社に羨ましがられる点,過去の成功体験,危機を脱出した経緯などを思い出していただけるとよいかもしれません。
 また,支持を得ている顧客層や地域を絞り込んで考えるのも有効です。

‣認知度,実績
‣人材
‣チームワーク
‣経営者や社員の行動力
‣技術力
‣企画力,制作力,運営力
‣営業力,販売促進力,情報発信力
‣情報収集力
‣価格競争力
‣商品やサービス,顧客対応の質
‣人脈
‣設備の保有状況
‣自社の文化(大切にしてきた考え方など)や歴史


3 フレームワークを活用する際の注意点

 ここまでフレームワークの活用を提案してきましたが,フレームワークには活用する際の注意点もあります。
 注意点としては,①フレームワークを活用する目的をしっかり意識すること,②テンプレートを,自社の特色や時世を踏まえてカスタマイズしていくことです。

⑴ 注意点①について
 フレームワークを用いるとき,「何のためにフレームワークを使うのか」ということをしっかり意識していないと,枠の中を埋めること自体が目的化してしまいがちです。
 枠を埋めることが目的化してしまうと,とりあえず枠を埋めようとして考えを深掘りしなくなってしまいますし,枠内が埋まったことで目的は達成され,せっかく考えたアイデア等は実行されないままとなってしまいます。それでは,せっかくフレームワークを使って考えた意味がありません。
 一番大切なのは,項目出しをした後,それらの項目からどのような仮説や結論が導き出せるか,具体的にどのような対策を行っていけばよいかを考え,今後のビジネスに生かしていくことです。フレームワークは,「真の目的」を達成するための道具にすぎません。フレームワークを埋めることに捉われず,「何のためにフレームワークを使うのか」ということをしっかり意識しましょう。

⑵ 注意点②
 フレームワークは,万能ではありません。一度既存のフレームワークを使ってみてからでもよいですが,自社の特色や時世を踏まえて,項目を変更したり,増やしたりするなど,どんどんカスタマイズしていきましょう。

4 まとめ

 最後に,この記事でお伝えしたいことをまとめますと,
・物事を考える際のツールとして,フレームワークを活用してみましょう
・SWOT分析というフレームワークを使って,自社の状況を分析してみましょう
・フレームワークを活用する際は,①目的をしっかり意識すること,②自社用にカスタマイズしていくことに注意しましょう
ということになります。
 是非一度,社内でSWOT分析の場を設けてみてください。

この記事が少しでも皆様のお役に立つと幸いです。

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