会社員の退職金はどれくらい?勤続年数別にチェック

転載です。

2019年に話題となりました「老後2000万円問題」。これをきっかけに、退職までの貯蓄目標を2000万円に掲げたご家庭も多いのではないでしょうか?

サラリーマン世帯であれば退職金を受け取ることを前提に、貯蓄計画を立てていらっしゃるケースもあるはずです。

終身雇用の制度が崩れつつあるいま、企業の退職金事情も変化しています。企業型確定拠出年金などのように、退職金の運用方法を自分で指図する制度を採用する企業や、退職金制度そのものを設けていない企業も増えています。

そこで本日は証券会社で20年勤務後、現在はFPをしている私から民間企業の退職金事情のなかでも「勤続年数」との関連に着目してお話をしたいと思います。

「退職金」を左右する要素とは?
日本経済団体連合会が公表する「退職金・年金に関する実態調査結果」(2018年9月度)より、学歴別の標準者退職金(※)を眺めたいと思います。

※標準者退職金:学校卒業後直ちに入社し、その後標準的に昇進・昇格した者を対象に算出したものです。

標準者退職金
※退職一時金のみ、退職一時金と年金併用、退職年金のみの場合の額を合算し、単純平均したもの。また、各項目で集計企業数が異なります。

大学卒(総合職):2255万8000円

高校卒(総合職):2037万7000円

高校卒(生産・現業):1817万2000円

冒頭にお話ししました「老後2000万円問題」から「2000万円」を基準としみてみましょう。総合職であれば、大学卒、高校卒ともに2000万円の大台に乗っています。高校卒の生産・現業の場合は、あともう少しで2000万円に手が届きますね。

退職金の金額と「勤続年数」の関係はどうでしょうか?次で確認していきましょう。

退職金と「勤続年数」の相関性
「標準退職金」のデータから、「学歴」と退職金額には大きな相関性がありそうですね。実は、学歴以上に退職金の金額を左右するファクターがあります。

それが、「勤続年数」です。グラフをごらんください。

勤続年数別退職金〈大学卒(総合職)〉
1年:24万9000円・3年:65万8000円・5年:126万7000円 10年:307万9000円・15年:488万円
20年:809万4000円・25年:1181万7000円
30年:1629万8000円・33年:1959万9000円
35年:2038万1000円・38年:2255万8000円

勤続年数別退職金〈高校卒(総合職)〉
1年:19万1000円・3年:44万5000円・5年:78万6000円 10年:191万7000円・15年:358万2000円
20年:578万7000円・25年:895万1000円
30年:1222万円・33年:1561万9000円
35年:1781万8000円・38年:1850万9000円
42年:2037万7000円

勤続年数別退職金〈高校卒(生産・現業)〉
1年:18万5000円・3年:50万円・5年:88万6000円 10年:212万円・15年:390万2000円
20年:623万8000円・25年:896万3000円
30年:1208万6000円・33年:1518万2000円
35年:1613万9000円・38年:1645万4000円
42年:1817万2000円

「何年勤めたか」は、学歴以上に、退職金額を決めるポイントになっているようです。

大学卒・総合職で1000万円の退職金を目指す場合、「40代前半まで勤め続けること」が目安の一つとなりそうですね。さらに「2000万円」を期待できるのは、50代後半まで勤めた場合、といってよいでしょう。

ただし、この試算結果はあくまでも「標準者退職金」に基づくものである点に注意が必要です。

「退職金制度の有無」は企業によって異なります
「転職歴もなく順調に昇進していから、このまま定年退職を迎えれば、退職金で老後は安心できるだろう」

ひと昔前の世代であれば、それが常識だったのかもしれません。

でも、現状はどうでしょうか?退職金制度を設けるかどうかは、会社の裁量に任されています。また、働き方の多様性が求められるいま、生涯同じ会社で勤め上げることの方が珍しくなりつつあります。

厚生労働省の「平成30年(2018年)就労条件総合調査 結果の概況」によると、退職給付制度がある企業は約8割。制度の有無は、業種や企業規模によって差があることも調査結果から分かっています。

今の会社は退職金制度があるのか?ない場合は、どういう対策を練るのかが自己責任によって問われる時代です。

また退職金制度があった場合でも、ご自身はどのくらい受け取れそうかを把握することはライフプランを練るうえで重要です。

「退職金の平均額」は年々減少傾向に
もう一つ知っていただきたいことがあります。それは退職金の金額は毎年減り続けているということです。厚生労働省「就労条件総合調査」の過去年度分から確認しましょう。

2003年・・・2499万円

2008年・・・2280万円

2013年・・・1941万円

2018年・・・1788万円

退職金の平均額は、2003年から2018年の15年間で約700万円も減少しています。キャリアアップ目的の転職が増えるいま、定年退職金に過度な期待を持たない人は、今後多数派になっていくのかもしれませんね。

「老後資金は退職金頼み」ならば、発想の転換を!
企業の多くが、即戦力を求めて経験者採用に力を入れる現代。勤続年数や学歴が大きく作用するこれまでの退職金制度は、企業と労働者双方にとって、メリットが薄くなったといっても過言ではないでしょう。

「老後資金は会社任せ」から、「自分で退職金を作る」という発想の転換が求められる時代が来ているのかもしれません。

「キャリアとお金」は、ライフプランを練るうえで切っても切れないものです。どちらも長期的な視点で、しっかり積み上げていきたいですね。また「自分で退職金を作る」発想によって、会社に縛られない経済的な自立が目指せる可能性は高くなるのではないでしょうか。

「継続は力なり」といいます。リタイヤ後も続く人生を見据えた資産形成は、じっくり・コツコツと進めていきたいものですね。

お金をしっかり「貯めて・増やす」工夫をしていきましょう。まずは情報収集から!マネーセミナーや無料相談など、取り組みやすい方法でスタートしてみてくださいね。

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