輪【エッセイ】

　ビールはあまり飲まないのだが、コロナは別だ。最近ピザを作ることを覚え、ライムを絞りグビっとやり、食すると、最高なのだ。
　そのコロナビール。ネーミングがたまたま重なった風評被害、というわけではないとは思うが、生産を一時停止した。必要不可欠ではない産業は活動を延期すべきだとの、メキシコ政府の要請に従ったという。さらに、ビールの生産過程でできるアルコールを使った殺菌ジェル三十万本を寄附するなど、新型コロナウイルス対策に、貢献するとしている。
　寄附といえば、最近、プロ野球選手会が、医療機関や子どもたち、研究・開発機関等への支援として、クラウドファンディングによる寄附を訴えている。四月十二日午前現在、一億一千万円超もの額が、集まっている。
　「ワクチンや治療薬の研究・開発の助成、医療機関や福祉施設等へのマスク・防護服など物資の供給、感染症の影響を受けた子たちへのサポートなど」が、目的という。
　が、あえて言っておきたい。三・一一のときもそうだったのだけれど、このような「国難」のとき、国民が団結するのは美しく、とても素晴らしい活動と思う。だけど、忘れていけないのは、そのような支援は、本来、国が早々にやっていなければならなかったこと（誰かさんが以前、国民の命、安全、安心を守ると、声高にいっていた）。われわれがやるべきことは、国が積極的に、適切に対策をうっているかのチェックと、尻をたたくことではないか。そのことを踏まえたうえで、「国がもたもたしているから、われわれがやるよ」というカッコ書きがあるなら、さらに評価したいし、私も微力ながら協力したい。
　冒頭のコロナビール。品切れするといけないので、さっそく十本ほど買い込もうとした。が、在庫はあるらしいので、まとめ買いはやめ、とりあえず、二本だけにした。