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貼り紙【エッセイ】

 山梨上野原にあるメンバーコースの売店のトイレに、このような貼り紙がある。「下着を用意しております。お声掛けください」と。
 利用するひとは稀だろうが、まさかの際には、とても助かる。売店のなじみの女性に、(救いを求めるような表情で)「下着・・・、いいですかぁ」と、冗談でいってみた。少しびっくりしていたが、マジな顔して、出してきた。私のより良いのではというぐらいの品。まだ、今のところ利用したひとはいないみたいだが、気の利いた貼り紙、と感心した。
 その「下着の貼り紙」がきっかけで、トイレの貼り紙で面白いものがないだろうかと、利用するたびにチェックしていた。が、「きれいに使ってください」とのお願いや、昔から見かけるものばかり。そんなとき、鷲田清一さんの「折々のことば」(朝日新聞10月7日)を読んだ。なかなか詩的で、お洒落な貼り紙。トイレに入って、思索し、つい長くなるかも、と思った。
 そこで、ネットで「トイレの貼り紙」のキーワードで画像を検索してみる。鷲田さんが紹介したようなおシャレな「作品」はなかったが、こんなものを見かけた。

「トイレのかぎはしめないでください。こわれています。トイレからでられなくなります」
《なぜか、ひらがなとカタカナ・・・ほんと、こんなことあるのだろうか???》

「トイレには、トイレットペーパー(と涙)以外の物は流さないで下さい」
《カッコの部分はマジックで、誰かが挿入したようだ。これはなかなか》

「紙が無くなってもあわてないで!最終手段として、この貼紙があります!」
《おいおい、予備をしっかりおいてよー》

「もし、成功することが100%約束されていたら・・・自分の人生の中で何をしたいですか?」
《しばらく考えてしまい、なかなかトイレから出られなくなるよー》

最後に、
「よく来たな。まあ座れ」
《思わず笑ってしまい、漏れてしまう》

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