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ウォーキング小景(あれこれ篇2)【エッセイ】一二〇〇字(本文)

 酷暑が続いている。かつ湿気がたまらん。通常は15時に部屋を出ていたが、2時間くらい遅らせている。それでも30度前後はある。政府が熱中症予防のため外ではマスクをはずすことを推奨し始めた。1週間も経たずに、“あごマスク”派を含めノンマスクのひとが増えた。ウォーキングやジョギングしているひとは、ほぼ全員。歩行者も50%というところだろうか。合理的、と考える。ただ、(ウォーキングのモチベーションにしている)ツマミの買い出しでゴール近くにあるスーパーに立ち寄るので、忘れないように“あごマスク”にしている。スーパーを出たら、また、ずらす。
 先日、わが集合住宅に戻り、エントランス付近で3人の住人と出会い、さいきん励行している「おじぎ&挨拶」作法(おじぎしてから挨拶すると返ってくる確率が上がった)をしたのだが、その日は、全員が無言。<挨拶返り率が8割5分くらいに上ったというのに・・・>と思いながら、エレベーターに。鏡を見てハッとした。“あごマスク”のままだったのだ。同乗者がいなかったのは幸いであった。ついつい、わが集合住宅に入ると、部屋に戻った感覚に陥る。いけない、いけない、気をつけよう。

 歩道を歩いていると、“歩きスマホ”を見かける。画面の中に生きていて、現実から逃避しているのか、と思ってしまう。近くに、“草間彌生美術館”や“漱石山房記念館”があるので、なかには、マップを見ながら、というひともいるだろうけど。
 “歩きスマホ”と同様に危険なことがある。出入り口が歩道に面しているマンションから、左右を確認しないで出てくるひとだ。20歳前後の若い子が多いだろうか。小学校の放課後、勢いよく飛び出してくる生徒と変わらない。自転車と衝突したらどうする。しかも、未確認で出てくる予感があり歩道の端に避けて進路を変更したのに、前にわざわざおいでなさる。指差喚呼をしなさいとまでは言わないけれど。競馬で言えば進路妨害で2週間の騎乗停止ものである。
 左右確認と言えばこんな話がある。半世紀前、自動車免許の教習所でのこと。路上走行のT字路にきたとき、「はい、左右を確認して、右に曲がってえー」と教官が言ったのだが、私は、右と左を確認し、左に曲がってしまった。すると、ヤツが教習票に書きながら言いやがった。「このひとは、右と左もわからない。あのな、菊地さんよ。箸を持つ方が右、茶碗をもつほうが左ね。わかる?」と。<バカにしやがって・・・左利きなら逆だろうが>なんて思ったが、口にすると間違いなく落ちるので、口を封じる。当時の教官は、とにかく態度が悪く、いまなら完全にパワハラに該当するようなヤツが多かった。ケンカになるケースもあるので、後ろ座席に赤樫の木刀を忍ばせているものもいるとの、噂もあった。
 こんな話もある。学生時代の友人の、やはり教習所の話。「オレの友達でさ。T字路の左右確認でさ、こんなことを言ったらしいんだ」「 『ひだりーーー、よ~~~しっ!!!』『つぎ~~、みぎ~~~、あ”!(「あ」に点々)、ヤベエ!』 」ってさ。

(おまけ1)
参議院選挙の日の5時ころ、自宅を出て近くの投票会場の向かいの歩道を歩いていたとき。ポスター掲示板を、20代半ばと思われる青年が熱心に見ている。ちょっと立ち止まって観察すると、5分位、全てのポスターを、腕を組みながら見ている。勝手な推測だけど、決まった支持政党はなく、投票経験が少なく、今回の事件がきっかけかどうかはわからないが、意を決し、会場に来たような雰囲気だった。決めたのか、スタスタと会場の小学校に入って行った。今回の投票率は52.05%(総務省)、と決して高くないが、前回2019年の参院選より3ポイントあまり上がったようだ(ただし、2016年よりは、2.65ポイント下がっている)。彼は、ウーバーイーツのお兄ちゃんがよく使っているようなロードバイク用のヘルメットを被っていたので、配達の途中だったのだろう。その姿を撮影しておけばよかったと思いながらルートを回っての帰り、彼を目撃した歩道に戻ると、掲示板の前に大人3がポスターを見ていた(それが下の写真)。私の場合、誰に、どの政党に入れるかは情勢を見極め、野党有利になるぶように選択。すでに4日には期日前投票を済ませていた。しかし、あの年代でも迷っている。そういうかたもいるのだな・・・、と思いながら撮影させていただいた。

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(おまけ2)
昨日3時過ぎ神楽坂ルートをまわっていると、南の空をヘリコプターが8機飛んでいた。さすがの東京でも異常な多さ。<何があった? 事件か?>と思いながら歩いていた。すると今朝の「天声人語」を読んで理解した。編集員も乗っていたのだ。
今回の出来事を「銃声は日本の治安に寄せる信頼も打ち砕いた」と書いている。ほかのメディアが「民主主義の危機」と煽っているのとは、明らかに違う。これがメディアの普通のセンスというものだろう。

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