えのき

即興演奏家・ピアニスト・作曲家・・・東京藝術大学音楽学部作曲科卒業・・・パリ国立高等音…

えのき

即興演奏家・ピアニスト・作曲家・・・東京藝術大学音楽学部作曲科卒業・・・パリ国立高等音楽院音楽書法科卒業・同鍵盤即興科在籍

最近の記事

Écriture No.4 三和音

西洋古典音楽で最も基本的な和音は三和音です。 三和音は考えている旋法のある音と、その音から3度と5度の音を同時に鳴らすことによって作られる和音のことで、具体的には次のような和音です。 主音の上に作られた三和音にI、上主音の上に作られたII、と名前を付けていきます。「Iの和音」は「いちのわおん」と発音すればよいのですが、これはのちのち誤解の元になるので「I度の和音」を「いちどのわおん」と発音して、「度」を付けた方が良いです。よく会話の中で「度」を省略してしまうことはあります

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    • Écriture No.3 調性

      西洋古典音楽理論の基本中の基本はなんといっても調性です。 調性の前身は旋法(mode)と呼ばれるもので、中世には8種類ありました。 それぞれ第一旋法から第八旋法と名付けられています。 教科書によっては、第一旋法をドリア旋法、第二旋法をヒポドリア旋法と読んだり、第一旋法を正格ドリア旋法、第二旋法を変格ドリア旋法と呼ぶ場合がありますが、同じことです。また、軸音は私の造語で、教科書によっては属音と書かれていることがあります。しかし、通常の和声でいう属音とは少し違うので注意が必要

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      • Écriture No.2「音程の練習」

        エクリチュールの目的は人それぞれだと思いますが、聴覚と理論をなるべく近づけていくことは共通する課題だと思います。 理屈で完全五度が協和音程だとわかっていても、完全五度を聞いて協和音程だとわからなければ意味がありません。 まずは次のような例に従い、協和音程をたくさん聞いてみましょう。 前後の関係で「きれいに」聞こえたり「不自然に」聞こえたりしますが、それを排除して協和音程かどうかということに注目します。もちろん、どうしても短六度が増五度に聞こえるため不協和音程に聞こえると

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        • Écriture No.1 「音程」

          これより、長期連載として、エクリチュールをとにかく語っていこうと思います。記事掲載直後は無料で全文公開するつもりです。 さて、クラシック音楽の理論でもっとも根幹をなす要素、もちろんこれはたくさんあるでしょうが、一つは音程だと思っています。音程はとても重要な要素で、それ自体に修辞学的な意味を持たせることもしばしばです。 今回の記事では、和音、つまり同時に鳴るときとしての音程について、それぞれ述べていきます。 和声学用語を説明なしに使うこともありますが、飛ばして読んでいただ

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        Écriture No.4 三和音

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          Écriture No.0

          更新が何回か抜けてしまいました。お詫び申し上げます。二日に一度記事を書き続けるというのはやはりとても大変なことなんですが、それはそれとして、ひとつ大きな目標を立てようかな、と思ってもいました。せっかくなので、いままで僕が得たエクリチュールの知識を総まとめする、というのも面白いかなとインスピレーションが湧き、5線譜が読めるくらいの人からならだれでも始められ、かつ、既にプロとして活躍しているような人ですら楽しめるような記事を書きたいと思いました。 さて、やはりこういう大きな記事

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          ダンス&尺八&ピアノ トリオ

          5月10日、パリ国立高等音楽院にて、コンテンポラリーダンスと尺八とピアノのトリオで出演してきました。 尺八・ダンスとの組み合わせの即興演奏は初めてでした。尺八のみ、やダンスのみ、での即興演奏の経験はありますが、このトリオは初めてです。 面白いですね、三者三様の個性があり、どの1対1の関係、2対1の関係を取っても対比的なのが良いです。 1対1の関係は3通り ダンス 対 ピアノ ダンス 対 尺八 尺八 対 ピアノ 2対1の関係も三通り ダンス&尺八 対 ピアノ 尺八&ピア

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          ダンス&尺八&ピアノ トリオ

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          理想の学び方

          私自身の話で言うと、もう20年以上も学生生活を続けているわけですが、ようやく学び方というものが分かってきたような気がします。 授業というものは、良い教師がいれば良い授業になる、というわけではなくて、良い教師と良い生徒がそろって初めて良い授業になるものだと思います。 それでは生徒の立場としてはどのような学び方が良いのでしょうか。 もういまから10年も前の話になりますが、大学に入って一年「心理学」の授業を取りました。そこで先生が始めに話したことは、 「心理学は過去の偉人、

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          理想の学び方

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          挨拶と侮辱

          思えば、「教育において最も大切なものは挨拶をする習慣を身につける」というものだったのかもしれません。 山登りやトレッキングをすると、すれ違う人とは必ず挨拶をしますよね。これはこれから自分が行く道に何の問題もないことの確認や、自分と相手に問題が起きていないことの確認という実質的な意味もあると思いますが、それはともかくとして気持ちの良い文化です。 バイクを運転していても、市街地から離れたところではピースサインを送り合いますね。片手運転になるため状況によっては送り返せなかったり

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          挨拶と侮辱

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          ZFCで遊ぼう No.5

          さて、今回はZFCの公理を一つずつ読むときのはじめのクライマックス、無限公理に行きましょう。 無限公理 ∃A(∅∊A∧∀x∊A(x∪{x}∊A)) えーと、これはwikipediaからとってきた式なんですが、いくつか今回の記事では導入していない記号があって不親切なんですが、決してこの記事は教科書ではないんでこのまま読みます。 ∃A( 次に述べるような集合が存在する。 ∅∊A その集合には空集合が属していて、 ∧ さらに、 ∀x∊A( その集合に属しているような∀の要素は

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          ZFCで遊ぼう No.4

          ついに自然数を作ることができたので、ちょっと足し算でも考えてみましょう。 たとえば、2+3をしてみたいとします。足し算をいつもどのようにやっていたかを思い出してみましょう。 ●● + ●●● は2+3を視覚的にとらえていますね。右の●を左に持ってくることによって、足し算ができそうです。 ●●● + ●● ●●●● + ● ●●●●● 2個玉が入った袋に、3個玉が入った袋から一個ずつとりだして移していく、というイメージです。これをZFCで作りましょう・・・、とその前に

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          ZFCで遊ぼう No.4

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          ZFCで遊ぼう No.3

          ついに数0,1,2を作れたのでした。 ところで、なんの説明もなしに{}なんて記号を使っていますが、これはZFCの記号ではありません。(ZFCの記号は7つの基本記号と無数の変数記号のみなので) たとえば、{}は ∀x¬(x∈A) という式に登場するAの「解釈」 {{}}は ∀x(x∈A⇔∀y¬(y∈x)) という式(Aに属する集合は、どんな要素ももたない集合のみである)に登場するAの「解釈」です。 本来∀に「すべての」なんて意味はありません。ただ記号を読み上げる

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          ZFCで遊ぼう No.2

          神は「光あれ」と言われた。すると光があった。 ZFC公理2 「空集合の公理」 ∃∅∀x(¬(x∊∅))あ、∅なんて記号使っていますけど、別にaでもAでもなんでも構わないです。省略しないで、わかりにくく書けばこんな感じです。 ¬(∀a(¬(∀b(¬(b∊a))))) これは一応基本記号だけで書けるよーっていう確認です。上の式も下の式も全く同じことを言っています。 普通に ∃∅∀x(¬(x∊∅)) を読みます。 ∃∅ 「空集合というものが存在し、それは」 ∀x( 「どん

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          ZFCで遊ぼう No.2

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          ZFCで遊ぼう No.1

          小学四年生のときの先生・・・今でも尊敬している先生です。 その先生にとっては私たちは初めての生徒でした。 教えた経験のない先生、いつでも生徒たちに全力で向き合っていました。その先生の思い出の中でも特に印象に残っているのは、 「1+1=2を本当に厳密に計算するととっても難しいんだよ」 という言葉でした。生徒たちもこれには「???」でしたが、小学校で手に入れる膨大な知識の前にも1+1=2を厳密には計算できない、という先生の言葉が妙に魅力的でした。 さて、この意味に初めて

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          ミラー盗難と・・・

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          Annecy 旅行

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          そして喜びへ-Beethoven Op.110-

          前回のベートーヴェンのソナタ31番のアナリーゼの続きです。第一楽章が好きな人には申し訳ないですが、前回は第一楽章が消化不良・とりたてて面白くない、などと書いてしまいました。もちろん第一楽章単独でも普通に名曲というだけでは言い表せない天才的な曲であることは認めますが、曲全体の中にあるその役割を見たら、なお一楽章のことを好きになれるのではないかと思います。

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