Écriture No.2「音程の練習」
エクリチュールの目的は人それぞれだと思いますが、聴覚と理論をなるべく近づけていくことは共通する課題だと思います。
理屈で完全五度が協和音程だとわかっていても、完全五度を聞いて協和音程だとわからなければ意味がありません。
まずは次のような例に従い、協和音程をたくさん聞いてみましょう。
前後の関係で「きれいに」聞こえたり「不自然に」聞こえたりしますが、それを排除して協和音程かどうかということに注目します。もちろん、どうしても短六度が増五度に聞こえるため不協和音程に聞こえるという感覚を持つこともあるかもしれません。その感覚もとても大切なので、よく身体に特に耳に音程の感覚を覚えこませていきましょう。
また、不協和音程もよく聞き取ってください。特に大事なのは、二度、七度とトリトンです。
二度、七度のぶつかる感じ、トリトンのなんともいえない不安な感じを覚えましょう。完全四度は前後の関係によりますが、単独で鳴った場合は不協和音程扱いです。この音を不協和音程として聴くことができるようになることはとても大切なことです。
次のような練習も大事です。
五度は5つの音から成り立つ音程なので、その5つの音をしっかりと把握します。もちろん、調や前後の和音によって、♯がついたり♭がついたり・・・と変わってきますが、とにかく下の上から上の音まで、その度数の数だけの音で音階を作るのです。このような練習をして、音程に対する感度を挙げていきましょう。
ピアニストなら、次のような練習も大事です。
これは、長三度(4半音)の練習ですが、長二度(2半音)から長七度(11半音)まで全ての音程で練習します。もし、即興演奏家を目指すなら、次のような練習も音程の響きを知るためにとても役に立ちます。
長七度に適当な伴奏をつける練習です。伴奏の形はどんな形でも良いので、いろんな伴奏の形を試すことが大事です。
音程は数で表されますが、その数を直感的に扱えるようになることも大事です。
例えば次のような譜面を見て、その音の上に、書かれている数字の音程の音を同時に弾くような練習は大事です。
これは次のように演奏されることになります。
音程は音楽理論の最も根幹をなす部分なので、それぞれの音程の特徴・響きをしっかり身体に覚えこませることがエクリチュールの第一歩となります。
もちろん、クラシックの音楽理論だけでなく、中世の音楽・現代音楽・ジャズ・インド音楽・日本の音楽・・・等、あらゆる音楽にとって音程は非常に大切なものになります。
自分自身で音程感覚を身に着ける練習法を発明する、というのも大切です。
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