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高齢化は日本発世界標準構築のチャンス

<介護保険の現状>
 
介護保険の対象サービスの費用は、所得に応じて1〜3割が自己負担となります。さらに要介護度に応じた利用限度額が設定されているほか、食費や身の回りの日常品の購入代金は全額自己負担となります。
生命保険文化センターの2021年度調査では、月々の介護費用は平均83000円、介護期間は平均約5年1か月。単純な掛け算では介護期間に約500万かかる見込みです。ただ比率でみると月々の費用は15万円以上が16.3%で最多、介護期間が10年以上も17.6%に達しており、総額が平均以上となるケースも十分に想定されます。
高額介護サービス費制度は、介護保険の給付対象となる介護サービスに限られますが、1ヶ月の自己負担分の上限を超えた分が払い戻されます。最も課税所得の多い人の課税所得で区分されており収入ベースではありません、具体的には課税所得380万円(年収約770万円)未満の上限額は44400円、課税所得380万円以上690万円(年収約1160万円)未満は93000円、690万円以上は14万円に設定されています。介護保険の施設の居住費や食費などは原則として介護保険の給付対象外なので自己負担の上限額の計算には含まれません。
介護費に加えて医療費もかさむ人は、高額医療・高額介護合算療養費制度も活用できます。70歳以上の人がいる世帯に適用され、合算対象とするには同じ医療保険制度への加入が条件で、毎年8月から翌年7月までの1年間で上限額が設定されています。課税所得145万円未満が56万円、課税所得145万円以上が67万円、課税所得380万以上が141万円、課税所得690万以上が212万円となります。
これらの制度には2年の時効があります。早い段階で家族や親戚、ケアマネージャーと連携し確認しておくべきです。
 
2020年度の国全体の医療費は前年度比3%減と過去最大の減少幅となりました。手術や病気などで運動機能が低下した患者が受ける運動器リハビリテーションは医師の診断と指示をもとに、理学療法士などと歩行訓練などで身体機能の回復をはかります。病床数ベースで国内の約1割に当たる321病院のデータを集計すると、65歳以上の月間受診者数が2020年5月に2019年12月と比べ27%減、認知症の主な4つの治療薬いずれかを処方された患者は22%減、老化が発症の一因とされる白内障の65歳以上の患者も22%減りました。
国立長寿医療研究センターの調査では、家族と同居し働くなど社会参加する高齢者の一週間あたり平均活動時間は2020年1月に330分でしたが、1年後は180分と45%減少。ニッセイ基礎研究所の調査では、コロナ禍で対面のコミュニケーションが減ったと答えた65歳以上は52%で、64歳以下の39%を上回ります。
 
私は現在医業経営コンサルタントの講座を受講しており、医療や介護のデータ等も見ておりますが、全く永続可能なシステムとはなっておりません。誰もが無理な制度と分かりつつ、金額が大きすぎる、高齢者の数が多すぎる、選挙において高齢者の票を得ないと当選しないという数々の弊害によって維持されているだけです。菅政権時代から医療費削減や医療制度改革、オンライン診療と取り組んできましたが、医師会、厚労省、既得権益等の反発によりことごとく進んでおりません。
 
<高齢化は日本発世界標準構築のチャンス>
 
日本の医療保険制度は1960年代、介護保険制度は2000年代に作られました。医療保険は皆保険という素晴らしい制度ですが、高度経済成長時代の若者が増えるという前提において設計されており、現在の全人口の30%が高齢者という前提では作られておりません。介護保険制度はこの無理な医療保険制度を補うために作られています。
よく温泉郷でバブル前に作られた古い本館を、その後増改築等で無理やり継ぎ接ぎしている老舗旅館を見ますが、現在の医療保険、介護保険制度はこれに近いものだと思います。正直に言うと全部一回更地にして、新しいものを建てた方がお客さんは来るのです。ですが古いものに固執するあまりその決断ができず結果としてお客さんが来ない宿になってしまいます。雨漏りがしてる部分を継ぎ接ぎして何とかするよりも、一旦全てぶっ壊した上で現状に合わせて新たに作り直した方が良い制度が作れると思います。

自民党は2022/6/9、臨時総務会で夏の参院選公約を了承しました。公約のキャッチコピーは『決断と実行』。キーワードに『日本を守る。未来を創る』を掲げました。 ぜひ、日本の未来を創るために決断、実行してもらいたいものです。 

世界最長の長寿国日本は世界が憧れる国です。その国での課題解決は今後世界における前例となります。前例がないものを作って行くのは非常に難しいですが、考え方を変えれば今後確実に世界が迎える高齢化社会における世界標準となれる日本発モデルを作るチャンスでもあるのです。是非決断をして、日本発の新たなものを作っていきましょう。


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