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GX束ね法案に関する政党アンケート結果

各政党への「GX束ね法案に関する公開アンケート」結果を回答順にお知らせします。岸田内閣が国会に提出予定の「グリーントランスフォーメーション(GX)」に関する束ね法案についてでした(既報。締切1月30日)。

【国民民主党】(受信1月24日14:28)
【公明党】(受信1月27日17:19)
【れいわ新選組】(受信1月27日18:41)
【日本共産党】(受信1月30日13:12)
【立憲民主党】(受信1月30日10:54)
【NHK党】(受信1月31日0:59)
【社会民主党】(受信2月1日9:48)
【自由民主党】(受信2月1日13:07)
ご回答待ち(以後も受信順に掲載させていただきます)
【日本維新の会】

各質問と回答

質問1
政府は現在、GXに関係する複数の意見募集(以下、パブコメ)を実施中です。中には法案の骨子が含まれています。パブコメの終了前に、法案の内容を固めようとしていることは国民軽視だとお考えになりませんか。
 ご回答(そう思う/思わない)自由記述(              )

回答1

【国民民主党】1~6の総論としての回答 ご質問いただきましたGX束ね法案(「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案」、「脱炭素社会の実現に向けた電 気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」)については政務調査会が中心となって関係省庁等からヒアリングを行うとともに党内協議を予定しております。党内政調での協議を踏まえ、設問にありました束ね法案のあり方や法案審議過程について、疑問点や追及すべき点があった際は委員会等で質し、明らかにしてまいります。
【公明党】政府がパブリックコメントなどを通じて政策検討の段階から国民の皆様の声に耳を傾けることは重要と考えております。
【れいわ新選組】(そう思う)自由記述(あくまで法案の「骨子」としてパブコメにかけ、パブコメの結果を受けて法案の内容を変更するなどの対応をとるのであれば法案骨子をまとめた後にパブコメを行うことは問題ない。しかし、パブコメに寄せられた批判的意見を法案に反映させるプロセスがないままでは、国民軽視と言わざるを得ない)
【日本共産党】(そう思う)自由記述(政府は東京電力福島第1原発事故以来、「老朽原発は廃炉にする」と決めましたし、まして「原発を新増設する」など一言も言ってきませんでした。岸田首相は、国民の批判を恐れて昨年の参議院選挙では国民に問うことを避けておきながら、参議院選挙が終わった途端に180度ひっくり返しました。まさに国民軽視です。福島の県民、国民、国会に対して説明責任をまず果たし、次の国政選挙で国民に是非を問うべき問題です。)
【立憲民主党】(そう思う)
【NHK党】(そう思う)
【社会民主党】(そう思う)自由記述(法案に関する「パブコメ」はすでに形骸化している。パブコメの結果が法案に反映されることはなく、国民軽視だと考える。)
【自由民主党】政策を検討する過程で、政府がパブリックコメントなどを通じて国民の皆様の声に耳を傾けることは重要と考えております。

各政党のご回答より

質問2
法案骨子を含むGXに関係するパブコメは、異なる行政組織によるものです【内閣官房GX実行推進室、経済産業省、外務省、財務省、環境省の「GX実現に向けた基本方針」、原子力委員会の「原子力利用に関する基本的考え方」、経済産業省の「今後の原子量政策の方向性と行動指針(案)」、原子力規制委員会の「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要案」】。それぞれに対応する衆参両院の各関係委員会で、政策転換の根拠や立法事実について説明責任を果たさせる必要があるとお考えですか。
 ご回答(はい/いいえ)自由記述(               )

回答2

【国民民主党】1~6の総論としての回答(*上記回答1にまとめて掲載)
【公明党】昨年末に政府がとりまとめた「GX実現に向けた基本方針」において、「次期通常国会に、GX実現に向けて必要となる関連法案を提出する」とされています。GXのような重要な政策については、政府の考え方を国民の皆様にお伝えすることは当然であり、国会での活発な議論を通じて説明責任を果たしてもらいたいと考えております。
【れいわ新選組】(はい)
【日本共産党】(はい) 自由記述( 国民からの意見聴取や国会での質疑時間をできるだけ短くすませ、日程消化的に進めようという自公政権の姿勢は許せません。福島第一原発の事故を受けて各分野、各官庁、国会の各委員会での議論が積み重ねられてきたわけで、その流れから大転換を図るというのであれば、十分な論議を保障すべきです。)
【立憲民主党】(はい)
【NHK党】(はい)
【社会民主党】(はい)自由記述(GX政策は多岐にわたる論点を含んでおり、政府は関連する各委員会で説明責任を果たし、徹底審議するべきだ。)
【自由民主党】政府がとりまとめた「GX実現に向けた基本方針」において、「今期通常国会に、GX実現に向けて必要となる関連法案を提出する」とされていると承知しています。いずれにしても、国会での活発な議論を通じて政府の考え方を国民の皆様にお伝えすることは重要と考えております。

各政党のご回答より *は筆者加筆

質問3
GXに関する法案の提出は、なぜ原子力政策を転換するのか、国民負担はどのようなものになるかの検証を、国会で行った後が望ましいとお考えですか。
    ご回答(はい/いいえ)自由記述(               )

回答3

【国民民主党】1~6の総論としての回答(*上記回答1にまとめて掲載)
【公明党】ご指摘の点はまさに重要な論点であると思います。国会での議論の中で明らかにし、政府の考え方について、国民の皆様にお伝えするべきと考えております。
【れいわ新選組】(はい)自由記述(そもそも、原子力政策の転換について岸田政権は選挙で訴えて国民の信任を得てはいない。2022年参議院選挙直後にも岸田首相は「新増設・リプレースは当面想定していない」と発言していたのを、8月になって突如方針転換した。方針転換について国会で説明するのは当然だが、それ以前に選挙で信任されていない政策である以上、政府がリプレースを想定している立地地域での住民投票などを含む広い国民参画の議論があってしかるべき)
【日本共産党】(はい)自由記述(原発「推進」でとくに重大な問題は、世界有数の地震国・津波国である日本では重大事故が起きないとは、原子力規制委員会でさえ言えないというぐらい危険だということ、また長い場合には10万年もの厳格な管理を要し大量に存在する“核のゴミ”をどう処理・処分するのかが定まっていないこと――です。「グリーン」とはまったく正反対で、地球環境にも人類社会にも多大なリスクをもたらします。ヨーロッパ並みに安全性を強化すれば1基当たり1兆円を超える建設コストになるといわれ、一度事故が起きれば莫大な費用と手間と住民の犠牲が強いられることは福島の事故で明らかです。また“核のゴミ”の対応にどれだけの費用が掛かるのかは国民に示されていません。こうした問題を抜きに、原子力政策の「転換」を強行すべきではありません。)
【立憲民主党】(はい)
【NHK党】(いいえ)
【社会民主党】(はい)自由記述(原子力の取り扱いを間違えれば将来世代にわたる被害を及ぼすおそれがある。時の内閣の判断だけで転換することは許されないのではないか。)
【自由民主党】ご指摘のような論点は重要な論点と考えており、国会での活発な議論を通じて政府の考え方を国民の皆様にお伝えすることは重要と考えております。

各政党のご回答より *は筆者加筆

質問4
GX束ね法案に含まれるとされる原子力基本法は「原子力利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に」行うとしています。原子力政策に関する法案は、束ねて一つの委員会で審議を終わらせるのではなく、個々の委員会で丁寧な法案審議を行い、国民の理解と合意を得られるように努めるべきだとお考えですか。
    ご回答(はい/いいえ)自由記述(              )

回答4

【国民民主党】1~6の総論としての回答(*上記回答1にまとめて掲載)
【公明党】政府においては、従来から、二つ以上の法律の改正を提案しようとする場合においては、一般に、法案に盛られた政策が統一的なものであり、その結果として法案の趣旨、目的が一つであると認められるとき、あるいは内容的に法案の条項が相互に関連して一つの体系を形作っていると認められるときは、一つの改正法案として提出することができると考えていると承知しています。
いずれにしても、原子力政策は重要な政策であり、政府の考え方を国会における議論を通じて国民の皆様にご理解いただけるようしっかりと説明してもらいたいと考えております。
【れいわ新選組】(はい)自由記述(例えば本年度予算案で経産省がGX4事業として掲げる事業には新型炉開発、再エネにも使えるグリーン基金、次世代自動車など性質の異なる様々な事業が盛り込まれている。束ねてしまうことで、原子力には反対だがグリーン基金はあってよい、などの意見が採決に反映できなくなる。原子力をグリーントランスフォーメーションの政策に含めてよいのか、という基準の議論が先になければ行けない。)
【日本共産党】(はい) 自由記述 原子力基本法に盛り込まれた「自主・民主・公開」の三原則は、唯一の戦争被ばく国である日本で原子力利用を進めるさいの国民に対する誓約ともいうべきものです。その実行のためにも、きちんとした十分な議論が必要です。束ね法案の形で質疑を短縮するようなやり方には反対です。)
【立憲民主党】(はい)
【NHK党】(はい)
【社会民主党】(はい)自由記述(「原発への依存度を可能な限り低減し」、「新設や増設、建替え」を行なわないというのがこの間の国民合意である。これを転換するのであれば、あらゆる面から徹底審議するのが当然だ。)
【自由民主党】一般的に法案に盛られた政策が統一的なものであり、その結果として法案の趣旨・目的が1つであるとき、あるいは内容的に法案の条項が相互に関連して一つの体系を形作っているときは、1つの改正法案として国会に提出されると承知しています。
いずれにしても、国会での活発な議論を通じて政府の考え方を国民の皆様にお伝えすることは重要と考えております。

各政党のご回答より *は筆者加筆

質問5
GX束ね法案には、原子力規制委員会が規制を担う原子炉等規制法と、原子力を推進する経済産業省が所管する電気事業法が含まれます。規制と推進の分離は法案審議においても大切だとお考えですか。
ご回答(はい/いいえ)自由記述(              )

回答5

【国民民主党】1~6の総論としての回答(*上記回答1にまとめて掲載)
【公明党】原子力利用にあたって、何よりも安全性を確保することは大前提です。東京電力福島第一原子力発電所事故の反省から安全規制については、高い独立性をもつ原子力規制委員会が担うこととしています。原子力規制委員会による安全性の確認がなければ、原子力発電所の運転ができないことになっています。その仕組みを維持することが規制と利用の分離という視点から大変重要であると考えております。
いずれにしても、原子力政策は重要な政策であり、国民の皆様にご理解いただけるよう国会での活発な議論を通じて政府の考え方をしっかりと説明していくことが重要であると考えております。
【れいわ新選組】(はい)自由記述(質問4に記した理由で束ねることには反対。今回の原子炉党規制法改正案は規制よりも「規制緩和」を志向するものであることが問題。)
【日本共産党】(はい) 自由記述(原発運転の運転期間40年規制が緩和・廃止されるとともに、運転期間を規定する法律も、原子炉等規制法から、原発推進の電気事業法に移そうとしています。原子力規制委員会が依って立っている原子炉等規制法の規定を、推進側に譲り渡すのに、原子力規制委員会は抵抗さえしません。規制委員長が知らないうちに、原発の運転期間の見直しをめぐって事務局である原子力規制庁と経済産業省資源エネルギー庁が7月から面談し、法整備の具体的な検討をしてきた事実が確認されています。面談はエネ庁からの提案であり、岸田文雄首相が7月27日に第1回GX実行会議で「原発の再稼働とその先の展開策」について必要な項目を示すよう指示した翌日に第1回の面談が行われました。経産省から「原子炉等規制法を含む束ね法案の検討を開始した」と伝えられており、その後の面談でエネ庁から「改正のイメージ」や審議会資料が示された際、規制庁から記述の削除などを求めるなどの作業をしていました。3・11の福島第一原発事故の調査のために設置された国会事故調査委員会の報告で、事故にいたる要因とされた「本来は規制制度にのっとってチェックすべき側が、規制される側に取り込まれる『規制の虜』」という事態が、再び起きています。
 まさに福島第一原発の事故の反省や教訓を生かすどころか、事故がなかったかのように事故前の状態にもどし、新たな「安全神話」を生み出そうとしています。この経過に照らして規制と推進の分離の原則に徹するために、法案提出を撤回すべきです。)
【立憲民主党】(はい)
【NHK党】(はい)
【社会民主党】(はい)自由記述(推進と規制が一体化して原子力を推進してきたことが、福島第一原発事故の背景にある。推進と規制はあらゆる局面で、厳格に分離して行なうべき。)
【自由民主党】東京電力福島第一原子力発電所事故の反省を踏まえ、規制と利用の分離の観点から、安全規制は、高い独立性を有する原子力規制委員会が、一元的に所掌することとしています。原子力利用にあたって、安全性の確保は大前提であり、原子力規制委員会により安全性が確認されなければ、原子力発電所の運転ができない仕組みを維持することが重要であると考えております。
いずれにしても、国会での活発な議論を通じて政府の考え方を国民の皆様にお伝えすることは重要と考えております。

各政党のご回答より *は筆者加筆

質問6
目的も所管組織も役割も異なる複数の法律を束ねる法案は、憲法で定められた「国政に関する調査」権を内閣が奪うリスクをはらみ、個々の委員会に所属する国会議員の質問機会を奪い、異なる政策を国会でぶつけて擦り合わせる政党の役割をも放棄させるものではないでしょうか。さらには国会審議を反映した内閣提出法案や、議員立法による対案を検討する機会をも奪うのではないでしょうか。
  ご回答(そう思う/思わない)自由記述(              )

回答6

【国民民主党】1~6の総論としての回答(上記回答1にまとめて掲載)
【公明党】政府においては、従来から、二つ以上の法律の改正を提案しようとする場合においては、一般に、法案に盛られた政策が統一的なものであり、その結果として法案の趣旨、目的が一つであると認められるとき、あるいは内容的に法案の条項が相互に関連して一つの体系を形作っていると認められるときは、一つの改正法案として提案することができると考えていると承知しています。
そのことが国会議員の質問機会を奪うことになるとは考えていません。
いずれにしても、原子力政策は重要な政策であると認識しており、国会で十分な審議が尽くされるよう努力していくことが重要であると考えております。
【れいわ新選組】(そう思う)自由記述(所管が多省庁にまたがっていない場合でも、改善と改悪を混ぜるような問題のある束ね法案の事例は少なくない。れいわ新選組は政府の恣意的な束ね法案提出に対しては厳しく批判してきました。参考までに先の臨時国会では以下の声明を出し、抗議しました。
「障害者総合支援法等の束ね法案提出に抗議する声明」(2022年10月14日)
https://reiwa-shinsengumi.com/comment/13029/
【日本共産党】(そう思う)自由記述(国政調査権を十分に保障することは、国政のチェックに当たり、また必要な立法措置を行う議会の機能にとって重要です。岸田政権が自己に都合の良い法案の早期成立を目指して、この機能を阻害するようなやり方は容認できません。)
【立憲民主党】(*未記入を電話で確認)
【NHK党】(前半部は、そう思う 後半部は、そう思わない 質問文が無駄に長く、前半と後半で整合性がない。それぞれ別の質問にするべきでしょう。)
【社会民主党】(そう思う)自由記述(原子力関わらず複数の所管にまたがる法案を安易に「束ね」る手法には問題がある。極力控えるべきと考える。)
【自由民主党】一般的に法案に盛られた政策が統一的なものであり、その結果として法案の趣旨・目的が1つであるとき、あるいは内容的に法案の条項が相互に関連して一つの体系を形作っているときは、1つの改正法案として国会に提出されると承知しています。
いずれにしても、国会において与野党が合意の上で円満な運営がなされ、結果的に国民生活や国益に資する真摯な審議が尽くされることが重要と考えております。

各政党のご回答より *は筆者加筆

結果は以上です(2023年1月31日現在→2月1日追加)。末筆ですが、ご回答にご協力くださいました各政党の皆様に心より御礼申し上げます。

【お詫び】

政党名「れいわ新撰組」の誤変換を訂正しました。お詫び申し上げます。


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