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「ペロブスカイトで原発20基分」戦略について。次世代はいつ?

「あとで」と思うと、ドンドンそれが積もるので、今、急ぎ、メモを残しておく。


「次世代型」太陽電池の官民協議会

2024年11月26日、資源エネルギー庁の新エネルギー課が事務局を務める「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」が開かれ、同協議会名で「次世代型太陽電池戦略(案)」が明らかにされた。

2040年には約20GW (※)の導入を目指す」とある。
(※)印には「大幅なコスト低減等が進んだ場合は、約40GW~」とある。

2024年11月26日「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」
資料「次世代型太陽電池戦略(案)」P32(黄色マーカーは筆者加筆)

その前日からNHKは「ペロブスカイト太陽電池 2040年に原発20基分普及の目標案 政府」と配信。他の報道各社も同様だ。タイトル自体が「2040年に原発20基分」とセンセーショナル。「エネルギー基本計画の2040年度の電源構成で、再生可能エネルギーを初めて最大の電源とするシナリオ」(NHK引用)と鼻息が荒い。
この協議会には、有識者の他、企業や162自治体も参加していることも興味深い。

横浜市発の技術だそうだ

同日、横浜市と学校法人桐蔭学園が「ペロブスカイト太陽電池フォーラム」を開催。開発者の桐蔭横浜大学医用工学部特任教授が「実証実験の様子など」を紹介したのだという。ANNニュースが「ペロブスカイト太陽電池「2、3年で一般の方にも」(2024年11月27日)」でそう報じている。記者発表資料によれば、ペロブスカイトは、横浜発の技術だそうだ。

ANNニュースによれば、宮坂特任教授は「製造には少量の鉛が使われることから」「今後、製品回収を前提とした社会実装の仕組みも考えたい」と述べたそうだ。大切なことだと思う。

そもそも「次世代型」太陽電池とは?勉強しなきゃ

・ペロブスカイトは、次世代の技術であること。
・既に今ある技術で「2030年再エネ82%を織込む」国があること。
 (2024年11月7日 もう一つのエネルギー基本計画 2030年再エネ82%を織込む豪州ロードマップ 山家 公雄 エネルギー政策研究所長(豪州ロードマップ)
2024年9月30日「再エネ100%社会のリアル~オーストラリア視察報告と第7次エネ基への提言」)
・そもそも「次世代型太陽電池」ってなんなのか。どの型が優勢なのか。
・その「次世代」はどこまできているのか?

2024年11月26日「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」
資料「次世代型太陽電池戦略(案)」P10

勉強しなければと思うことが山積みだ。

同時多発「テロ」と言いそうになる審議会

一般の人々が、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会や、電力・ガス事業分科会の下の原子力小委員会の、同時多発中の審議会を網羅的に理解するのは不可能だから、国会の政策担当者や報道者の責任は重い。

エネルギー計画改訂に向けた情報戦

なぜなら、エネルギー基本計画の改訂に向けて、データセンターのための電力供給のための原子力!のような情報やメディア操作が存在するからだ(先日「データセンターの電力需要の増加は本当? 「原発コストのこっそり徴収制度はやめて」で書いた)。審議会の数は多いわ、真偽を確かめなければならないわで、大変だとしかいいようがない。

情報を受け取る一般の人も、どんな情報も、その受け取り方には、慎重さが必要だと念頭に置いて欲しい時期だ。

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2024年11月26日「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」資料「次世代型太陽電池戦略(案)」P10




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