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(1分読み)ユニバーサルデザイン(UD)の教科書174 高齢者と軽度重複障害:使いやすさとわかりやすさの視点から

高齢者と軽度重複障害:使いやすさとわかりやすさの視点から

人はやがて高齢者になります。
これは避けられない自然の摂理です。

はじめに

高齢化社会が進む現代において、高齢者が抱える課題はますます重要なテーマとなっています。

特に、視覚、認知、運動各能力が低下することにより、高齢者はさまざまな不自由を経験します。

これらの状況は「軽度重複障害」ともいえるものであり、社会全体がそのニーズに対応することが求められます。

本コラムでは、高齢者を被験者とした製品やサービスの検証が、障害者だけでなく全ての人々にとっても有益である理由について考察します。

❶見づらい:視覚能力の低下

加齢に伴う視覚能力の低下は、多くの高齢者が経験する現象です。

視力の低下に加え、白内障や緑内障といった疾患も一般的です。

これにより、日常生活における視覚的な情報の取得が困難になります。

Hard to see.
Generated by DALL-E3.

解決策(一例)

1. 大きなフォントの使用:
製品ラベルや操作パネルにおいて、視認性を高めるために大きく明確なフォントを使用します。

2. 高コントラストの色使い:
視覚的に情報を明確にするために、背景と文字の色に高いコントラストを持たせます。

3. 拡大鏡やデジタル拡大機能:
テレビやスマートフォンに拡大機能を搭載し、必要に応じて画面の一部を拡大表示できるようにします。

4. 調整可能なスクリーン設定:
スクリーンの明るさやコントラストを簡単に調整できるようにし、視覚負担を軽減します。

5. 視覚補助アプリ:
AIを活用した視覚補助アプリを開発し、周囲の環境をリアルタイムで音声説明する機能を提供します。

❷わかりづらい:認知能力の低下

認知力の低下もまた、高齢者が直面する重要な課題です。軽度の認知症は記憶力や判断力に影響を与え、複雑な情報を処理することが難しくなります。

Hard to understand.
Generated by DALL-E3.

解決策(一例)

1. シンプルなUI(ユーザーインターフェース):
操作が直感的で簡単になるよう、画面のデザインをシンプルかつ一貫性のあるものにします。

2. 音声ガイドの導入:
操作手順を音声で案内する機能を追加し、視覚だけでなく聴覚でも情報を得られるようにします。

3. 記憶補助機能:
スマートフォンや家電にリマインダー機能を搭載し、重要なタスクや予定を通知する仕組みを提供します。

4. 対話型AIアシスタント:
日常の質問やサポートを提供する対話型AIアシスタントを開発し、認知機能のサポートを行います。

5. ゲーミフィケーション:
認知トレーニングをゲーム化し、楽しみながら認知機能を維持・向上させるアプリを提供します。

❸動きづらい:運動能力の低下

高齢者は運動能力の低下にも直面します。

軽度の肢体不自由は、手の力が弱くなったり、細かな動きが難しくなったりすることを意味します。

Difficult to move.
Generated by DALL-E3.

解決策(一例)

1. 大きく操作しやすいボタン:
製品のボタンやスイッチを大きくし、押しやすいデザインにします。

2. 軽い力で操作できる仕組み:
少ない力で操作できるよう、タッチパネルやセンサー技術を活用します。

3. 持ちやすいデザイン:
手にフィットする形状や滑りにくい素材を使用し、操作しやすいデザインを追求します。

4. 音声操作機能:
手を使わずに操作できる音声認識技術を導入し、声で指示を出せるようにします。

5. ウェアラブルデバイス:
装着するだけで日常の動作を補助するウェアラブルデバイスを開発し、動作の補助を行います。

UD7原則を振り返ると
なるほどうなずけます。

https://note.com/masani8120mm/n/n6208fc0f3e11

🔍高齢者を被験者とした製品・サービスの検証

高齢者を被験者とした製品やサービスの検証は、障害者にとっても有益であると同時に、全てのユーザーにとっての使いやすさ・わかりやすさの向上に寄与します。以下の点について具体的に考察します。

ユニバーサルデザインの重要性

ユニバーサルデザインとは、年齢や障害の有無に関わらず、可能なかぎり全ての人が利用しやすいデザインを目指す考え方です。

高齢者のニーズを考慮したデザインは、結果として多くの人々にとって使いやすい製品やサービスを生み出します。

例えば、音声アシスタント機能を備えたデバイスは、高齢者だけでなく、視覚障害者や忙しいビジネスパーソンにも便利です。

高齢者の意見を反映したデザインプロセス

高齢者の視点を取り入れることで、製品やサービスの使い勝手は飛躍的に向上します。

ユーザビリティテストに高齢者を参加させることで、彼らのニーズや不満点を直接収集し、反映することができます。これにより、より直感的で使いやすい製品が開発されるのです。

Verification by actual elderly.
Generated by DALL-E3.

結論

高齢者が抱える視覚、認知、運動の各能力の低下は、軽度重複障害といえるものであり、そのニーズに対応することは急務です。

高齢者を被験者とした製品やサービスの検証は、障害者にとっても有益であり、さらに全ての人々にとっての使いやすさとわかりやすさを向上させる重要なプロセスです。

ユニバーサルデザインの理念を取り入れ、高齢者の意見を反映した製品開発を進めることで、誰にとってもより良い社会を実現することができます。

追伸:
ユニバーサルデザインは決してダサくない


一部の人々は、ユニバーサルデザインや高齢者・障害者向けの製品が「ダサい」ものになるのではないかという懸念を持っています。

しかし、これは大きな誤解です。

使いやすさとわかりやすさを追求したデザインは、多くの場合、シンプルで洗練されたものになります。

以下はその成功事例です。

1. Apple製品の直感性と洗練:
シンプルで直感的なデザインは、高齢者や障害者を含む全てのユーザーに高く評価されています。

2. 交通機関のバリアフリー設計の複合化を通じたユニバーサルデザイン化:
視覚的にもわかりやすく、機能的にも全ての利用者が安全かつ快適に移動できるデザインです。

3. 公共施設のユニバーサルアクセス:
視覚的・機能的に洗練されたデザインが、誰にとっても利用しやすいアクセシブルな環境を提供します。

4. シンプルなUIのスマートフォン:
大きな文字や音声操作機能など、高齢者だけでなく、全てのユーザーにとって使いやすいデザインです。

5. 住宅設備のユニバーサルデザイン:
例えば、手すりのデザインや低床設計など、美しさと機能性を兼ね備えながら、安全性に配慮されています。

ユニバーサルデザインは、高齢者や障害者のニーズを反映しつつ、全てのユーザーにとって魅力的な製品を生み出すことができます。このようなデザインアプローチは、今後ますます重要性を増していくでしょう。

Elderly and Universal Design Benefits.
Generated by DALL-E3.

Think Universality.Think Difference.


m.m

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