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「高輪」と「ゲートウェイ」

何かと話題ですね、高輪ゲートウェイ駅。
自分も行ってきたのでこの駅と土地について書いてみようと思います。

駅名

「高輪ゲートウェイ」という駅名は2018年に行われた公募をもとに決定されたという事は記憶に新しいかと思います。
高輪ゲートウェイの順位は130位と高くない上に、日ごろからカタカナ駅名という物に拒否反応を示す人が少なからずいるため、決定時からあまりいい印象を持たれなかった悲運な駅名です。
自分としては、また別の理由で残念な思いをしていました。
それが今回の内容です。

高輪という土地

公募では1位が「高輪」だったそうです。
この写真は、地元商店街が高輪駅にするための運動ポスターを撮影したものです。

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記録を見ると2015年、新駅計画が発表されたのが2014年なのですぐにこのポスターが作られたという事になります。

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iPhone5で撮影したんですね…今使ってるのがiPhone11なので歴史を感じます。
そして、撮影したのが高輪エリアではなく芝だったと言うのは余談…。

つまりは以前から新駅を高輪という名前にしようという運動があったという事でした。
そしてその結果、公募で1位を獲得できたのです。
ただ、ここで残念なお知らせをしなければなりません。
「高輪ゲートウェイ駅」は高輪にはないという事を…。

地図を見ると高輪のエリアに高輪ゲートウェイ駅はかすってもいません。
では、高輪ゲートウェイ駅はどこにあるのかと言うと、

港南二丁目です。
とはいえ、駅名と違う所在地にあると言うのは今更ではあります。
なにしろお隣の品川駅が「品川」には無いというのはあまりにも有名な話。
他にも、目黒にない目黒駅、秋葉原にない秋葉原駅など、枚挙に暇がありません。
特に品川駅の所在地は高輪二丁目で、駅の名前を品川に取られてしまった高輪の人たちにとっては、高輪の名前を付けたかったという強いが想いがあったのかもしれません。

ゲートウェイの意味

ゲートウェイとは直訳すると「入口」あるいは「出口」、つまり行き来するための関門という意味になります。
では「高輪ゲートウェイ」とは、あの場所が高輪では無いにしろ高輪という土地に行くための出入り口の駅なのかと言うと、そういうわけでもありません。
そもそもはこの再開発エリアには「グローバルゲートウェイ品川」というコンセプトがあります。

つまり、その「ゲートウェイ」と公募1位の「高輪」をくっつけたのが「高輪ゲートウェイ」という駅名であり合成駅名なんですね。
(合成駅名とは、白金高輪や上野御徒町、伊勢佐木長者町など2つの地名を繋げた駅名の事)

そもそもこの場所なんなのか

高輪ゲートウェイ駅が開業し、これからグローバルゲートウェイ品川をコンセプトとした街づくりが本格化しこのだだっ広いこの土地にいずれ高層ビルが建ち並びます。

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このだだっ広い土地は、元々線路が隅々まで敷き詰められていた鉄道車両基地でした。
そしてそれより以前、ここは海でした。
1872年(明治5年)に新橋~横浜間の鉄道が開業し、品川駅付近は海沿いあるいは海の上を線路が通っていたという事は広く知られている事と思います。

その後、街の発展とともに海は埋め立てられ、鉄道は海の上から陸上と地続きになり、現在の高輪ゲートウェイ駅周辺は車両基地として数年前まで稼働していました。
そして線路は剥がされ新しく街が作られようとしています。

つまり、かつては海だったこの場所が明治期から現在を通して初めてこの土地に人の営みが生まれるという事になるのです。
街を作り変える意味の再開発ではなく、ゼロから街が作られようとしているのです。

そんな全く新しい土地、街に高輪や品川と言った既存の地名が使われるのが個人的には少し残念に感じたのでした。
まぁ、土地の名前は絶対に変わらないというわけではないので、将来的に町名地番整理などで新しい名前が付いたらいいな、と思ったりもします。
グローバルゲートウェイ品川がそういった未来を感じさせてくれる新しい街になってくれることを期待しています。

高輪橋架道橋

余談ですが、高輪ゲートウェイ駅が出来たことで近くにある高輪橋架道橋へのアクセスが良くなりました。

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天井が低く、行燈をぶつけるタクシーが後を絶たないことから「提灯殺しのガード」の異名が付いていることで有名な道路です。
この高輪橋架道橋も、グローバルゲートウェイ品川の開発の影響により新しい道路に付け替えられる計画があり、2020年4月12日よりいよいよ車の通行が終了します。
写真の通り、見学者も日に日に増えていっているようです。
そんな高輪橋架道橋をデジタルアーカイブした作品を以前作りましたので、興味がありましたらご覧ください。

上はSketchfabによるモデルビューワー、下はVRChatのVR作品です。

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