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猫のこと…引っ越し

近所で猫を飼っていた家が、引っ越しをした。

その猫は飼い猫ではあったが、自由に外をうろちょろしていて、

「車とか危ないな〜」

とは思いつつ、いつも見かけると声をかけていた。

警戒心の強い子で、その辺は安心していたのだが、こういう子ほど人の気配を感じるとササっと逃げ出す習性があるので、

「とにかく車には気をつけろよ」

と思っていた。

この猫たらしの僕でさえ、遠目から見るだけで決して近づかなかったし、一度も鳴き声を聞いたことも撫でたこともなかった。

ある日、その家の近くを通ると大きな荷物などをトラックへ積み込んでいた。

「引っ越しするのか。あの猫は大丈夫か。」

と思った。
信じられない話だが、引っ越し先がペットを飼えないため、そのまま猫を置いて行ってしまう人もいるという。なんでそんなこと出来るのかまったく理解出来ないし、最初から飼わないでもらえないだろうか、と思う。

引っ越し作業が日々進む中、その猫を見かけなくなった。

それから数日後、僕が駅から家に向かって歩いていたらその猫がいた。
その日は近づいても全然逃げないし、なぜか頭をちょこんと触らせてくれた。

「置いてかれたのか?」

と思った。
人恋しさからか、たまに顔を見かける僕に、触らせてくれたのかと思った。

しかし家の電気はまだ点いていたからホッとした。

「一緒に連れてってもらえよ」

と声をかけ、僕は家に帰った。

次の日、昼から仕事で駅に向かっていると、その家のそばに車が止まっていた。ふと中を見ると、人が二人と、助手席の人の腕の中にあの猫がいた。

昨日触らせてくれたのは、お別れの挨拶だったのか。

猫は僕をじーっと見て、口を開いたが、その声は聞こえなかった。
新しいお家で幸せに暮らしてるといい。
あんまり外に出ないように、伝えておきたかったな。

最後にあいつが言ったのは、

「じゃあな〜」

だったのか。

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あ、、ありがとう、、
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お笑い芸人です。猫に生かされてます。主に猫の事を書きますが、猫以外のことも書くことにしました。この柔軟性たるや。
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