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【UFC 298】待ち侘びた豪華カードとリンヤマン【メイン以外の注目試合】『Volkanovski vs. Topuria』※試合後追記しました。

大会色合い

UFCApexが2周続いてUFC300のメインイベントが発表されないままXに齧り付いていたUFCファンのストレスをようやく解放すべく遂に豪華カードのナンバーシリーズがやって参りました。
UFC300を目前にしてUFC298、299と豪華カードが目白押しのUFC2024上半期シーズン、今大会のメインイベントはフェザー級絶対王者として君臨しているアレクサンダー・ヴォルカノフスキーが登場。昨年はライト級王者マカチェフとのライト級マッチを2度戦って階級上の王者と渡り合う人外っぷりと、KO負けによって人間らしさを見せる一面もあって、より一層魅力を増した王者ヴォルク。会見ではオールディな格好で見事な居眠りパフォーマンスを見せました。
そして挑戦者はプロスペクトとして注目されてきた14戦無敗(UFC6連勝中)の若武者イリア・トプリア。ローカル時代はサブミッション勝利を重ねるグラップラーでしたが、UFCでは逆にグラップラーをKOし続け打撃の殺傷能力を光らせるファイターとして遂にタイトルマッチに漕ぎ着けました。同じくフェザー級無敗のエフロエフとの無敗対決が組まれた事もありましたが、無敗のままタイトル戦が組まれた今となってはあの試合が流れて良かったと思い返します。ちなみに、ライト級までの軽量級で35歳以上のタイトル戦勝利は無いそうです。ヴォルクならこのジンクスを弾き飛ばすでしょう。

メインカードも各階級タレント選手が出てきて豪華絢爛な並びですが、昨年のRoadtoUFCを制した中村倫也選手が出場します。
同じく日本から木下憂朔選手も出場予定でしたが欠場の発表が新年早々発表されていました。
平良選手といい有観客のナンバーシリーズに日本人選手が出場するのは感慨深い!!がんばれニッポン🇯🇵!!!

注目試合

ナンバーシリーズとなると注目したい試合はメイン・コメイン以下でもたくさんあるので困ってしまいます。
UFC300とかどうしよう。でも4試合くらいの記事を書くのがちょうどいいので絞って書いていきます。楽しみ楽しみ。

(ウェルター級:プレリム③) ジョシュ・クインラン🇺🇸 vs ダニー・バーロウ🇺🇸

昨年のコンテンダーシリーズでは1分ちょっとでKO勝ち。契約を勝ち取って今回デビュー戦、ダニー・バーロウ
28歳 7-0(UFCデビュー) 4KO/1SUB

ニックネームに”LEFT HAND 2 GOD”とあるようにサウスポーに構え、200cm越えのロングリーチを活かした左を起点に試合を作る選手です。
フィニッシュした試合は全て1R決着の左神。
差し合いというよりはカウンターとして打つ左と、大きく踏み込んだ伸びる左ストレートが得意で、テイクダウンはラウンド間際の印象づけとしては使いますが混ぜるタイプでは無さそうです。

位置取りの関係でスイッチする事はあるものの、オーソの打撃は使う事なく喧嘩四つ相手のストレートに外から左ストレートを被せたり、下がってオーソ構えのチェックフックを使ったりととにかく左が命の左神バーロウ。

CFFCでの試合では1Rにバックマウントを取られてRNC寸前にまでなったシーンもあり。タフなレスラーとの試合ではどうなるか。
木下選手とのサウスポー対決は見たかったので欠場が悔やまれます、、。

木下選手欠場を受けて代役となったのがジョシュ・クインラン。
31歳 6-1(UFC 1-1) 4KO/2SUB

2021年のコンテンダーシリーズで勝利し契約。(禁止薬物の陽性が出たためノーコンテストに変更)雲行き怪しいと思われた契約ですが無事成立して今回3戦目となります。
フィニッシュはKOの方が多いですが柔術は黒帯。サブミッションの内訳はいずれもRNC。
ロー、カーフを蹴って下から崩そうとするも、バーロウのゴムゴムの左ストレートが伸びてくるのでテイクダウンに拘ってトップコントロール、バックテイクのシュチュエーションを作れるかどうかがキーになってくるんじゃないかと思われます。

デビュー戦では相手の蹴り動作、腕が下がったところにカウンターの左フックをヒットさせワンパンKO。
前戦は同じく長身ロングリーチのトレイ・ウォーターズ戦で判定負け。いいシーンもあったのでどうなるか。テイクダウンいきましょう。

(バンタム級:プレリム⑤) 中村倫也🇯🇵 vs カルロス・ヴェラ🇪🇨

さあ遂に登場、中村倫也UFC第2戦!!!(RoadtoUFC決勝をカウントすれば3戦目)
こっちは元々の対戦相手ブレイディ・ヒースタンドが欠場し相手が変更となりました。
28歳 8-0(UFC 2-0) 5KO/1SUB

デビュー戦となった前戦はファーニー・ガルシアを9分越えの圧倒的トップコントロールで下し無敗を保って2024年を迎えました。
バックボーンはレスリングですが打撃にも期待できるプロスペクト。

試合後インタビューでの英語にも期待!!!!!

対するは急遽参戦、今回デビュー戦となるカルロス・ヴェラ。
36歳 11-3 (UFCデビュー) 1KO/5SUB

TUF31では後に優勝するブラッド・カトーナと1回戦で対戦し敗退。
テコンドーをバックボーンとしていながら、ボトムでは足関を取りに行ってからのパスで嫌なプレッシャーを仕掛けるなどハッキリ言ってめちゃくちゃクセの強いファイターだと思われます。
リンヤ・ナカムラとしてはテイクダウンしてトップコントロールを狙うというよりはスタンドで圧をかけることに重きを置いた試合運びになりそうですがいかがでしょうか。

直近2戦ではいずれもギロチンでフィニッシュ
どちらも尻をつかされ、腰に手を巻かれ&相手が腰に頭を付けているところからしっかりセットして極めています。
ケージレスリングになったら注目したいところではあります。

(ミドル級:メインカード①) アンソニー・ヘルナンデス🇺🇸[#15] vs ロマン・コピィロフ🇷🇺

イクラム・アリスケロフの欠場により代役としてロマン・コピィロフが出場。
32歳 12-2(UFC 4-2) 11KO

鋭いミドルキックで相手を崩して畳み掛ける形で4連続KO中
当Noteでは出るたびにコピィロフちゃんについて書いてるので代打出場ですが今回も注目です。
前戦はNocheUFCでジョシュ・フレムドにボディへのパンチを差して悶絶KO勝ち。

対するはこちらも4連勝中アンソニーヘルナンデス。
30歳 11-2(UFC5-2) 2KO/7SUB


コピィロフよりは明らかに引き出しも多くて、LFA時代にはミドル級のベルトをかけた試合でブレンダン・アレンから勝利しています。
スタンドでは遠い間合いの打撃やクリンチ離れ際の肘も得意で、グランドではバックサイドからのギロチンやアナコンダなどを得意としていて、サブミッションを仕掛ける動きをとり続けます。
柔術では格上のホドルフォ・ヴィエイラに極めたギロチンは見事でした。

コピィロフはお決まりパターンで勝ち続けているように感じるので、対応力のあるヘルナンデスに対して柔軟に試合運びが出来るのか注目したいと思います。

(バンタム級:メインカード②) メラブ・ドバリシビリ🇬🇪[#2] vs ヘンリー・セフード🇺🇸[#3]

ファイトナイトのメインイベントにするには勿体無いほどで、ナンバーシリーズのメインカードに相応しい豪華トップランカー対決

現在UFCバンタム級ランキング2位のメラブ・ドバリシビリ。
33歳 16-4 (UFC9-2) 3KO/1SUB


RIZINで活躍する朝倉海選手のYoutubeチャンネルにも登場して日本人ファンにも馴染み深い選手で、同門のアルジャメイン・スターリングが同階級チャンピオンだったためランキング2位でありながらタイトル戦を組まれることが難しかったメラブですが、スターリングが陥落し新王者オマリーとの因縁を持つヴェラが挑戦者となったため次戦が不透明に。
現在9連勝中でタイトル挑戦者筆頭ですが、まさかのマッチアップ実現となりました。

前戦は昨年3月のピョートル・ヤン戦。
”The Machine”とついたニックネームの如く5Rに渡って打撃とタックルを混ぜ続けるスタイルを貫いて判定フルマークでヤンに土をつけました。
驚くべきはその運動量とスタミナで試合のスタッツではテイクダウン試行回数が49回。30秒に1回はタックル行ってるやんと。

ギロチンを極められても顔を紫に染めながら動き続けたり(リッキー・シモン戦)、KO寸前まで効かされてもなんだかんだで逆転TKO勝ちしたり(マルロン・モラエス戦)、常識はずれのバケモノタフネスに期待です。

対するは元UFCフライ級、元UFCバンタム級王者ヘンリー・セフード。
37歳 16-3 (UFC10-3) 8KO

レスリングのオリンピック金メダリストとしてUFC軽量級をも制した後に競技生活から離れ、昨年5月に3年ぶりの復帰を果たします。
休養中はコーチングや試合解説動画などで目にする事が多く、彼のファイトIQの高さが目立っていたように感じてましたが、復帰戦となった当時王者スターリングとのバンタム級タイトルマッチではスプリットに持ち込む接戦となって改めて存在感を示しました。

楽しみな試合ですが3Rなのがミソで、セフードがスタンドで優位に立ち回ってポイントを取っての判定勝利予想です。
メラブは約1年近く振りの試合ですし、セフードもどういった策を講じるのか分からないので展開予想は出来ません笑

その他気になる選手・応援している選手たち

・バル・ウッドバーン🇯🇲
無敗だったが昨年8月のUFC290でボー・ニッカルに秒殺されてしまう。フィジカルを感じる体型と名前が好きで応援。今回はウェルター級での試合。
名前は略さないとヴァレンタイン・ウッドバーン。
・ジャン・ミンヤン🇨🇳
2022年のRoadtoUFCのワンマッチでのKOはすごかった。(実は会場で見てました)
契約できてよかった。今回デビュー戦。
・ジェフ・ニール🇺🇸[ウェルター級 #8]
昨年ギャリーとの試合が流れたが再び組まれる。ギャリーに分からせてやってくれ。
・ロバート・ウィテカー🇦🇺[ミドル級 #3]
語るまでもないんですが、コスタに分からせてやってください。

※※※試合後追記※※※


面白かった試合、見返したい試合

(ウェルター級:プレリム③) ジョシュ・クインラン🇺🇸 vs ダニー・バーロウ🇺🇸

大方予想通りの展開になりました。
左を起点に攻め立てるバーロウでしたがクインランも中に入ってフックを被せるいい動きをしていました。
結果的にクインランが最終ラウンドに深追いした事でバーロウに迎撃され、ダウンしてリカバリーを見せるかと思ったクインランに追撃を加えてKO決着となりましたが、、

勝負がついたと感じたのは2ラウンド終盤にクインランがこの試合唯一見せたタックルに対してスプロールでしっかり切ったシーンでした。
これによって勝ち筋が失われて最終ラウンドに深追いせざるを得なくなったのは否めません。

TDDが強みがあればストライキングが光ります。次のバーロウに期待。

(ライトヘビー級:プレリム④) ジャン・ミンヤン🇨🇳 vs ブレンドソン・ヒベイロ🇧🇷

互いにUFCデビュー戦となったライトヘビー級マッチ。
RoadtoUFCでインパクトを残したミンヤンは中に入って勝負をしたいですが、ブレンドソン・ヒベイロのワンツーがミンヤンの前進を止めて自分の距離を保ちます。

中に入って交錯すれば可能性がありそうなシーンもありますがテンポよくパンチを当てるヒベイロ。途中パンチが目に入りアイポークのアピールかと思いましたがミンヤンが中に入りながら左、右、左と打ってヒベイロダウン!!パウンドアウトでレフェリーストップ!!!

1R2分に満たない試合時間でしたが逆転勝利とも言える凄い試合でした!

(ミドル級:メインカード①) アンソニー・ヘルナンデス🇺🇸[#15] vs ロマン・コピィロフ🇷🇺

いつも通りの間合いでミドル、ハイと蹴っていくコピィロフでしたがそれでも関係なく前に出ていくヘルナンデス。
ヘルナンデスのプレッシャーに下がりながら打撃を打っていくコピィロフでしたが1Rのケージレスリングでの展開のせいもあってかスタンドで上回っているように見えつつもかなり消耗していて、1R同様2Rには気づけばまたもやケージを背負ってボトムポジションに。

バックを取られて十分な位置に来るとヘルナンデスはRNCをセット!首には入っておらず顎で凌ぐコピィロフでしたがセットし直した腕はしっかり首に入っておりコピィロフはタップ!!!

しっかりランカーの洗礼を浴びせたヘルナンデス!!!
アリスケロフとの試合が再び組まれることを願います。

(バンタム級:メインカード②) メラブ・ドバリシビリ🇬🇪[#2] vs ヘンリー・セフード🇺🇸[#3]

開始早々シングルレッグから足掛けで尻をつかせるメラブでしたがオリンピアンのセフードは立て直します。この時点でワクワクが最高潮に達しましたが1Rにセフードがメラブにフックを当てるとよろけるメラブ!!歯を食いしばって謎の回復を見せる1Rでした。

2R、3Rはセフードが思った以上に消耗していて、逆にメラブは持ち前のカーディオでボクレスを展開し続けます。
2R終盤にはセフードにガブって首を抱えながらケージ外で観戦するマーク・ザッカーバーグに笑顔を見せるパフォーマンス。
3Rは疲れの見えるセフードに対して元気なメラブがダブルレッグからお尻でクラッチしてセフードをリフトアップ、ケージ逆サイドに運んでスラムズドン!!!なんだこの人。無尽蔵のガスでポイントを譲らず文句なしのメラブ判定勝利!!

試合後にはドフラミンゴスタイルでシートに座る王者オマリーにアピール。
ヴェラとのタイトルマッチを控えていますが、こんな随一のスタミナボクレスお化けと5Rマッチなんて身震いしかしないでしょう。
次戦は確実にタイトルマッチだと思われますので、UFC299は必見です。

(ミドル級:メインカード④) ロバート・ウィテカー🇦🇺[#3] vs パウロ・コスタ🇧🇷[#6]

1R終始優位に立ってるウィテカーでしたが、コスタの回し蹴りを被弾してしまいブザーに救われました。ちなみにこの1撃でジャッジ二人が1Rコスタに付けていました。

2R以降はコスタの調子良いジャブをもらいながらもズラして右、左と打っていくウィテカー。カーフも互いに効かされ緊張感のある駆け引きが続いていきます。
3Rもウィテカーが見事なフェイントでコスタに打撃をヒットさせていきます。コスタも流石の打たれ強さですがカーフを効かされ、1Rで見せた回し蹴りを打つも不発。最終的には2,3Rを取ったウィテカーが勝利!!混ぜる打撃でコスタを退けました。


大会総括<上を向いて歩こう>

トプリアが文句なしの2Rノックアウト勝利でフェザー級新王者に輝きました。おめでたい!
王者ヴォルカノフスキーは昨年オリベイラ欠場により急遽マカチェフとの試合に臨みハイキックでのKO負けとなってしまったわけですが、あれがなければ、、、とぶつけどころのないタラレバを考えてしまうほど、個人的にはショッキングな結果となってしまいました。
1Rでは組んで膝を見せていたヴォルカノフスキーでしたが、フィニッシュシーンを見ると首相撲に移行しようとトプリアの首に左手をかけ、その上から右フックを被せられていました。
試合前からなのか、試合中なのか、しっかりと設計されたノックアウトだっただけに近年起こりがちな絶対王者陥落後のダイレクトリマッチの可能性を残さない見事なKO。

アデサニヤ、ヴォルクと絶対王者の陥落続きに世代交代の波が来ていると言わざるを得ませんが、ローカル団体で実力をつけたUFC新参者も実力者揃い。クセ強な相手をいなしたリンヤ・ナカムラの安定感も流石でまた次が楽しみです。

前回、後に王者となるデュ・プレシに敗北したウィテカーは見事な勝利を見せましたし、ヴォルカノフスキーが休養後に残りのキャリアをどうしていくのか注目ですね。ひとまず今日は落ち込んだまま1日を過ごして明日からまた上を向きたいと思います。