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ピーマンが好きと言う子は本当にピーマンが好きなのか

お名前は?

…K。

Kちゃん、よろしくね。

…K、ピーマン好き。

あまりおしゃべりの上手じゃないKちゃん。Kちゃんがはじめて会った人に言うお決まりの展開だった。Kちゃんはいつだって、名乗った後ピーマン好きをアピールする。アピールするのだけど、そこにはある疑惑があった。題して、

「Kちゃんは別にピーマンが好きってわけじゃないんじゃなかろうか」疑惑

Kちゃんは好き嫌いなくなんでもよく食べるけど、ピーマンが出ても特に感動する様子もない。ピーマンをとり分けてあげたら、なんで?と怪訝顔。おい、あれだけアピールしてたのになんだその塩対応。

しばらくして気がついた。

Kちゃんの一連の流れを聞いた大人は決まった反応をする。お決まりの展開にはお決まりの回答があったのだ。それがこちら↓↓

ーKちゃん、ピーマン好きなの?すごいね!

Kちゃんはどこかで、ピーマンが好きと言えば大人が褒めてくれることを発見した。おしゃべりが上手じゃないKちゃんにとってそれはひと言で初対面の大人に褒められる魔法の言葉だったわけで。

しかし、そこには問題があった。それ以降Kちゃんはたいして好きでもないピーマンを笑顔で提供されるようになってしまったとさ…とか言う問題ではなくて。

大人からの賞賛と引き換えに、Kちゃんは本当に好きなものを好きと言う機会を失った。そして、子どもながらに「自分が言いたいことではなくて相手が喜ぶことを言えばいい」と言う結論に、Kちゃんはいたってしまった。その結果、生じた問題。

「Kちゃんの心の声が聞こえない」問題

あれから約10年。

Kちゃんは、大人の顔色をうかがわずに本当に好きなものを好きって言えるようになっただろうか。




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