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東京裁判について

WGIP同様、東京裁判もその欺瞞性が明かになっているにも関わらず、それを知らない人がまだ結構いるようです。政治家、マスコミ、大学教授などが、知ってか知らずしてか、相変わらず自虐史観を振り撒いているところに大きな問題がありそうです。
東京裁判は既に多くの解説書が出ていて論点も多く、とてもNoteの投稿でカバー出来る範囲ではありませんので、本稿では概要のまとめと問題点の列挙をしておくに止めます。

(1)東京裁判の概要

・正式名称:「The International Military Tribunal for the Far East」(極東国際軍事裁判)

・期間:1946年5月3日~1948年11月12日

・法的根拠:ポツダム宣言第10条
「吾等ハ日本人ヲ民族トシテ奴隷化セントシ又ハ国民トシテ滅亡セシメントスルノ意図ヲ有スルモノニ非ザルモ吾等ノ俘虜ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戦争犯罪人ニ対シテハ厳重ナル処罰加ヘラルベシ日本国政府ハ日本国国民ノ間ニ於ケル民主主義的傾向ノ復活強化ニ対スル一切ノ障礙ヲ除去スベシ言論、宗教及思想ノ自由竝ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルベシ 」
「We do not intend that the Japanese shall be enslaved as a race or destroyed as a nation, but stern justice shall be meted out to all war criminals, including those who have visited cruelties upon our prisoners. The Japanese Government shall remove all obstacles to the revival and strengthening of democratic tendencies among the Japanese people. Freedom of speech, of religion, and of thought, as well as respect for the fundamental human rights shall be established.」

・裁判官(リスト)

・被告人(リスト)

・訴因と判決(リスト)(PDFも付けておきます)

(2)東京裁判の問題点

およそ「裁判」と呼ぶかぎりは法的行為であって、それは「法」を犯したと訴追される時点で、その「法」が存在しなければならない。にも関わらず、東京裁判の訴因となる「法」はその時点では存在しなかったので、事後に法をでっち上げ、その上明確な証拠も提示せず死刑等の重い判決を個人に出してしまった。こんなものは国際法を蹂躙するものではあっても、国際法に基づく「裁判」などとは全く言えないことが最大の問題である。故に「勝者による復習劇」と言われる。
この点だけでも東京裁判の無意味さの証明には十分ですが、個別にいくつか例示しておきます。これらは判事側少数意見や弁護側論告の内容のサマリーです。

(1)国際法には「戦争を犯罪」とする規定はない。戦争は法の外にある。
・国際法は戦争を認め、その遂行の「方法」(捕虜虐待、海賊行為、毒ガス等残虐な兵器の使用、非戦闘員・民間施設への攻撃など)においてのみ法的規律が存在するのみ。戦争犯罪と言うのはこれらのことであり、連合国側がこれを侵犯している例は多い。自分たちは勝ったから問題ないという態度は文明的とは言えまい。(後述)。
・戦争を計画・準備・遂行する個人を裁く規定もない。そこまでの絶対君主はいない。そもそもそんなロジックがまかり通るなら、戦争を考えているあらゆる政治家・国防大臣が犯罪者になってしまう。アメリカ、ロシア、EU、イスラエル…。
・「侵略戦争」なのか「自衛戦争」なのかを客観的に決める基準などは作れない。結局ケロッグ米国務長官が以前に述べたように「各国による自己解釈」とならざるを得ず、こんな区分けは既に無意味となっているので、こんな用語を使って解説する連中は偽物である。
・つまり戦争は国際法上犯罪とは見なされておらず「平和に対する罪」「人道に対する罪」などは明らかに戦争犯罪ではない。しかしこの弁護側主張を裁判長は一方的に却下し、その理由は最後まで開示されなかった。
・アメリカが行った石油禁輸に対して日本が出来たのは2つしかない。1つは座して底つくまで待つか、戦って確保するか。こんな状況を考えて「戦争は悪だ」と叫ぶ人は苦労したことがない人なのでしょう。ロシアが今回の軍事作戦に打って出るまでのドンパス地方の惨状を知るべきでしょう。
・要は東京裁判自体が国際法違反であり、パール判事が「全員無罪!」と喝破した理由である。

(2)従って東京裁判では法律のないところに、それもポツダム宣言受諾後に裁判所条例(チャーター)という法律をつくり、法の不遡及の原則を無視して裁いた
・こんな即興の「法律」が、歴史的に積み重ねてきた国際法に優先するなどということはあり得ない。
・こんなのを認めれば、マッカーサーの私的裁判を認めることになる。
・戦勝国と言えども立法権はない。
・そもそもアメリカは国内で事後法を禁止しているではないか。(検閲同様、アメリカ得意の二枚舌)

(3)「東京裁判の法的権限がカイロ宣言やポツダム宣言(第8条)にある」と言いつつ、ポツダム宣言時点の戦争はいわゆる太平洋戦争のみであるのに、1928年の張作霖爆殺事件から大東亜戦争終結までが対象期間とされている。
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<カイロ宣言:抄訳>(1943年11月27日)
ルーズベルト大統領、チャーチル首相、蒋介石元帥による一般的声明:
・三大同盟国は敵国日本に呵責なき弾圧を加える決意である。
・三大同盟国は決して領土拡張など自国の利益のためにやるのではない。
・日本に、1914年以降に奪取・占領した太平洋の島嶼部を手放させる。
・日本に、満州・台湾・澎湖島を中華民国に返還させる。
・朝鮮は日本から独立させる。
この目的の為、三大同盟国は日本国の無条件降伏の為に日本と交戦中の他国と協調して戦う。

<ポツダム宣言(第8条)>
・カイロ宣言の条項は履行さるべきものとし、日本の主権は本州、北海道、九州、四国及びわれわれの決定する周辺小諸島に限定するものとする。

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・満州事変は既に終わっている。後に満州国ができて、かのリットン調査団を含め多くの国が承認しているではないか。ソ連も満州国に鉄道を売却している。
・張鼓峰事件やノモンハン事件は日ソ協定で解決済みで、日ソ中立条約すら結ばれている。
・逆に1928年以前はなぜ対象にならない。ここで線を引く理由は何か。
・そもそも、カイロ「宣言」やポツダム「宣言」は連合国の意向を示した声明に過ぎなく、法的には無価値な紙切れに過ぎず、宣言をしたことだけで法的権限が付与される訳ではない。
・日本はポツダム宣言は受諾したが、国が崩壊したドイツとは異なり、国としては「(ポツダム宣言と言う)条件付き」の降伏である、更にそこにあるのは第二次世界大戦だけ。

(4)「平和に対する罪」と言いつつ、戦勝国側の「犯罪」については「対象外」と却下している。
・戦争終結に明らかに不要(既にソ連に仲介の依頼していた)であった。非戦闘員を大量虐殺した原爆投下こそ「戦争方法」規律違反であって、史上最悪の命令であろう。「アメリカの2発の原爆の罪は何故問わない。」これはアメリカ人弁護士ベンブルース・ブレイクニーが堂々と法廷で主張した内容だが、これは日本語通訳もされず、日本語の速記録には載せられなかった。更にインド人のパル判事は判決文で「ナチスの残虐行為を犯罪と言うなら、何故原爆投下が犯罪とならないのか」という主旨が記載されている。
・連合国側の捕虜虐待の記録はこんなものがある。いやになるので3つぐらいにしておきますが。

・ヤルタ協定こそ秘密不当な共同謀議である。日ソは中立条約を結んでいたはず。
・そんなソ連に仲介を依頼している時、火事場泥棒のようにソ連が一方的に日本に攻め込んだ。
・ソ連によるシベリア抑留
・1929年まで遡るなら(書くのもおぞましい)通州事件(1937年)や通化事件(1945年)

(5)共同謀議の定義すらない。当然、証拠は全くない。
・共同謀議など英米法にはあるかもしれないが、あっても軽罪である。
・被告らは年齢・境遇・職業が全く異なり全部が同じ目的で会合した事実はない。
・ヤルタ会談こそが正に「共同謀議」であろう。

(6)交戦中の人命喪失は殺人罪を構成しないのは国際法の常識
・因みに交戦中は、平時では禁止されていることも国際法上認められる。例えば、敵国との通商制限、敵国居留民の行動制限・財産管理、領土への侵入、輸送・通信の遮断など。

(7)判決の公開が不十分
・でっち上げとは言えその裁判所条例には「判決ハ公開ノ法廷ニ於テ宣告セラルベク且ツ之ニ判決理由ヲ付スベシ」とあるにもかかわらず、少数意見(インド、オランダ、フランス、フィリピン、オーストラリア)の宣告はなく、全員一致かのような体裁であった。
・その宣告された判決文には、一方的な日本政治史・軍事史を羅列しただけで各被告を有罪とする理由や証拠の提示がされていない。
・ニュルンベルグでは後に判決の全文が明らかにされているが、東京裁判はパール博士分以外は有罪の理由も証拠の開示がいまだにない。公開できない隠すべき理由があるとされても仕方がない。
・パール判事の判決書も1953年になってやっとインドで刊行されただけ。当然、東京裁判の法廷では朗読もされなかった。

(8)裁判官の構成が裁判官の構成が戦勝国のみで良いのか。
・とても「公正」とは言えまい。

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まあ、わかりやすいのはこんなところでしょうか。これで十分でしょう(^^;)
そもそも、太平洋戦争はルーズベルトたちの挑発に、国家の存亡をかけて戦ったことは既に良く知られている。本当に反省すべきは、エネルギーと食料の調達戦略をきっちり見直しておくことだと思います。エネルギーや食料を大きく依存しているグローバルサウス(≒neither 非G7 nor 非EU諸国)と敵対していることが本当に国益にかなうものか、そんなことを考える政治家がいないことが悲劇です。

今係争中の戦争に関してのマスコミの報道の幼稚さも理解してもらえると思います。「侵略か」「自衛か」などの区別は意味がない。あえて言えば「戦争は全て悪い」と言うしかないが、善悪の基準もマチマチです。

しかし、これまでの歴史では腹黒いのは英米であることは実はよく知られている。「え~」と思う人はこの視点で歴史を見直せば見えてくることが多い。