Tableau Doctorをやってみて ~ 運営方法と自分なりの心掛け ~
こんにちは、まさまさです。
Tableau Tips * Tabjo Advent Calendar 2023 - Day4
への参加を機に、「Tableau Doctor」について記載しました。
はじめに
私は社内でTableau Doctorを開催し、Doctorを担当しています。
Doctorになって2年強、現在も試行錯誤しながらの、「自分なりの心掛け」を紹介します。
Tableau Doctorってどんな感じでやってんの?という方に、少しでもお役に立てばと思います。
「Tableau Doctor」って何?
「Doctor」と言っても医師免許はいりません(キッパリw)
組織でデータドリブン文化を醸成するための「ガイドライン」として、Tableau社が「Tableau Blueprint」を公開しています。
「Tableau Blueprint」の「コミュニティ」、「サポート」の中で、「Data Doctor」を推奨しています。
※「Tableau Blueprint」については以下を参照ください。
https://help.tableau.com/current/blueprint/ja-jp/bp_overview.htm
「Data Doctor」についての詳細は、以下をご参照ください。
https://www.tableau.com/ja-jp/community/toolkit/data-doctor
「Data Doctor」には主に以下の3つがあげられています。
1.チャット(ユーザー同士でちょっとした質問を解決。助け合いの場)
2.個別技術相談(今回記載する「Tableau Doctor」は、これ)
3.ユーザー会等のイベントでDoctorを開催
私の所属する組織では、社内ユーザーが集うチャネルに「お問い合わせ」チャットを併設しています(上記の1に相当)。
ある程度社内ユーザーが増えてくると、ちょっとした操作系などはユーザー同士で解決できることも多く、解決までの時間も早いです。
また、「一人のお悩みは他の人のお悩みである事も多い」ので、こちらの利用を促しています。「そうそう私もこれ悩んでました!」ということが往々にあり、1つの質問でも複数のユーザーから多様な解決策を提示できるというメリットがあります。私自身、いつも学びになっています。
そして、なによりコミュニティを育んでいく上でとても有効です。
※3.のイベント時のDoctorは、現在まで開催していません。
以降では、2.の個別技術相談(Tableau Doctor)について記載します。
運営について
月2日、1日に30分×3回を開催しています(午前中に30分×3回開催)。
メインDoctorの他、サポ―ト1名以上のDoctorで対応します
(相談への回答は全てDATA Saberです)。
申し込み後は、当日Teams会議で相談内容を伺っています。
相談者側、Docotor側の負担にならない様に、事前に相談内容の連絡をいただくことはしておりません。
但し、私の場合は以下を兼務しており、相談者のレベルをある程度事前に把握することが可能です。※これはかなりの特権だと思っています。
・社内ライセンスの管理者 ・・・いつ頃から利用しているかがわかります
・社内Tableau教育主催者 ・・・過去のDoctor、主催教育の受講履歴
・社内Tableau Server管理者・・・社内でどのようなVizを公開しているか
※Server担当ではないです
これらの情報からある程度のレベル把握をしています。
尚、開催の案内は、半期に一度、期の開催日程を社内Webに通知掲載し案内しています。また、毎月初めにメルマガ、及びTeamsのユーザー会チャネルで当月の予定をリマインドしています(期に一回じゃ忘れちゃいますもんね→わたし^^;)。
「Tableau Doctor って、すごく難しいこと相談しているんでしょ?」
「私、初心者だし。。。初歩的なことで恥ずかしい」
といったことを耳にすることがあるので、
ユーザー会チャネルでは、なるべく「ゆる~く」開催の案内をしています。
フラっとついでに「カフェで相談」感覚でご利用くださ~い!という感じで(コーヒーは出ませんが💦)。
「Tableau Cafe」 とか 「Bar Tableau」 とか面白そうだが…(笑)
Doctorとして自分なりの心掛け
ここからは私個人の考えです。
※組織内で「こうしてくれ」と言われてることではありません。
いい感じに「自由に泳がせていただいてる」ので感謝しています♪
Doctorを担当するようになり、回を重ねるうちに、以下の様なことを心掛ける様になりました。
①話しやすい状況をつくる
相談者は、緊張して来られる方が多いです。
特に初めての方はその傾向が強いです。
なので先ずは、アイスブレイクからです。
「ジョハリの窓」で例えると、
・共感(お互いが知っているネタ)・・・
「今日は暖かいですね。」とか
・相手は知っている。でも自分が知らない・・・
テレワークも多く、就業場所がことなるなら、
「○○さんは、普段どちらで勤務されているんですか?」とか。
「○○県はもう雪降ったのですか?」など
軽い感じで答えられる質問をし相手に話をしてもらう。
「口から言葉を発する」為の準備体操ですね。
言葉を発することは、リラックス効果もあるので。
②相談者の話に傾聴する
本質に近づくために、
・困っている事
・何に不安を感じているか
を念頭に傾聴します。
診療所で言えば、問診、或いはカウンセリングに近いでしょうか(医者じゃないけど(^_^;))。
その上で、ティーチングが良いのか、コーチングが良いのか考えます。
問題の本質を見落とさない様に、時間は設けてはいますが、こだわっていません。
相談者は不安です。
間違っても、Doctorを「開催する」、その場を「終わらせる」ことを
目的にしないように心がけています。
③想定される範囲で、目的に応じたアプローチを説明
相談者からは、Howで聞かれることが多いです。
場合によりますが、先ずは否定せず、Howで返せるかを検討します。
相談者との信頼関係を築く前に、初めから「ダメ出し」すると、壁ができてしまう事があるからです(もう相談されない)。
話しを進めるうちに違和感を感じたら、Howで返した後に、
「目的は何か」、「本質は何か」、ということを相談者から聞き出し、
気づいていただけるように心掛けています。
他の指標、見せ方の方が良い場合があります。
※ここを見誤ると「使われないダッシュボード」になってしまう。。。
Howで返す時も、Viz公開後の運用、引継ぎ等も考慮しつつ、できる限り分かり易く、平易な作り・方法を紹介しています(SEでない方も多いです)。
また、あれもこれもと盛りだくさんになっている場合や、期限が短い場合は先ずは優先度の高いものから、「小さく」初めてみて、継続しながら追加・修正していくことを薦めています。
この時、相談を受ける側が注意することとしては、技術的に難しいことを質問されると、ついその難しい質問に答えることにフォーカスしてしまうことがあります。この場合、本来、より最適な方法があるにも関わらず、かえって回り道をさせてしまう場合があります。後で、よくよく目的を聞いてみると…あれれ?もっと簡単な方法があったね、となります。
この為にも相談者から情報を聞き出しつつ、目的、本質は何か、ということを常に念頭に置いておく必要があると考えてます。
但し、相談者の方が、「現場」を良く知っています。
こちらは「教えてもらう立場」という謙虚な姿勢で対応することを
忘れないようにしています。
④「処方」する時、注意点も付け加える
Tableauは同じ結果を表示させるにしても、複数のアプローチがある場合が多いです。その時は、可能な限りそれぞれのメリット・デメリットを説明するようにしています。
⑤相談できる場がある事を伝える
さいごに「相談できる場」がある事を伝えます。
Doctorだけでなく、社内ユーザー会のチャットでも相談可能であること。
※宣伝不足なのか、以外と知らない方もいらっしゃるので。
大丈夫。あなたは、ひとりじゃないよ。
困った時は、コミュニティを含め、相談できる「場」があるよ、と。
開催側のメリット
Doctorを開催することで、現場(ユーザー側)で何が起こっているか、
「生の声」を聞くことができます。
私にとっては、これが一番のメリットと考えています。
「生の声」は、バイアスやノイズが少ない圧倒的な一次情報だからです。
報告書や人づてに聞く情報が決して悪いわけではないですが、空気感、温度感はそれらでは中々伝わらないです。「濃淡」というか「深さ」がわからない(語彙力が…)。オンラインですが、得られる情報は多いです。
これらの情報は、推進側が「伝えている」と思っている情報が「伝わっていない」という事実に気づく事が多いです(反省)。そして次の活動のInputになります。例)同じような相談が続く場合は、Tips等で共有する等。
「相談して良かったです!」と言っていただくこともありますが、
むしろ「こちらこそ、ありがとうございました。」と私は感謝します。
この時間、皆さんから得た「気づき」は、何事にも変えられないから。
おわりに
基本は、相手の立場に立った目線で会話をすることかなと。
相談者によってDoctorに求めている内容や役割は異なります。
相談者の話に共感しつつ、必要な情報を引き出すことが必要です。
ただ、Doctor開催の短い時間で解決できることは僅かでしかありません。
自分が伝えられる技術なんて、「ほんの僅か」と考えています。
大事なのは、相談者が抱える不安を少しでも和らげ、
この後も「これならやっていけるかも」と感じていただくことかなと、
私は考えています。
セルフBIなので、ヒントを与え(サンプル含む)気づいていただき、
相談者が自走できるように補助する。自転車の「補助輪」みたいに。
子供の頃、初めて自転車に乗った時、大人に「補助」してもらった方も多いと思います。最初は自信がなく、補助してもらわないと前に進めなかった子が、いつの間にかスイスイ走っていく。気づいた時には「補助輪」無しで。
そんな感じで相談に来られていた方が活躍している姿を見聞きするのは、私は何より嬉しいです。
おまけ
Doctorとして「自分なりの心掛け」を色々書きましたが、
全てはできておらず、まだまだいたらないことも多いと感じる日々です。
DATA SaberもDoctorも、その数だけそれぞれのスタイルがあると思います。
自分なりのDATA Saber、自分なりのTableau Doctorを試行錯誤しながら築いていけば良いかと。私はこれからも自分なりのDoctor像、DATA Saber像を描いていこうと思います。
ひとつ思い浮かぶのは、
「あなただったら、どんなDoctorに相談したいですか?」
その答えが、あなたが目指すDoctorかも知れませんね。
メリークリスマス!そして、良いお年を。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?