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僕のANOTHER PLACE・・・海

海。
あまりにも想いが強くて・・・。
そうだ!
自分の『航跡』を綴ろう。
※航跡・・・船が海などの水上を通った後に出来る泡や波の筋。

僕は瀬戸内海に浮かぶアートで有名になった”直島(香川県)”で生れ、
高校まで過ごした。
32年前のお話。
観光客はほとんど居なくて、釣り客がたまに来るような島だった。

6年前の直島港より(昔の写真が無くて(;^ω^))

今も昔も変わらないのは、食材など生活必需品などの買い物、病院はフェリーで20分の玉野市(岡山県)か、フェリーで60分先にある高松市(香川県)へ行く。
島から出るという”イベント”は、幼い頃の僕の大冒険だった。

瀬戸大橋がまだ開通してない時代。
宇野港~高松港をJR宇高連絡船はじめ民間3社のフェリーが各社約20分おきに港を出入りしていた。
そこに僕が住む直島からと豊島からのフェリーがそれぞれ入港する。
あちこちフェリーだらけ!直島の家は海に近いこともあり、暇あれば砂浜へ行き、行き交う船を眺め、寄せてくる波にはしゃいでいた。
島を出て買い出しに付き添うと、フェリーのデッキから迫力あるフェリーが行き交う姿や大型タンカーを見れるのだ!
僕は瀬戸内海からなんだかわからない『鼓動』を感じていた。
港に入港する光景は圧巻だった。
お世辞にも大きいとは言えない宇野港。
そこに何隻ものフェリーがぶつかることなく行き交うのだから。

在りし日の宇野港 水面がとてもきれい

ちなみに水道と電気は玉野市から。
電気に関しては玉野市から直島まで、無人島の山を経由して送られてくる。
たま~に貨物船が送電線に接触し、島が停電になったことも。
春になると瀬戸内海は霧がよく発生する。
高校生の時、何度か停船勧告で出て「学校、さぼれる!」と喜んだら、
速攻、運航が開始し、落ち込んだ時もあったな~(笑)
『海』
幼い頃から青年手前の僕には『教科書』みたいな存在。

『海』
それは僕と彼を繋ぐ愛の場所だった。
18歳の時に出会った香川県に住む彼とのお付き合いが始まった。
宇野港~高松港を24時間運航しているフェリーは僕らの赤い糸。
毎週どちらかが岡山または香川へ。
2人とも海が好きであちこちの港や海が見える場所へ行き、語りあった。
あの日が来なければいつまでも僕らは結ばれていただろう。

1995年1月17日
親戚のお引っ越し手伝いで神戸へ向かった彼との連絡はその日を境に途絶えた。
彼の実家に恐る恐る電話してみると現実を知ったのだ・・・。
彼のお母さんは『海が大好きな後輩さんね。海を見たら思い出しあげて』
僕らの住んでいたお城は砂になって波がなにもかもさらっていった・・・。
海。
逃げたい見たくない大嫌いな宝箱に。

直島の海岸より


『海』
数年後、生れ育った瀬戸内海、直島、玉野市を捨て大阪へ。
大好きな音楽を扱う仕事(レコード会社営業)に携わることに。
忙しい日々に追われ、いつの日か”海”のことを思うことも無くなった。
ある日、事件が!
過労で倒れたのだ。
気がついたら病室。
母と上司、人事部長とミーティングした結果、療養も考え、地元玉野市へ戻ることに。
正直、怖かった。
レコード会社営業職が大好きだったし、大阪に来る時、思い出も含めて僕は想いでを捨て、新たな人生を選んだから・・・。
瀬戸内海へは足を向けず、波乗りをしに太平洋で過ごしてたくらいだった。
なによりも、ツラい涙はもう二度と流したくなかった。
けれども母をこれ以上心配かけたくない気持ちもあった。
だから、葛藤しながら地元へ戻ったんだ。
地元玉野市に戻ると、母が『宇野港でのんびりしない?』と声かけてくれ、向かった。
夜の港。
夜の瀬戸内海。
夜空を月と星が輝いていた・・・。
あの時と似ていた。
生前、彼と二人の未来を語りあったあの夜と。
潮の香り。
波の音。
まるで彼や瀬戸内海が『おかえり』って言ってくれてる気がした。
どんな時でも僕はこの『海』が好きだと思い知った。
あなたに会えるこの『海』を愛してると。

先日奇跡的に誓った夜の海と似た夜の海に出会えた

『海』
その後、玉野市役所の職員さんら素敵な方々と知り合った。
僕のこれまでの経験を認めてくださり、宇野港でマルシェイベント『UNOICHI』を行うことに。
実行委員会メンバーは、僕を筆頭に、県外からの移住者、若手玉野市民、地元の高校生という摩訶不思議?なメンバー。
宇野港、フェリーが運航する意味などをメンバーで洗い出し、
アートと生活が混ざり合い、穏やかな宇野港を主役にしたマルシェイベントをテーマに設定。
そこから開催までは大量の汗水を流した。
主役の宇野港の名を汚さないようにと。
開催は、春・夏・秋・海外客船入港時。
毎回コンセプトを変えて。
おかげで毎開催、大盛況だった。
それよりなによりも嬉しいのは、メンバー、来場者、出店者が、宇野港、瀬戸内海を好きになってくれたこと。

在りし日のマルシェイベント(岡山県玉野市宇野港)

『航跡』
船に乗ると必ず眺める。
白い波と泡。
時に弧を描きながら生まれては消え、そして、海の何処かへ・・・。
波乱万丈というと大袈裟だけど色々あった僕の人生。
コロナウイルスが猛威を振るい、イベントのカーテンコールはおろしたが、僕のカーテンコールはまだ先。
大海原へ船を出し、海にそっと抱かれたい・・・。
『CRUISE』という名の船に乗り、新たな『航跡』を作りだす・・・。
昨日は昨日。
僕は今日という名の海を駆けていく。

宇野港で偶然出会った虹

#わたしと海


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