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落とし噺の話【久遠の像】

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(西新宿2-11)新宿中央公園

木の枝を乗せたお盆を女性が武将に差し出している一対の像。

ピンとくる落語愛好者も多いでしょう。

狩りに出た帰りに村雨に遭った太田道灌が蓑笠を借りようとあばら家を訪ねた。
出てきた賎の女が何も言わずに山吹の枝を乗せた盆を差し出した。
訳が解らず戸惑っている道灌に家臣が言う。
「七重八重 花は咲けども 山吹の 実のひとつだに なきぞ悲しき」という古歌になぞらえ、貧しくて蓑一つさえない、ということを「実の」と「蓑」をかけてお伝えしたものでしょう」と。
道灌は自分が歌道に暗いことを大いに恥じ入ったという故事を像にしたものです。

この話は「道灌」という落語にもなっています。
先代桂文楽が噺家になって初めて教わったのがこの噺だそうです。
その後、1年間、師匠からはこの噺しか教えてもらえず、ある寄席で高座に穴が開き、つなぎに出た文楽がこの噺を3度やらされたという逸話があります。
そのころ、文楽は「道灌屋」とい嬉しくないあだ名がついたといいます。

なお、何故、この像が新宿中央公園にあるのかは不明です。