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新宿日撮り歩記 【四ツ谷】

地下鉄丸の内線の四ツ谷駅のホームから見えるグラウンド。

江戸城の外堀を埋め立てて作られたもので、正式名称は「上智大学真田堀運動場」といいます。
入学して最初の体育の授業で、このグラウンドを一周すると千代田区、港区、新宿区を通ることになると教えられたのを思い出します。

日本で一番高かったという江戸城の天守閣は今の皇居にありました。
その天守閣が建っていた台(天守台)は今も残っています。
その江戸城に敵が侵入するのを防ぐための外側のお堀がこの場所にあったことから、江戸城がいかに広大なものだったかを窺い知ることができます。

この外堀に沿って土手が築かれています。
春にはこの土手に桜が咲き乱れます。
私の在学中はまだ土で、運動部が練習をしていたものですが、今はすっかり舗装され、これでは運動の練習はできませんね。

四ツ谷駅を出たところに架かっている「四ツ谷見附橋」。

「見附」とは、城の見張り役の番兵を置いた場所で、この四ツ谷見附の他には「赤坂見附」にその名が残っています。

ところでこの「四ツ谷」という地名。
「谷」?

上智大学のグラウンドが低い場所にあるのはお堀を埋めたからで、谷底というわけではありません。
では、何故「谷」?

そういえば、郊外ならまだしも、東京都心にも「谷」の字がつく地名があります。
四ツ谷の近辺だと千駄ヶ谷、市ヶ谷。
離れたところでは、渋谷、日比谷、世田谷、阿佐ヶ谷、雑司ヶ谷、谷中、鶯谷、茗荷谷など。
また、神谷町、清水谷、下谷、山谷など、今は町名としては使われていない名称もあります。

どうやら東京都心は平坦だったわけではなさそうです。
ということで、四ツ谷駅周辺を少し歩いてみました。

迎賓館の正門前を通り越して迎賓館に沿ってぐるっと回るとなだらかな下り坂が続きます。

その坂を降り切ったところに門があり、警護に当たっていた警察官が「おはようございます!」「観光ですか?」と話しかけてきました。この警察官がそれを意図したのかは分かりませんが、こうして道ゆく人に気さくに声をかけてその反応を見ることで不審者を見分けているのかもしれません。
それはさておき、聞けばそこは「鮫ヶ橋門」という門でした。

「鮫ヶ橋」、さめがはし。
「鮫河橋」とも表記されているようです。
東京にあった三大貧民窟(ひんみんくつ)のうちで最も規模が大きかったのがこの鮫ヶ橋だそうです。
「貧民窟」よりも「貧民街」のほうが理解しやすいかもしれませんね。
現在は「鮫ヶ橋」という名称は町名としては存在しておらず、また、そのような場所だったことをうかがわせるものもありません。

この一帯を歩くと、住宅街に坂があったり、一段高いところに建物があったりと、この場所が谷であることがよく分かりました。

四ツ谷が「谷」であることは分かりましたが、では、「四ツ」は何か?
これには諸説あるようですので、私は触れないことにします。

最後に、
先ほど、「谷」のつく地名を思いつくままに挙げましたが、一つ気になっていることがあります。
鶯谷(うぐいすだに)、茗荷谷(みょうがだに)、清水谷(しみずだに)以外の「谷」はすべて「や」と発音します。
何か意味があるのでしょうか。
それとも、単に語呂の問題なのでしょうか。

考えすぎでしょうか?