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【柳家小三治】

人間国宝、柳家小三治。

私が最も好きな噺家で、40年以上、観続けています。

最近は1,000人規模のホールでしか観ることはできず、それでも切符が手に入らない。年に何度か寄席に出るときは早い時間から満員になり、なかなか入れないので、ここ暫くはご無沙汰してしまっています。

私は小三治さんが好きで好きでなりません。大好きです。

出囃子「二上がりかっこ」が鳴り、舞台に登場、高座に座り、丁寧にお辞儀をし、湯飲みからお茶(お湯に溶いた蜂蜜らしいですが)をすすって、話を始める。お馴染みのなが~いまくら。羽織を脱いで、本題の噺。それが終わるとまた丁寧にお辞儀をして舞台のそでに姿を消す。

この一挙手一投足(足は動かしませんが)、一言も見逃すまい、聴き逃すまいと観ています。

同じ噺を幾度となく聴き、筋も、次に出る言葉も、下げ(落ち)も分かっているのにその度に大笑いしてしまう。
「うどんや」、「粗忽長屋」、「粗忽の釘」、「道具屋」、等など。

逆に、「芝浜」では感動で涙が止まらなくなる。

同じことは二度と起こらない話芸。一期一会。毎回何かが違う。

40年という長い間には芸風も変化し、風格も増してきました。

師匠である先代柳家小さんから受けた「稽古」は「おめぇの噺は面白くねぇなぁ」という一言だけという。

飄々として「猛稽古」という言葉が似合わない小三治さんですが、陰では人並みならぬ精進を重ねているのでしょう。

小三治さんの何がそんなに私を惹きつけるのか。言葉では言い表せません。

敢えて言うならば、それは「相性」だと思います。

私のように柳家小三治という噺家をこの上なく愛する者もいれば、私が全然面白くないと思う他の噺家に対して同じ思いを抱く人もいる。

柳家小三治という噺家との出会い。

一人の芸人をこんなに好きになり、長いこと観続けることができていることはとても幸せなことだと思います。

そして、いろいろな人との「出会い」をこれからも大切にしてゆきたいと思います。