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ハローワーク

私が定年退職をして求職中だったときのこと。

仕事が見つかるまでの一定期間は、失業給付(失業手当)を受けることができます。
そのために4週間ごとにハローワークへ行って手続きをします。
そして受給を受けるためには、この4週間の間に、私(障がい者)の場合は、最低1度の求職活動をしなくてはなりません。
再就労する意思がないのに、失業給付だけをもらうことを防ぐためです。

そのために毎月この手続きを終えてから、同じハローワーク内にある障がい者向けの就労相談部門へ行き、自分に合った職がないかを探していただきます。

その間、是非やりたいと思う仕事がありました。
障がい者向けの求人で、就業時間については「週30時間以上で応相談」とあったので、その条件で面接をしてもらえるかどうかを聞いてもらいました。
しかし、「週30時間では不可」との答え。
納得がいかない思いでしたが、そのまま引き下がりました。
恐らく「精神障害」が理由だろうと思っています。
障がい者雇用の場合、「いつ休まれるか分からない」精神障害は敬遠されているという話も聞きました。

そのときから「早く仕事を見つけなくては」という焦りの気持ちが強くなりました。
何度もハローワークへ足を運び、新たな求人がないかを聞き、いつでも応募できるように履歴書などの応募書類も揃えました。
そうして通っている中、ある日、夏の暑いころだったと思います、対応に当たって下さった男性職員。
座っていた席から推測するに役職者だと思われます。
ハローワークへ求人登録したときの私の職務経歴やそこに書いた内容、また、これまでの求職活動記録に一通り目を通した後、「随分、熱心に求職活動をされているようですが、お体の方は大丈夫ですか?」と聞かれました。
まだ気分が不安定な時期だったので、正直に「まだ不安定で、今すぐに働き始めるのは不安です」と申し上げました。
その後も暫く話をし、その方がおっしゃったこと。
「ハローワークの人間が言うことではないかもしれないけど、焦って仕事を探さないほうがあなたのためだと思いますよ。あなたの力を発揮するためには体調を整えることが第一だと思います。だから、年内にパートで職に就くことを目標になさっては如何でしょう?」

耳を疑い、涙が出そうになりました。
まさかハローワークの方にこのようなことを言っていただけるとは思ってもいませんでした。
ハローワークは「一刻も早く働きなさい」と促されるところだと思っていたからです。
このありがたいお言葉のおかげでそれまでの焦る気持ちがスーッと消えました。
心が楽になり、それ以来、気分が落ち着きました。

その後、落ち着いて求職活動ができ、今の職場にたどり着いたという訳です。

ご自身の立場を越えて、相手のことを思いやる気持ちを持っていらっしゃるこの方に、そしてこの出会いに心から感謝しています。