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【言葉の身だしなみ】

ガシャン。
「コイツ、マジ ウゼェー!」
私がいる職場で聞こえてきた声です。
どうやら電話で話した相手に腹を立てているようです。


多くの人は出かける時に髪を整え、女性なら化粧をし、男性なら髭を剃り、行き先に相応しい服装をするなど、身だしなみを整えるでしょう。しかし、「身だしなみ」は単に外見を整えれば良いというものではないと思うのです。言葉や所作にも「身だしなみ」が必要ではないでしょうか。

そして、このような外見以外の「身だしなみ」はその時だけ整えようと思ってできるものではありません。その時になって慌てて整えようとしても必ずボロが出ます。

和服を着たら和服なりの歩き方などの所作があるのと同じく、言葉にも場面場面に合った身だしなみが必要だと思います。

例えば、就職のための面接があるからといって、身なりはその場しのぎで整えることはできても所作や言葉はそうはいきません。普段から何事も「ヤバイ」の一言で片づけている人たちが面接官の前に行ったからといって急に他の言葉が思い浮かぶわけはありません。かと言って、いつも通りに「ヤバイ」などと言うことはできない。応答がしどろもどろになるのは当然でしょう。

少し前の話ですが、ある学生が現役アナウンサーに「どうしたらアナウンサーになれますか?」と尋ねたところ、「チョー、マジ、ウザイ、ムカつく、かわいい」という言葉を使わずに話せるようになること、と言われたそうです。今ならこれに「ヤバイ」が加わることでしょう。

話し言葉にせよ、書き言葉にせよ、言葉にはその人が表れる。その人の品格そのものといっても良いと思います。
思っていることを如何に的確に、相手に不快感を与えずに伝えることができるか。そのような「身だしなみ」が言葉にも必要ではないでしょうか。

それには常日頃、言葉を意識しながら見聞を広め、美しい言葉遣い、表現豊かな言葉遣いを意識することが必要だと思います。

とはいえ、言葉のお手本と思っていたNHKのアナウンサーの言葉遣いも最近はだいぶ乱れてきているので、お手本が少なくなってきているのも現実ですが...


あ、書き忘れましたが、冒頭に紹介した「コイツ、マジ ウゼェー!」の声の主は女性です。