見出し画像

GとKの話

少し前に、中学生の娘が学校で前の席の男の子に聞かれたらしい。
「ゴキブリとカメムシとどっちが嫌?」
質問の意図よりも、わたしは何て平和な学校だろうかと感心したんだけども、娘は悩みに悩んだ挙句、カメムシ、と答えたらしい。
ゴキブリは匂いを発するわけではないからだという。わたしもそれならカメムシに一票。どちらに軍配が上がったのかは知らないけれど、ならばゴキブリとはなぜこんなにも嫌われるのか、娘と話してみた。
「突然出てきてびっくりするから」
と娘は言う。わたしは頷く。
「突然出て来るのに、存在感がありすぎる」
「それな」
娘は強く同調してくれた。
急に現れる、動きも早い。そしてあの色。
とも思うけれど、カブトムシもコオロギも実はすごく似ているよなぁとも思う。それなのに、何か知らんけどゴキブリだけが嫌われるのだ。
つい最近、奴を観察する機会があった。奴は炊飯器の近くに現れたので、わたしは殺虫剤を取りに走ったけれど、炊飯器の近くには食器も置いてあり、なるべく使いたくなかった。
そこで、炊飯器の下から半分ほど出ている奴の姿を観察しながら出てくるのを待つことにした。
わたしの存在に全く気が付いていない様子で、奴は触覚を動かしながらも這い出てくる気配がない。
よく見ると触覚がものすごく長い。体長と同じくらいある。そしてハエのように前足を擦りながら顔をこすったりし始めた。奴も生き物なんだなぁと妙に感心してしまった。10分ほど経ち、一向に出てくる気配がないので仕方なく、スプレーをシュッとした。
健気だとはさすがに思えないけれど、懲りずに現れる生命力には脱帽する。
害が全くないとは言えないけれど、人体に影響は少ないだろうと思うので、ちょっと大目に見てあげてもいいのかなと思う。
シュッとはするけど。気持ちの問題。
ちなみにカメムシは寒さに弱いので、寒くなると温かいところを求めて中へ入ろうとする。洗濯物の間とか網戸の隙間とか。寒いと死んでしまうのだそう。あの匂いが出るまで3秒かかるそうなので、逃がすときは3秒以内に、と子供に言ったら、無理!と返ってきた。
そろそろカメムシも増えてきて部屋を滑空したりしている我が家。
冬に向かっているんだなぁと思う。

#エッセイ #G #ゴキブリ #カメムシ

いただいたサポートは創作活動、本を作るのに使わせていただきます。