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親のレール

子供というのは、たぶん、親の言うことを聞かないもんなのだ。
そう思うことにしている。
親の思い通りに育つはずもない。
私がおかしいのかもしれないけど、こんな子に育ってほしいという願望があまりない。
なるべく元気で楽しく生きてほしいという思いはあるけど、元気でないと幸せではないのかというとそうではないだろうから、そんなに思いは強くはない。
以前、義父に、
「どんな子供に育ってほしいと思ってる?」
と聞かれ、返答に困った。義父とふたりの時だった。
「いや、特にないです」と答えた。
冗談ばかり言っている義父は真面目な顔で、「親は子供の特性を見極めて、ちゃんとレールを引いてやらんとあかん」
と私の顔を見た。
「私には無理ですね」と即座に答えた。
この先、どんな世の中になるのかわからないので、わかりません、と先生に当てられた小学生みたいなことを言った。そんなことが本当にできたらコンサルタントの仕事なんかできそうだ。
私は親だけど、子供のことを全部わかっているわけではない。学校では違う顔をするだろうし、友達同士でもまた違う一面を見せていると思う。どれが本当かといえば全部本当なんだろうし、親が全部を知ることは多分、無理なんだろう。だからこそ、親子の関係でいられるんじゃないかと思うことがある。
毎日一緒にいるけれど、いつの間にか子供は大きくなる。好きな食べ物もいつのまにか変わってるし、好きな子の話もいつのまにかしなくなる。靴のサイズもいつのまにか大きくなって、靴下なんか私と変わらないから洗濯物を畳むとき、ちょっと考える。
レールなんかぶっ壊してもいい。親の思いなんかわからなくていい。
それでも大丈夫だと信じることにしている。
#エッセイ #子供

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