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55歳からのボランティア海外滞在記  -インドネシア・スンバ島ー 1


とっても小さいワインガプの博物館

東スンバ県の県庁所在地であるワインガプの街をひと月ほどぶらぶらしていて分かったのですが、スンバ島には美術館、映画館、劇場などの文化的な施設がほとんどありません。インドネシアの中でも貧困度が高く水道や電気のインフラも十分に整っていない地域なので無理もないことですが。とはいえ全くないわけではなく、今回は私がいつも行っているマタワイ市場の近くにあるスンバ郷土博物館を紹介します。
建物はスンバの特徴的なとんがり屋根で、2階建てですが2階はがらんとして展示はありません。入り口を入るとすぐにスンバ島の歴史が5枚のパネルで説明されています。日本についての記述もあり、google翻訳によると「日本占領時代は非常に困難な時代であり、人々は拷問や強制労働を経験しました。」と書かれています。申し訳なさで暗澹たる気持ちになりながら歩を進めます。

イカット制作過程の展示

展示の中心はイカット(日本語では絣。前もって染め分けた糸で織る模様のある織物)。インドネシアのイカットが紹介されるときには必ずスンバ島が登場すると言っていいほどスンバ島のイカットは有名です。ユニークなのは動物のモチーフが多用されていること。ここではいくつか解説があるモチーフの中から3つ取り上げます(写真参照)。一つ目は鶏。解説によると鶏はスンバの文化において多くの重要なメッセージを持っていて、英雄主義の象徴。雄鶏の鳴き声は意識や生命を象徴している、らしいです。私のインドネシア語が拙いので、抽象的な話になるとgoogle翻訳を使っても日本語訳が正しいのかどうか自信がありません。ごめんなさい。次はエビ。私たちが想像するいわゆるエビとは違い、ウチワエビっぽいものかもしれませんが、エビだそうです。エビのモチーフは、スンバ人の死後の世界や輪廻転生に対する信仰の意味を表しています。エビの脱皮=来世でのより良い変化を求める願いなのだそうです。最後は馬。シンプルな馬のモチーフもよく見ますが、これはコミカルなデザイン。人間・馬・頭蓋骨のモニュメントの3つは相互に関連していて勇気と勝利の意味があるそうです。

鶏のモチーフ
エビのモチーフ
三部作(人間・馬・頭蓋骨のモニュメント)

イカットの他には、LIFEのツアーでスンバに行った方にはおなじみの楽器のゴンや伝統的な家屋で来客の際に出すゴザなども展示されています。解説はインドネシア語のみなので、解説を読まずに見て回ると10分もかからずに見終わってしまうとてもこじんまりとした博物館です。料金は無料でした。
(2024年4月)


博物館内部

本記事は、特定非営利活動法人 地球の友と歩む会(https://earth-ngo.jp/)のボランティアとしてインドネシア・スンバ島に滞在中の記録です。


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