KICK BACK /米津玄師 歌詞解釈

本日はアニメ「チェンソーマン」の主題歌でお馴染みの、米津玄師さんの『KICK BACK』を解釈します。

はじめに

私は歌詞解釈の際心がけていることがあります。
それは先入観を持たないということです。
ですので、あえてこの曲に関しての米津玄師さんのインタビューなどは見ていません。
なので、違うよ〜、こんなこと本人は言ってるよ〜などのツッコミをされてもそうですか。。。と思うだけなので御了承くださいませ。

モー娘。からの引用部分

まず、この曲で何度も繰り返される『努力 未来 A beautiful star』の部分ですが、こちらはモーニング娘。の『そうだ!we're alive』からの引用となってます。
まず、この『そうだ!we're alive』のサビが『幸せになりたい』と始まるわけなんですが、この歌詞は『KICK BACK』でも言ってます。


『チェンソーマン』の世界観

幸せになりたいっていうキーワードはチェンソーマンのデンジの願望そのものです。
米津さんは幸せになりたいという歌詞からこの曲を作っていったのではないかと想像します。
そうすると、モー娘。の『そうだ!we're alive』を思い出すのも納得できるのです。

これはポチタとデンジ視点の歌


一番

『ランドリー今日はガラ空きでラッキーデイ
かったりい油汚れもこれでバイバイ』(デンジ)
ここで言うランドリーって今時のこぎれいでおしゃれなコインランドリーではなく、薄暗いおうちに洗濯機がない人たちのためのコインランドリーかなと思います。
そこが通常は混んでいるってことは、、、
この主人公が生活している町がどんな場所か想像つくよね。
油汚れをバイバイっていうところに、生活の雑さを感じて非常にいいですね!丁寧じゃない生活!

『誰だ誰だ頭の中 呼びかける声は
あれが欲しいこれが欲しいと歌っている』(デンジ)
誰だ→ポチタ

『幸せになりたい 楽して生きていたい
この手に掴みたい(デンジ) あなたのその胸の中(ポチタ)』
幸せになりたいのはポチタ
楽して生きていたいのはデンジ
この手に掴みたい→デンジがOPPを触りたいという願望を持っている
あなたのその胸の中→ポチタがデンジの心臓になっている

『ハッピーで埋め尽くして レストインピースまで行こうぜ
いつかみた地獄もいいところ 愛をばら撒いて
アイラブユー貶してくれ 全部奪って笑ってくれマイハニー』(ポチタ)
死ぬまで幸せでいっぱいにしよう!デンジの夢を見ていたい
いつかみた地獄→ポチタが地獄のヒーロー『チェンソーマン』だった頃も悪くはなかった 自分的には愛情を持って動くと全部バラバラにしてしまうんだ

恋愛なんてクソだよね!全部自分のものにして高笑いしようぜ!

『努力 未来 A BEAUTIFUL STAR』
これは幸せになりたいというデンジの気持ちの高まりを、繰り返すことによって表現している。

『なんか忘れちゃってんだ』
デンジがお父さんをコロしたという記憶

2番

『4443で外れる炭酸水
ハングリー拗らせて吐きそうな人生』
自動販売機の数字が揃うともう一本ってやつが外れた〜!ってことですね。
普通だったら7だと思うんだけど、ここを4にすることによって「し」合わせにならないという意味になります。

『「止まない雨はない」より先に その傘をくれよ
あれが欲しい これが欲しい 全て欲しい ただ虚しい』
役に立たない格言はデンジには響かないんですね。
ただ虚しいといってることによって、欲しいものはたくさんあるけど何一つ手に入ってないと予想できます。

『幸せになりたい 楽して生きていたい
全部滅茶苦茶にしたい 何もかも消し去りたい
あなたのその胸の中』
1行目と2行目内容が逆ですよね。
1行目は願望、希望
2行目は絶望、破壊

これがサビへの準備です。

『ラッキーで埋め尽くして レストインピースまで行こうぜ
良い子だけ迎える天国じゃ どうも生きらんない
アイラブユー貶して奪って笑ってくれマイハニー』
実際は自販機のルーレットさえ当たらないのに、ラッキーな人生を送りたいと言っているので、現実との乖離が虚しさを生みます。
裕福で良い子で育った人たちとは分かり合えない。
こんな生き様を笑ってもらうことでしか自分の価値はない。

『なんか忘れちゃってんだ』とまた出ることは、デンジがある記憶を忘れていることが、この『チェンソーマン』という作品のキーポイントだからだと思います。


『ハッピー ラッキー こんにちはベイビー』
ベイビーはマキマの生まれ変わりナユタのことかと。

『なんかすごい良い感じ』
これ、今まで忘れていたことを思い出し、戦い、マキマを倒した後に自分が新しい生活を送ることになったことへの決意の表れかなと思います。

まとめ

デンジの枯渇した幸せへの強い願望がありつつも、現実はちょっとしたことですら叶わない絶望。
それを心臓になって見守るポチタ。

願っていても何も手に入らないなら自分が置かれた状況で自分ができることを最大限していこうという前向きな決意。

これがこの曲の流れかなと思います。

金子みすゞさんも言ってるよね、置かれた状況で咲きなさいって。
あれやこれやできると思うと何にも手に入らないというのはよくあることです。
自分ができることを一歩一歩すすんでいくしかないんだよなぁ。


深い歌!!

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